27. クラウピアについての説明
私はマーシャルワンと一緒に、クラウピアについてモルターズさんへと説明を行った。
最初はいぶかしげに聞いていたモルターズさんも、私が証拠映像として記録しておいた映像を見せるとようやく信じてくれるつもりになったようだ。
ただ、やっぱりエクスプローラーズギルドとしては、実際に見てみないことには判断が下せないという。
困ったな、どうしようか。
『実際に行って確認すればいいのですね?』
「ああ、そうだが……できるのか?」
『ルリ様の魔導車……ワイルドアンクレットでしたか。あれに転移装置をつけてあります。クラウピアに転移しても、転移前にビーコンを設置しておけば同じ場所に何度でも戻れますのでその方法でクラウピアを訪れてもらうのはいかがでしょうか?』
「なるほど。構わないか、ルリさん」
「構いません。あと、私のことはルリで構いませんよ」
「そっか。じゃあ、ルリ。クラウピアへの調査員を輸送してくれ。輸送が完了し次第、報酬を支払う。クラウピアの調査内容によっては増額だ」
やった!
思わぬところで臨時収入!
クラウピアに向かう調査員だけど、かなりの数となった。
遺跡調査員のほか、地質調査員や植生調査員、それにそれを守る護衛までいるので全部で30人くらいだ。
ちょっと輸送に時間がかかりそう。
モルターズさんは問題ないと言ってくれているけどね。
「ワイルドアンクレットに乗車できる人数だけしか移動できないんだ。最初から時間がかかることは織り込み済みだ」
「わかりました。まずどなたから移動させればいいのでしょう?」
「護衛たちを優先だ。君たちの話では脅威となる存在はないようだが、本当に脅威が存在しないかを確かめる必要がある」
なるほど、これが人の上に立つ人の考え方か。
他人の話を鵜呑みにせず、慎重に行動する。
なんだかかっこいい。
というわけで、私たちは移動目標となるビーコンをエクスプローラーズギルドに設置し、最初の組を送り届けることとなる。
はじめは護衛3人とマーシャルワンだ。
マーシャルワンがいろいろと話をつけてくれるらしい。
なんだか、とんぼ返りさせてしまって仕方がないな。
ちなみに、ドクタースリーはこちらに残る。
彼は帰ってもやることがないと言って帰るつもりはないようだ。
うん、なにか起こさないか不安である。
ドクタースリーのことは気がかりだけど、そっちに構ってばかりもいられないので、早速クラウピアへ移動した。
移動した先はクラウピアの門前。
事前に説明を受けていた通りだ。
ただ、クラウピアの入り口を塞いでいた壊れた門は撤去されている。
これは入りやすくなったな。
『マーシャルワン、急なご帰還ですがなにかありましたか?』
門衛をしていた機械兵がやってきてマーシャルワンに状況確認を求めてくる。
マーシャルワンも手慣れたもので、あくまでもヒト族との交流のため一時帰還しただけだと話した。
それから、みんなの移動用にこの街にあるヒト族が乗れるサイズの車を用意するように指示を出していた。
本当に気配りもできるいい指揮官だ。
マーシャルワンはクラウピアに残し、私はエッセンスの街とクラウピアの間を行ったり来たりして機材と人員の移送である。
最後にギルドマスターのモルターズさんを移動したら終了。
魔導車に乗っているだけだけど、さすがに気疲れをしたよ。
「これがクラウピアか。我々の街よりもはるかに高くそびえる壁。それも表面は鏡のように磨き上げられている。相当技術力の高い文明だったのだろうな」
『お褒めにあずかり光栄です。それでは皆様を街の中へご案内いたします。あちらの車にお乗りください』
「あれか……。あれは装甲車ではないのか?」
モルターズさんが視線を向けた先、そこにあったのは全面を分厚い装甲で覆ったまさに装甲車だった。
あんな物騒な車、どうして出てきたんだろう?
『申し訳ありません。ヒト族が乗る車を急ぎで調達したのですが、すぐに動かせるものがこれしかなく……』
「いや、そういう事情ならば仕方がない。移動は徒歩だと厳しいか?」
『クラウピアはかなり広い都市です。車に乗っていただく方がよろしいかと』
「わかった。全員、車に乗り込め」
調査団一行は装甲車の中に乗り込んでいく。
調査用の機材は機械兵たちが手分けして運んでいくらしい。
私はワイルドアンクレットに乗ってついていくだけだ。
2度目のクラウピアだけどなにか新しい発見はあるかな?
ちょっとわくわくしてきた。
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