第6話

俺の相棒が殺されて亡くなった。


見つかった当時の相棒の体には大量の血液と包丁による刺傷で酷く無惨な姿だったと聞かされた。


助けることができなかった。

相棒が迎える血末はバットエンドと分かっていながらも。

どうすることもできなかった。


妹が兄を殺すケースというのは、決して目新しいことではないが、取り巻く環境の中でそれが起きてしまうとどうしようも無い感情にならざるを得なかった。


相棒は妹である、恭子を好きだった。好きというよりも愛していた。


俺はそれを止めたかった。

どう考えても恭子はそれを望んでいなかったから。向けられる好意を愛だと知った時、

相棒のことを拒絶してしまうのは

目に見えていた。


だから、俺は嘘をついた。

「お前ら兄妹じゃないらしいな。」


決して全部がぜんぶ嘘ではなかった。

父親から聞いた話によると、母親は浮気をしていて、恭子が生まれたタイミング的には、実子じゃなくてもおかしくないタイミングだったからだ。


俺は、相棒が心に深い傷をつくことを恐れて、事実かどうか分からない話を真実だと伝えてしまった。


その結果、恭子がおかしくなって、相棒は心どころか体ごと傷つけられ、殺されてしまった。


俺がついた嘘のようなほんとの話、真実であり嘘の話が、相棒が殺され、恭子が殺人を犯した経緯に当たる。


俺には、泣く資格すらなかった。

愛した女に殺された相棒、兄妹だったから愛されなかった相棒、兄妹でないが故に殺された相棒。

救われなかった。

救おうとして救えなかった。


恭子は、自ら罪を自白するために小説を書き始めた。書き終えたあとは警察に行き裁かれるそう伝えてくれた。


俺はその時も事実を

伝えることができなかった。


相棒はそんな俺を許してくれないだろう。



1人にしてごめん。すぐに俺も向かうから。

だって俺たちは相棒であり表裏一体だから。


ゴボゴボゴボゴボゴボ…。

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