ドラゴン討伐とダンジョン踏破~紅き王は万能、レストランもなんかすごい~
「お前さん達にやる依頼か? うーん、ちょっと待ってくれ、探すから」
「どんな依頼だろう」
「まぁ、人間には手に余る依頼だろうな」
「あったあった、ドラゴンの姿が最近見えてるのだな」
「ドラゴン……」
ちらりと紅き王を見る。
「ただのドラゴンなら我の捕食対象だ、がそうでない場合は話合いが必要だな」
「紅き王のようなドラゴンがいるのですか?」
「ああ、そうだ。白き王、黒き王、青き王、緑の王、黄の王。我を含めて六神王と呼ばれ、人間共からは畏怖されている」
「ほへー……」
「まぁ、奴らは引きこもりだから出る事はないが、それも想定しておこう」
「はい!」
「では行ってくれるか」
「カズエ、行くぞ」
「はい!」
私は紅き王について行く。
「……何だ普通のドラゴンか、グリーンドラゴン」
「あの、ドラゴンが眷属だったりしません?」
「せん。我ら六王とドラゴンははっきり言うと別種だ、ドラゴンと最初名乗ったが、あくまで人がつけて呼称の一つ、我の正式名は紅き王よ」
「はぁ」
「ではさっさと片付けるか」
風が巻き起こり荒らしとなって、グリーンドラゴンを巻き込み、ズタズタにする。
グリーンドラゴンは大地に落ちた。
「これ、入りますかね?」
「そなたのなら入るだろう、無制限のようだし」
と言われ、紅き王はグリーンドラゴンをアイテムボックスに押し込んだ。
「な?」
「……問題は解体できるかですね」
「それは確かに問題だな」
「グリーンドラゴンの解体だぁ⁈」
「どうだ、ガイル。できんか?」
「無理だ無理、俺には無理だ。こんなもん解体できるのはダンジョン都市の長ゴンドラさんじゃねえか?」
「ああ、あのドワーフの爺さんか。長生きしてやがるもんな」
「つまり此処では無理、と」
「そうだな」
「よし、それならさっさとここを出発するぞ」
「え、まだ二日も経ってないのに⁈」
「そ、そうだぜ、もう少しゆっくりしても……」
「どっちにしろダンジョンには向かう予定だった、此奴のレベル上げの為にな」
「はぁ……でも、今日は待ってください。店ももう開いちゃってるので明日になったら出かけましょう」
「仕方ないな、では明日だぞ」
「はい」
「よし、今のうちに食いだめに行くぜ!」
「そうだな!」
とギルドマスターと解体屋さんが走って行った。
「……食い気とはすごいな」
「紅き王、貴方もそれは言えないのでは」
「む、確かに」
その日もレストランは大盛況で終わった。
そして翌日朝食を取ってから、レストランをしまう。
「もう行っちゃうんですか⁈」
「ドラゴンの解体とダンジョン、両方やって来てもうちょっと長くお店を開けるようになって戻ってきたいと思いますので……」
「わかりました……じゃあそれまでお金貯めてまってますね」
「わたしも」
「僕も」
「俺もだ!」
「では行ってきますー」
ドラゴン状態の紅き王に乗り込み、ダンジョン都市とやらに向かう。
猛スピードで飛んでるはずだけど、結界をつけてるらしいから風圧とか感じなかった。
ダンジョン都市の前で下りると、ギルド嬢の人たちがやってきた。
「お話は伺ってます、こちらへ」
並んでいる人たちはいいのかなぁと思ったけど、みんな紅き王にびびってるし。
それが人型っぽくなってさらにびびってる。
私は紅き王に手を引かれて、そのままギルドに向かった。
「おう、ドラゴンを狩ったと聞いたぞ……それと紅き王と契約したとも聞いた」
「は、はい」
小さいひげを生やしたおじさんがぎろりとこちらを見る。
「いやぁ、お嬢ちゃんたいしたもんだな! あの紅き王と契約だなんて聞いたことねぇぞ!」
そして笑った。
私は脱力する。
「そ、それでドラゴンの解体は……」
「こっちじゃ」
と言って解体場につれていかれる。
「話は聞いているアイテムボックス持ちじゃろ、出してくれ」
そう言われて、私のアイテムボックスに紅き王が手を突っ込みグリーンドラゴンを引きずり出す。
「おお、見事なグリーンドラゴンじゃ、解体はすぐ済ませるからまっとれ」
