34. 北東の遺跡へ
翌朝、私はエクスプローラーズギルドで遺跡に運ぶ物資を受け取り、いよいよ北東にあるという遺跡を目指すことになった。
目標地点はリザーブのナビに記録されているから迷わないけど、それなりに遠いみたい。
道の状態もあまりよくないと聞いているし、気を付けて進まないと。
「うわぁ、早速これか。確かに、この道は走りにくそう」
「ミャウ……」
気合いを入れて道を進もうとした私たちの前に現れたのは、ドロドロになったぬかるみのエリアである。
数日前に雨が降っていたからこうなったのかもしれない。
かなり水はけの悪い土のようだ。
『そうですね。一応、別ルートがないかエアドローンで調べてみましょう』
「お願いね、リザーブ」
リザーブがエアドローンを飛ばして周囲を探索してくれたが、やっぱりどこもぬかるんでいるようだ。
ただ、ぬかるみが短くなっている部分があったのでそこまで向かうことにする。
そこまでの道もがたがたで、あまりいい道とは言えないんだけどねぇ。
「リザーブ、ぬかるみって水深測定機で調べられないの?」
『おそらく無理かと。もっと水に近い状態なら大丈夫だとは考えられます』
この程度のぬかるみじゃだめだということか。
仕方がないので、一番ぬかるみが短くなっている場所から対岸を目指す。
それでもタイヤを取られて結構空転したけど、ワイルドアンクレットならこの程度の道はどうにでもなるんだよね。
あまり無理はしたくないけどさ。
『ルリ。この先にも落石で通れなくなっている道があります』
「また? 迂回路はある?」
『はい。左手側の山に入って行ったあと、少し急ではありますが上り下りできそうな斜面を見つけました。そこを使いましょう』
「わかった。道案内をお願い」
『了解。ナビを起動します』
ナビ通りに左手側の止めへと進んで行くと、本来進む予定だったはずの道が見えた。
道はワイルドアンクレットよりも大きな岩で塞がれており、とても通れそうにはない。
やっぱりこの道ってかなり状態が悪いね。
これから降りる斜面も本来のみちじゃないし。
「リザーブ、帰り道はどうしよう?」
『そうですね、『幻獣の抜け道』を使うか、いまの斜面を登るかの二択だと考えられます。いまの状況でしたら、『幻獣の抜け道』を使って戻った方がよいでしょう』
「私もそんな気がした。あの岩ってどうするんだろうね?」
『往来の妨げになりますし、エクスプローラーズギルドが解決するのではないでしょうか? 一般的な車両では、これから行く遺跡への物資運搬が滞ります』
だよねぇ。
ワイルドアンクレットの装備に岩を破壊できるようなものはないからとりあえず放置するしかないけど、最終的には誰かが岩の破壊と撤去をやらなくちゃいけないよね。
あのサイズだし、結構大変そうだなぁ。
そのあとも道なりに進むと、道がぬかるんでいたり、沼地に橋が沈みそうになっていたりと、かなり危険な道程だった。
これは信頼できないエクスプローラーには任せられないし、信頼できるエクスプローラーであっても装備が整っていないと対応できないね。
私はエレメントの街で信頼されていたからこそ、この仕事を回してもらえたわけだし。
運がよかったのか、悪かったのか。
ともかく、エアドローンを飛ばした限り、この先には難所となっている場所はない。
早く物資を届けてあげよう。
ここがどんな遺跡なのかもちょっと興味があるしね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます