第2話 一方で、彼らは

杖から繰り出される紫の玉を避けながら、羊のような角が生えた女が聞く。

「クッ、よくやるな!貴様、名は?」

大きな鎌を振る。フードで顔を顔を隠した男が答える。

「バーレット。貴方の名前は?」

「イルーゼ」

「イルーゼ。いい動きをしてるね。だけど、これは避けられるかな?プリシファイ!」

無数の矢がイルーゼを襲う。

イルーゼは鎌を振り、矢を落としていく。

が、防ぎきれない物もあり、

シュ‥肩を裂き、右頬を擦る。顔をしかめさせる。

「なかなか、すごいね」

そう言い、イルーゼはバーレットに蹴りを入れる。

それは、綺麗に足に当たった。

「クッ…」

体が後ろに追いやれ、ぶつかる。壁にヒビが走る。

「アレッサと、同じくらいだ」



「うわー、バーレットさん。すごい。あれを食らっても立ち上がるなんて。私も頑張らなきゃ。えりゃ!」

バーレットさんを褒め見つつ、目の前に迫りくる吸血鬼を蹴る。が、避けられる。

「もー。避けないでよ。吸血鬼さん」

「それは無理ですね。では、」

キラリ、尖った歯が光る。上に飛び、少女の首を狙う。

カブっ。血が飛び散る。

「ッッッッツ!!あんた!ひどい、少女の首を噛むなんて。でも…」

「仕方ないでしょ、私は吸血鬼。人の血を吸わないと生きていけないんですよ。…!この血」

(なに…?痺れてきた。まさか、)

「効いた。…やった!成功した。師匠の言う通りにしてよかった」 

「貴女、血になにか混ぜましたか?」

「正解」

(チッ、可愛らしい娘だから、油断していた)


「女のくせによくやるな」

「それはどうも」

キギッ。男の持つ、レイピアと女が持つ斧が打つかる。

(細い、刺すことしかできない剣のくせに、折れない。魔力を入れているからか?)

一旦、斧を引く。瞬間、髪の隙間にレイピアが通る。

一歩、二歩飛び下がる。

「!」

下がりながら、持ち替えていた斧を男に向け、投げる。

ガンッッッッ!!後ろの壁が壊れ、光が漏れる。

「危ないな」

ヒュヒュヒュ、腰から抜いた剣を男に向かって振る。

「ッッ!……!」

時折、髪に掠りハラリと地面に、落ちる。反撃をせんとばかりに女の肩にレイピアを刺す。その際、隠していた小刀を男の右腹に刺す。

「クッ…」

「ッッ…やるな」


はわぁ…みなさん、すごいですね。

しかし、イルーゼ、レナード、ビルモスさん羨ましいですね~。

この、私を差し置いて先に戦闘を始めるなんて。

あー、私も早‥

「!」

何かいる。後ろに。振り返るか?…

「!…鳥?」

振り返ると、南国にいそうなカラフルな大きい鳥。小さい目がキョロキョロと私を見る。

「なんで、ここに…」

刹那、

「いたいた!いたいた!魔物いたいた!」

と金切り声で騒ぎ始めた。あまりにもうるさくて耳を抑える。抑えながらも、私は鳥に聞く。

「ちょ、ちょ。もしかして、あなた勇者一行のペット?」

「いたいた!いたいた!魔物いたいた!」

…うるさい。殺さなくちゃ。可哀想だけど。一応、敵のペット?だし。

耳を抑えたまま、本棚に向かい一冊取り出す。目を閉じ、創造する。目を開けると、小刀が現れていた。それを握り、鳥に向かい。振り落とす。

ドスッ…。やっ…いない!小刀は床に刺さっている。本を閉じ消す。       

「レニャ!レニャ!こいつ、凶悪な敵!こいつ、凶悪な敵!早くやっつけてー!!」

鳥は素早く動き、避け、また金切り声を上げる。 その瞬間、ドアが開き首から血、鼻から血を出した少女と体の動きがおかしいレナード様が部屋に、入ってきた。

「あんた!?私のミアに手を出した奴は?」

「そうよ」

さっきの本を開き、目を閉じ、急いで創造し三又の槍を出す。

「…」

目に止まらぬ速さで拳をレニャは拳を繰り出す。

「!クッ‥」

それを、三又の槍でギリギリ防ぐ。

ミシッミシッ…嫌な音が聞こえる。

レナード様は?

ポケットから、小さなガラス瓶を出し使い魔シュレイガーを放っている。

コウモリのようなものが一斉にレニャに襲い掛かる。

…スッ…火が走った。一瞬でシュレイガーが燃え消えていく。

「はぁ?私の使い魔が…」

レナード様は目を丸くした。

拳を抑えながら、周りを確認する。隣の部屋の壁が破られ、フードを被った男とイルーゼが闘っていた…が、なぜか今はこの部屋で闘っている。

イルーゼが、私の元へ飛んでくる。男が蹴ったからだ。 

「フランマ!」

炎が私とイルーゼに目掛け、走る。

私は、槍を引きを宙を一回転する。イルーゼは頭を下げた。その隙に、拳が頬を当たった。それを見た男が

「レニャ、またか。ミアが危ない目に遭うと、暴れるなんて。だから、いつまで経ってもミアがお前から離れないんだ」

悪態をついた。

「うるさい!バーレット!」

私じゃなく、男の人に拳を繰り出した。

ヒョイ、軽く避ける。壁にヒビが入った。

少女は、痛かったのか地面に座り込もうとしたが、イルーゼは許さない。足を狙い、蹴りを繰り出す。

少女は上に避け‥。

あっ、今だ。

その隙に、私は少女に槍を刺す。

が、

バキっ。

「だめですよ」

折られた。

新たな本を開き、目を閉じ創造する。その間、男が魔法を出すが、レナード様が防いでくれる。

目を開く。手には、鉄の棒。

男の人に突き出すが、それはさっきのヒビに当たり壁が壊れた。

一同、静まる。そこにいたのは、血まみれになりながら戦う女性と男性がいたからだ。 

… … …


「「「ビルモス(様!)(さん)」」」

「「アレッサ!」」

一同、それぞれの元へ駆け寄る。

「アレッサさん?大丈夫?ほら、これ?」

レニャがベルトに挟んである小袋を引っ張り、いろいろな薬を出す。

「アレッサ、君がここまでやられるなんて珍しいね」


「ビルモス、大丈夫か?」

「いやー、珍しいね。ビルモスさんがこんなに血を流すなんて」

「包帯、入りますか?」

そう言って、本を出し目を閉じ包帯を出し、渡す。


「「…お前ら、決着は着いたのか?早く、勇者(魔王様)の元へ向かわないと…」

治療を受けていた二人の口が揃った。


「「「「「あっ…」」」」」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る