第18話 パンドラの玉手箱
明かりを
「このへん、見覚えがない?」と、りおが言った。
「あるみよ、
そこには、ひなのが入っていた繭がそのままになっていた。
美しく光る繭。
ひなのが繭の前に座る。
「ここにいたんだね、私。」
りおも、繭の前に座った。
「ひなの、何で繭に入ったの?
ひなのは顔をしかめる。
「思い出せない。哀しい
ひなのの影が、ウニョウニョと動いた。
「そうなんだ」
「ここにいたのも、
りおは、少し顔をゆがめた。
「あのさ、ゆたぽん、前に変な事言ってたでしょ?ここにいたのは1時間ぐらいだって。でも、ゆたぽんを失くしたのは、6年は前だったのよ」
ゆたぽんが、大きく首をかしげた。
「6年も、絶対たってないよ」
「え?ちょっと待って。6年が1時間って」と、ひなのが
「一時間が6年でしょ、ニュクスには2回会ってるから、最低48時間ぐらいはたつよね。48×6は、六八48,六四24で?ん?288年?300年近い年月が過ぎてるってこと?
「やばいよね」
とつぜん会話に入ってきたその声は、明らかに誰でもなかった。
りおたちは、声のする方に
「やばいやばい」
そこにいたのは、
亀が
「なに?だれ?」
「私、『浦島太郎』の亀でございます。
「へ?」と、りおたちは
「えー、
6人は、
「あの、亀さん、乙姫様って、あの乙姫様ですか?パンドラの玉手箱なんて聞いたことありませんけど」と、ひなのが言った。
「お話しに出てくる普通の玉手箱じゃないんですか?」と、りおが続ける。
「同じですとも。正式名です。長いので、物語では、玉手箱と申しております。あちら様の物語では、パンドラの箱と呼ばれておりますが」
「はあ、それを、私たちに…ということは、やはり戻ったら、300年たってるってことでしょうか?」と、りおは、不安げに言った。
「浦島太郎の物語的にはそうですが、玉手箱をお渡しするのは、300年たつからではありません」
「では、なんのために?」
「あなたに、魂を持つか
「選ぶ機会?」
「そうです。
「意志とは?」
「事実から
「玉手箱は魂の入る箱なのですか?」
「はい。
「若いまま永遠に、幸せだけで生きてゆけるのですか?」
「はい、そうですとも」
話しをしているうちに、一同はいつの間にか童話図書館に着いていた。
中に入ると、唐突に亀が言う。
「さあさ、どうぞ、こちらをお持ちください」
言ったのは
「
彼女の手の中の玉手箱は、
「ぜひご一緒にお連れ下さい」
乙姫様は、「
「いざとなると、魂を吸い出して、食べてくれますのよ」
魂手亀は、りおの足元をぐるぐる回ってすりすりするが、特に話せる様子はない。
「また、変な連れが
乙姫様は、いつの間にかその場から消えていた。
突然、ツバメが目の前を横切った。おやゆび姫だ。
赤い
童話のキャラクターたちが、次から次へと現れては、消えてゆく。
「なにこれ?なんだがぐちゃぐちゃじゃない?」
するとそこに、赤いガラスの
「ガラスの宮殿だわ!赤い!」と、りおが叫ぶ。
「そう、
そう言ったのは、白雪姫だった。
「あの時差し上げた、お
りおのポケットから、お箸虫が顔を出す。
白雪姫はにっこり笑った。
りおに向き直ると「
「鏡に、何か
「ただ、
白雪姫は、ひなのから本を受け取ると、同じ
すると、
りおたちも又、同じように何かに吸い込まれた。
赤い赤いガラス。降り注ぐ、赤い赤い光。
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