「肉を寄越せ、他は好きにして構わん」
「紅き王よ、そういわれますが、ドラゴンは貴重。全部は買い取れませぬぞ」
「分かった」
ゴンドラさん、肝が据わってるなぁ。
「ところで、ダンジョンに入る予定と聞いていますが」
「勿論だ」
「ではダンジョンから出るころには終わっておりますぞ」
「分かった、では行くぞ」
そう言って私はダンジョンに入る登録をしてダンジョンに引きずられるようにしていった。
「お前の速度に合わせては遅くなる」
「で、ではどうするんです」
「こうする」
四足歩行になった。
なんか空想動物の方の麒麟みたい。
そう思いながら乗っかると、紅き王は猛スピードで私を乗せてダンジョンを駆け抜けた。
結界を張ってるからモンスターを轢殺してるし、罠も避けてるし、すげぇ。
あっという間に、15階エリアまで下りて休憩スペースに到着した。
「むぅ、腹が減ったなおい、カズエ、ここでお前のスキルを出せないか?」
「え、えー? 試してみますけど、駄目だったら諦めてくださいよー」
「分かっておる」
私は少し空いた空間に向かって言う。
「旅するレストラン!」
バン!
とレストランの入り口部分が現れる。
「出来るじゃないか、よし入るぞ」
「紅き王、ちょっと待って下さいよぉ!」
扉を開けると、そこはいつものレストランだった。
「オーナーようこそいらっしゃいました」
「料理を出せ」
「ご友人の方もようこそいらっしゃいました、ではこちらへ」
席へ案内される。
「あの、このレストランってダンジョンでも出せるの」
「勿論でございます」
「わぁ」
驚きの声を上げる。
「な、なんだここは⁈」
「これは何⁈」
冒険者の人たちが入ってきた。
「ようこそ当レストランへ、ここは代金と引き換えに食事を提供する場所です」
「お、おお、金ならある。どんな料理があるんだ?」
「ではこちらへ」
冒険者達は席に着いて次々メニューを見て注文していく。
料理が次々運ばれていく。
「う、うめぇ! 保存食なんてめじゃねぇよ」
「なんて美味しいの⁈」
「それでこんな価格なんて‼」
冒険者の方々がいなくなるまで店を開けることになり、足止めを食うことに。
冒険者の方々が店から居なくなり、レストランをしまうと、紅き王と私は再びダンジョンの奥へと向かった。
「吹雪⁈」
「ここが最下層エリアだな、ボスフロアへはここの奥の祭壇へ向かわねばならない」
「と、凍死しちゃうんじゃ。私……」
「何を言う、寒くないだろう」
「あ、そういえば」
「我の結界よ。では行くぞ」
吹雪の中を猛スピードで進んでいく。
そして祭壇のある場所にたどりついた。
「祭壇に触れると、転移する」
「は、はい」
そう言って、紅き王は前足で祭壇を触った。
「なんじゃこりゃああああ⁈」
目の前には白い巨大なドラゴン。
「おお、アイスドラゴンか。これは人間には手が余るダンジョンだな。どうりで15階層で皆折り返す」
「うわー、すごい冷静ですね!」
「まぁ、我にとっては朝飯みたいなものだからな、しっかり捕まってろよ」
そう言うと、ドラゴン形態になり、一瞬で、アイスドラゴンの首を切り落とした。
ズシンは音がして、それからカランと音がなった。
「牙?」
「なんだ、肉はおとさないのか、つまらん」
「えっと他には……?」
槍があった。
「魔槍ヴァルケンではないか」
「ヤバいぶつっすか?」
「人間にはな」
「よし、これは永久封印」
「売れば国家が傾くレベルだからな」
「永久封印!」
私は再度語気を強めていった。
「ところでどうやったらでられるんですか?」
「ボスを倒すと祭壇が出る、それをさわればいい」
「じゃあ出ましょう」
「うむ、ちょっと待て」
人型になり、私の手を掴んで歩き、紅き王は祭壇に触れた。
階段がある場所に転移された。
「と、踏破者だー!」
「ギルドマスターを……」
「我らが行くから呼ぶ必要はない」
紅き王はそう言ってギルドに向かった、私は手を引かれ、ついて行った──
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