45. マーシャルワンへの応援要請

 遺跡の調査と柱の解析は一週間を目処に一旦終了した。

 それから現時点でわかっていることをまとめてエッセンスの街へ報告し、さらに必要な資材や人員、食糧などの追加を求めるわけだ。

 そちらは考古学ギルドでやるということなので、私は私でドクタースリーから渡された記憶媒体を持ってエッセンスの街まで戻ってきた。

 この記憶媒体をマーシャルワンに渡すためである。

 さて、マーシャルワンはどこにいるかな?


「マーシャルワン様ですか? あの方でしたら、今日はエクスプローラーズギルドにいらっしゃいます」


「よかった。面会できますか?」


「わかりました。都合を聞いてきますので少々お待ちください」


 エッセンスの街に戻ってまっすぐエクスプローラーズギルドに来たわけだけど、マーシャルワンがここにいてくれてよかった。

 ここ以外にいた場合、どこにいるか探さなくちゃいけないことになっていたからね。


 マーシャルワンとの面会もすぐに許可が下り、エクスプローラーズギルドの応接間でマーシャルワンに会うことができた。

 マーシャルワンもあまり変わりがないようでなによりだ。

 さて、それじゃあドクタースリーからの頼まれものを渡そう。


『これは……遺跡の発掘内容ですね。これを直接私に送ってきたということは、なにか意味があるのでしょう』


「意味……ですか?」


『はい。ドクタースリーもそれなりに権限を持っているので、工作兵くらいでしたら動かせるはずなのです。それなのに、私にデータを送り確認するように求めてきた。これは、私の権限が必要な機械兵を動かす可能性があるという報せでしょう』


「マーシャルワンじゃないと動かせない機械兵ってどんな種類ですか?」


『端的に言ってしまえば戦闘型の機械兵です。拠点防衛用も含め、戦闘型機械兵は基本的にマーシャルシリーズの直属となります。今回の報せは戦闘型機械兵の準備をしておいてほしいということのようですね』


 戦闘型機械兵って……一体なにを見つけたんだろう?

 怖いけど、考古学ギルドにも情報を共有するべきだろうし、なにがあったのか聞いておかないと。


『具体的になにを見つけたかまでは報告がありません。ただ、遺跡内部にあった傷から推測して遺跡を襲った襲撃者はまだ討伐されていないと判断したようです。今回の要請はその襲撃者の痕跡をたどることができた場合、戦闘型機械兵を貸してほしいというものですね』


「襲撃者の痕跡をたどるって、まだその襲撃者がこの近くにいるってことですか?」


『そこから調べていくということでしょう。すでにいなくなっているならよし。まだいる場合は脅威度を測り、討伐する必要があるならば討伐しようという判断のようですね』


「それって機械兵だとできるんでしょうか?」


『持ち出す装備によりますが、ある程度ならできます。大型の装備を持ち出さなければいけない場合、さすがにどうやってここまで運んで来るかの問題が発生しますが、大きな障害はそれくらいでしょう。神話生物でもない限りは倒してみせましょう』


 マーシャルワンが言ってくれるとドクタースリーが言うよりも心強い。

 ドクタースリーってどこか言葉が軽いんだよね。

 ともかく、これでなにか脅威があった場合でもクラウピアの協力を得ることができるようになったわけだ。

 あとは実際に脅威があるかの調査なんだけど、これもドクタースリーだけではこれ以上の調査が難しいらしい。

 こちらについても増員要請が来ていて、それ専用の機械兵をドクタースリーの増援として手配してくれるようだ。

 手配するといっても普通に連れてくると時間がかかるので、私が転移で連れてくることにはなる。

 まあ、その程度の協力は惜しまないけどね。

 でも、あの遺跡って本当になにがあったんだろう?

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