第18話 未来【レジーナ視点】

 ノヴァ、エヴァ、ノクティの3人の姿はもう見えなくなった。


 ……行ってしまったわね。これは寂しい、かしら。


 妖精の行動は「楽しい」か「楽しくない」か、これだけで決まる。

 わたくしもかつてはそうだったわね。

 長く生きていくうちに、様々な者と関わっていくうちに、いつの間にか人のような感情を得た。……正しくはではなく、だけれど。


 ……やっぱり寂しいわね。


 わたくしもあの子たちについて行きたい。本当はそう思っているけれど、それは運命さだめが許さない。

 妖精の女王は妖精の森から出ることができないから。

 わたくしは産まれたときから光の妖精の女王。これは今までもこれからもずっと変わらないこと。


 でもあの子なら、エヴァなら何か変えてくれるかもしれない。


 エヴァはノクティの運命を変えてくれたから。

 何が作用してそうなったのかは分からない。だけど、あの場所で死んでしまうはずだったノクティはエヴァに救われ生きている。


 何度ても何をやっても変わらなかった運命をエヴァは変えてくれた。

 ノヴァも妖精の噂で聞いたものより生き生きとしていた。感情を一切表に出さず、常に無表情なんて様子ではなかったから。


 エヴァには運命を変える力があるのだろう。

 ……それもまた運命かしら。

 少しだけ未来が視えてしまうわたくしにとって、希望の存在ね。


『……辛いこともあるでしょう。苦しいこともあるでしょう。それに負けてしまいそうになることもあるでしょう。それでも、わたくしは願うわ。ノヴァ、エヴァ、ノクティ、あなたたちの未来と今に、たくさんの幸せと笑顔がありますように』


 あなたならきっと、あなたたちならきっとも変えてくれる。

 わたくしはそう信じているわ。


 ——あなたたちに幸多からんことを。

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