助けた異世界(地球)人が予想のナナメ上をいく〇〇だった
桃瀬ひま
第1話
森の、ほぼ入り口といってよいくらいの場所で。
獲物を前にいらだった青ウルフが吠えている。
まだ霧もたちこめる早朝、ギルドも寄らず宿からかけつけた。
ギリギリ青ウルフの攻撃が届かない木の枝の上で半泣き状態の少年。
彼のステータスの一部を視てつい笑みがこぼれる。
氏名:桃瀬そら
年齢:12
レベル:1
体力:5
知力:5
敏捷:5
器用:5
幸運:100
※享年32歳までの前世(異世界)の記憶及び転生特典保持
自分で意図したのか誰かの故意かは読んではいないが、
幸運に全フリしちゃいましたか。
うん、嫌いじゃないよ。
その幸運100のおかげで私が間に合った訳だ。
「ネル、暫く距離とっててね。」
常に傍らにいる守護聖獣に声をかけてから件の木へ近づいていく。
『過去最大の面倒事のにおいがするぞ』
最近やけに人間くさくなってきたネルがため息まじりにつぶやく。
諦めてるくせにー。
面倒事?大歓迎じゃない。
今更見捨てる選択肢はない。
半泣き。通り越して魂半分昇天しちゃってませんかね?
せっかく美少年に転生してきたのに口から魂こぼれてますよー。
珍しい黒瞳黒髪が神秘的で、いっそう美しく見える。
「少年、お困りかな?この魔物は私が倒してしまってもよいかな?」
はっきり聞こえる様に少し大きめの声をかける。
少年も青ウルフも同時にびくりと反応する。
青ウルフは既に弓を構えた私と視線が合った瞬間、森の奥へと逃げ出した。
そして
【美形エロフきたーーー!俺の幸運グッジョブ!】
遮断しているはずの読心能力をぶち破って届く心の声。
残念すぎる32才おっさんの叫び。駄々洩れである。
助けた異世界(地球)人が予想のナナメ上をいく〇〇だった 桃瀬ひま @hima_momose
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