時と運命の牢獄

indiajin

0周目

俺は何の変哲もない男子高校生、木村空きむらそら

明日は高校の卒業式だ。でも高校には何の思い出もない。引きこもりだったんだ。

引きこもりになったのは小学五年の夏からで、それまでは普通に学校に行き普通に生活していた。

そう。

あいつが来るまではな

そんな回想に更けていた俺は

「あ~小学生からやり直して~」

と、純粋な思いを口にした。


その後自分の部屋で漫画を読んでいた。

すると、ドアの向こうに誰かいる。おふくろだと思った俺は

「なに」

とめんどくさそうに言った。

少し時間がたっても返事がない。

おかしいと思った俺はドアのほうを見た。

そこにいた、いやあったのは熊の木彫り。

え?どういうこと?俺は混乱した。

「モドル?」

え?さらに混乱した。木彫りがしゃべってる?

「ショウガクセイニモドル?」

「は?」

思わず言い返してしまった。

「マアソウイワズニハナシヲキコウヨ」

頭の整理が追い付かない。

「アシタ、ソツギョウシキダロ?

 オワッタラショウガクセイニモドシテアゲルヨ

 キメタラコノボタンヲオシテネ」

「どういうこと?」

と言おうとしたときにはもうそこに熊はいなかった。

意味が分からない。でも、

やっぱり意味は分からない。

ふとボタンを見た。

よく見るとそこには説明が書いてある。

・このボタンを押すと小学校の入学式と高校の卒業式の間をループする

・記憶は引き継がれる

・ルールは一周ごとに追加される''

ルール?ゲームなのか?

疑いはしたが「戻りたい」という自分の気持ちに従いボタンを押した。

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