第2話 シュレッダー犬の水洗トイレ
「あれは、シュレッダーなの?犬よね」
だって、犬なんだもの。いや犬でもないような。でも、犬なんだろうな。
犬は上を向いて、口を大きく四角く開けている。事務員は
すると、犬がむしゃむしゃと食べ、ごっくんと飲み込んだ。
頭を下げた犬の後ろに便器が見える。
そして犬は、おもむろにその便器に腰をかけ、「ぶぼーーーー」という、ものすごいおならとともに、細かくなった紙を
あまりの勢いに事務員の髪が
紙は便器から飛び出し
だが、その犬が天井からぶら下がっている
りおは、あっけに
「なんなの?あれ。」
「シュレ、だ~~~でしょ?」
「シュレッダー?」
ひなのは、口を四角く開いて「だ~~~」と言い直す。
「まあ、呼びにくいからさ。だいたい、みんな、シュレって呼ぶわね。」
「生きてるの?」
「生きてるに決まってるでしょ?」
「そんなことより、
りおは、シュレから目が離せない。そのまま
「遅刻?」
りおは、我に返ってひなのを振り返った。
りおは、思い出した。
ひなのは遅刻の
「まだ、始業じゃないでしょ?」
「だいぶまえに始業のチャイムなってたじゃない。」
りおは、青ざめた。
「やばい、いそがなきゃ。」
ひなのは、教室に向かって走ろうとする、りおの手をつかんだ。
「ねえ、いい考えがあるんだけど。」
りおが連れてこられたのは、保健室だった。
「はい、どうぞ。」
ひなのは、これまた礼儀正しく「失礼します。」と中に入った。
「同じクラスの島りおなさんが、
よくそんなウソが言えると、りおは青ざめた。
「まあ、ひなのさん、ありがとう。」
そう答えたのは保健の木田先生である。
「りおなさん、大丈夫?」
「・・・はい。」
りおは、少し気まずかった。
木田先生は、ひなのに向き直って言った。
「先生が見てるから、もう大丈夫よ。ひなのさんは、教室にもどって。担任の岡林先生には、お伝えしておくわ。」
ひなのは上手くいったとばかりに
なんて調子のいいやつなんだろう。
「どのあたりが痛いの?」
木田先生は
「えっと、みぞおちあたり、かな?でも、だいぶ良くなりました。えへへ。」
「そう、じゃあ、しばらく横になって様子を見ましょうか?」
「は、はい。」
りおは、ベッドに横になって深く息を吐いた。
木田先生は、ベッドが個室になるように、カーテンを引いてくれる。
「じゃあ、りおなさん、ゆっくりね。」
いったい何がどうなっているのだろう。
生きているシュレッダー?
ああ、そうか、これは、夢なのだ。
どこから、夢なのだろう。
昨日からの夢の中で、夢を見ているのだろうか。本当に変な夢だ。
突然、フラッシュバックのように、「ダイキライ」と声が聞こえる。
「ああ、どうしよう。胸が苦しい。」
その時、変な声が聞こえた。
「おいしそうだね、兄ちゃん。」
「うん、うまそうだ。」
「食っちまうか?兄ちゃん。」
「そうだな、食っちまおう。」
「みいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
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