第4話 勇者一行と四天王

「勇者のところに行くか」

アレッサが言った。

「魔王様のところに行きますか」

レナードが言った。


「ところで、アレッサ。リアーはどこにいるの?」

レニャがミアを撫でながら言う。ミアは目を細め、うっとりしている。

「…魔王のところだろ、きっと。そういえば、私ずっと思っていたのだが。リアーといつ別れたのだ?」

みんなの頭に?が浮かぶ。

「バーレット、お前は見てないのか?リアーを」

「俺達が門番と闘っているときはいたような気がするのだが…」

「逃げる!逃げる!魔者が逃げてゆく!」

いきなり、ミアが金切り声を挙げた。

その場にいる(まだいた)勇者一行と四天王は耳を抑える。

アレッサがすぐに指示を出す。

「バーレット、私とあいつらを追うぞ。レニャ、ミアを静かにさせてくれ」 

「はい!」

バーレットとアレッサは、すぐさま四天王の元に走り、統率者だと思う魔者の肩を抑える。

レニャは、静かにミアを抱きしめる。不思議と、声が小さくなっていく。

「なぜ、逃げようとした?」

アレッサが強くビルモスの肩を抑え、低い声で、問う。

「…。魔王様のところに行くんだよ」

「じゃ、その魔王様のところを教えてくれ」

杖を右から左に持ちかえながら、バーレットは聞く。

「なぜ?」

「リ、違う。勇者がそこにいるかもしれないからだ。後、ミアが騒ぎだすからだ」

少しの沈黙のあと、納得したかのように

「…。確かに。…仕方ない、魔王様にはなにもしないと約束するなら、案内してやろう」

と言った。

「ビルモス様…いいんですか?」

イルーゼが不安そうに見つめる。

「仕方ない。さぁ、行くぞ」

四天王、勇者一行、七人揃って部屋?から出てゆく。


―――――――――――――――――――――――


古めかしいランタンが両壁に並んで辺りを優しく照らしている。

「えっ、魔王の部屋って地下にあるの?」

レニャが聞く。

「いえいえ、魔王様の部屋はちゃんと地上にありますよ。今、私達が向っているのは闘技場です」

先導で歩いていたミラが答える。

「そろそろです。ビルモスさん、イルーゼ。開けてください」 

そう言う、目の前には大きな扉があった。

ビルモスが、右の取手を持ち、イルーゼが左の取手を持つ。目を合わせ、一緒に引く。

ゆっくり、ゆっくり開いていく。だんだん、光が漏れてゆく。


「「「リアー!」」」

「「「「魔王様!」」」」


一斉に叫ぶ。


…リアー!

…魔王様!


「「「???」」」

「「「「????」」」」


なにも帰ってこない。ただ、声がこだましただけだった。


「えっ…リアー‥勇者はどこにいるの?」

アレッサが思いを零す。

「魔王様は…」

レナードが呟く。

各個人、闘技場内を歩く。けれど、一人一人っ子。いない。それに加え、

「綺麗だ…。闘った形跡がない」

ビルモスが言う。

「確かに…」

「どこにいったんだろ。リアー…」

レニャが壁に向かって零す。

「他の部屋にも行ってみましょうか!」

ミアが大きな声で伝える。

「そうだな…」

「リアー‥」

「…」

「魔王様…」

「どこに…」

「…ハァー」


地上に戻り、

「皆さん、分かれて探しましょうか。魔王城は広いので」

ミアが地下に繋がる扉を鍵を締めながら言う。

ばらつきながらもみな頷く。


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僕は、勇者? 余は、魔王? ころこね @konene

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