第5話 新イベですよ! 最弱職!
リリリリリリリリリリン! なにか大きな音が聞こえる。あれ……? 私、何してたんだっけ……。
「はっ! ……? あ、そっか……。私、寝ちゃったんだ……」
あぁー。由紀、怒ってるかなぁ。ゲームして寝落ちるって初めての経験だ……。
コンコン。ドアがノックされる。
「琴音。早く起きなさいよ? ご飯できてるわよ」
「はーい」
***
よーし! 今日は早く学校に行けそう。昨日はめっちゃ強いボスを倒したんだ。その後すぐ寝ちゃったけど……。由紀と昨日の話をしたい。いつもは歩くのが憂鬱な通学路。でもなんだか今日はすごく楽しい。
「ふふふ。今日はいい天気だなぁ」
***
「おはよーございまーす」
教室の扉を開けると由紀と真っ先に目が合った。
由紀が笑って手招きする。私は由紀の側へ行った。
「おはよ! 琴音!」
「おはよ! 由紀!」
「もー昨日はビックリしたよ。まさかあの直後に寝落ちしちゃうなんて」
「ごめん、ごめん。疲れちゃってさ。私も朝起きてビックリしたよ」
「まぁ、私もすぐ寝ちゃったんだけどねぇ」
由紀はそう言うと右手に持ったボールペンをクルクルと回す。
「あ、そういえば」
由紀はピタッと止める。
「知ってる? 新イベントが来たんだよ」
「新イベント?」
「そう。『襲撃イベント』っていうやつ」
「なにそれ知らない……」
「やっぱりかぁ。『襲撃イベント』は群れで生息するモンスターを倒すイベントらしいんだよね」
「群れ? 昨日やったスポナー破壊みたいな感じ?」
由紀がボールペンをペンケースに戻す。
「それが分かんないんだよねぇ。新イベントで情報が曖昧でさ。このゲーム、プレイヤー達が自力で情報を収集しないといけないから何も分かんないんだよ」
「ううーん。かなり大変だね……」
「まぁ、幸いなのが全プレイヤーで協力してやる『レイドイベント』だってことだね」
その時、教室の扉が開かれる。
「ホームルームを始めるぞー。お前ら席に付けよー」
「じゃあ、また夜ね! 琴音!」
「うん!」
***
「襲撃イベント!? ってことは最後のボス倒されちゃったってこと!?」
「そういうこと。まぁ、グダって最後のボスの情報、手に入れれなかったし仕方ないよね」
そういうと妹の
「ったく。私たちが最後のボスを倒す予定だったのに。どうせまた一位の二位の最強コンビがやったんでしょ?」
「たぶんね。あの人たちめちゃくちゃ強いし……」
「決めた。茜。私たちはこのイベントで最高の結果を残す。そして分からせてやろ! 私たちが最強のプレイヤーだってことをね!」
「お姉ちゃん……! それ最高の考えよ!」
私たちはランキング五位と四位。必ずコイツらを超えてみせる。一位と二位の座を奪ってやる。
***
『ようこそ。「MAGIC・WORLD」へ』
ここは……。あれ? 森? 昨日は確かキングゴブリンの洞窟へ飛ばされたはずじゃ……。
「あ、きたきた。おーい! 琴音!」
「あ、いた! 由紀!」
私は由紀の元へ駆け寄った。
「ねぇ、由紀。これどうなってるの? 私たち昨日は洞窟へ飛ばされたよね?」
「たぶん、ゴブリンキングを倒したからボスエリアから解放されたんじゃないのかな。だから元の森へ戻った。こういうことだと思うよ」
「なるほど……。今日は新イベントの情報収集をするんだよね? 早く行こ!」
「そうだね! とりあえず、この森から抜けようか。まずは街へ行って情報を集めないと! 私に着いてきて! 案内するよ!」
「ほんと!? ありがとう!」
初めての街! どんな場所なんだろう? ワクワクしてきた!
***
何分歩いたのかな。私はある一つの不満が沸いた。
「敵、多すぎない!?」
「ど、どうしたの!? 琴音!?」
私が思わず由紀の方を向いて言うと。由紀は驚いて声を上げた。
「だって、敵キャラが次から次へと出てくるんだもん!」
「うぅーん。それは私も思った……。明らかにおかしいんだよね。こんな短い間に何体も何体も出るなんて早々ないのに……」
「これも襲撃イベント追加の影響なのかな。だとすると早くイベントをクリアしないとな……」
「ああぁぁぁぁー! あんたはスノー! こんなところで何してんのよ!」
「「え!?」」
声の方向を見ると背の低い女の子がいた。
「リウラ!」
「ふふん。私のことをちゃーんと覚えていたようね! さすがランキング六位!」
「えっと……。この人はだれ?」
「はぁー!? 私を知らないの!? 私はランキング五位のリウラよ!」
「な、なんのよう? まさかまた決闘しようとかじゃないよね?」
「ちがうわよ。もっと面白くて最高のお題を持って来たの。ずばり言うわ」
リウラは由紀に指を刺した。
「次のイベント! どっちが最高の結果を残すか勝負よ!」
「最高の……結果……?」
由紀が困ってるな。頭をかいてる……。
「そうよ! どうしたの? まさか怖気付いた?」
「いや、勝負するのはいいんだけど……。どうやって最高の結果か判断するの?」
「……え?」
「「え?」」
「ええっと……。それは……! その!」
「もしかして、なにも考えずに言いに来ちゃった?」
由紀はそう言うとしゃがんでリウラの頭を撫でた。
「うう、うるさい!」
リウラはそう言うと手を払い除ける。
「とにかく! 絶対、勝負だからな! 忘れるなよ!」
そう言うとリウラは走り去ってしまった。
「さて……と」
由紀は立ち上がり私の手を握る。
「もうすぐで街だよ。急ご!」
「あ、うん!」
私たちは走り出した。
遠くには大きな壁が見える。街はすぐそこだ。
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