推しと異世界転生とかふっざけんな!

永寝 風川

1推し目「推しと同じ空間はNO!!」

「神ぃぃ!」


とある日の朝、どこかの中学校の学生服に身を包み、方にバックを掛けてコンビニから出てきた瞬間に大声を出したのは、この物語の主人公、晴賢 早輝はるから そうきである。

彼は喜びのあまり両手を挙げており、片方の手にはコンビニ弁当、もう片手にはスマホが握られていた。スマホ画面には、主人公がアイドルのプロデューサーとなりって、スカウトしたアイドルを育成し、トップアイドル達の称号である、コストレートの1人に導かせると言う、今人気のアイドル育成ゲーム『アイドルスター!ワンコストレート!』の10連ガチャの結果画面が映っていた。

ガチャ結果は、普通の人は爆死だと思いそうな全員最低ランクの星一キャラだったが、よく見ると全員坂春 島香さかはる とうかというサバイバル系アイドルが当たっていた。


「あ、念の為にっと...スクショ確認ヨシ!」


そう言って早輝は周りの若干というかめっちゃ変な目で見ている周りの人達を気にせず。コンビニから少し離れると、画面に目をやり、今さっき撮ったスクショをじっくり見て心の中で歓喜する。そう彼は重度の島香推しで島香狂いであり、その狂いぶりは、島香が育成ストーリー言ったセリフ等を全部覚える程である。

そんな彼は初めて10連ガチャで全員統一推しという、今まで見たことない結果で歓喜していたが、少しすると登校中だった事を思い出しスマホを落とさないようポケットに入れて、買った弁当を学校指定のバックに入れ走り出す。


(10連結果全て推しとはこれマジで神ってるな!この調子で育成に本気出して今まで出したことないスコア叩き出してやるぜ!)


そう思いながら、青に変わった信号機を見て横断歩道を渡っていると、横からスピードを出して来ている車が突っ込んできた。


(死ぬかぁ!推しパワーを舐めるなぁ!!)


早輝は変なことを考えながらも回避が出来ず、彼はそのまま車にかれて死んだ。





(推し...パワー...な...)



彼は薄れゆく意識の中、色々(特に推しの事)等を考えていると、ある決論がはじき出された。


「スマホ壊れたら推し見れねえじゃねえか!ふっざけんな!」


早輝はそう言って勢いよく体を起こした。


「あれ?俺、轢かれた...ん...」


轢かれた光景から一変した目の前の光景に彼は呆然としていた、そう彼の目の前には緑溢れた自然豊かな大地が広がっていたのだ。


「これはー異世界転生ですね!って事は〜ステータスが!」


急に色々起こったことで、非現実的な光景をいつもの事だと早輝は勘違いをして、とりあえず、異世界転生ならとステータスと頭の中で唱えると、前に青いパネルが現れる。早輝は(やっぱりでるんだ)とか呑気な事を考えつつ、『ステータス』『名前』etc色んなことが書いている中から欄にある『スキル』に注目する。


「出たァ、ってなにこれ一心同体?なになに...坂春 島香とステータス共....」


彼は口に出しそこまで読み、周りを見渡すと、明るい水色と白を基調としたフリフリ衣装を着て、綺麗な黒髪で髪型はボブの綺麗で優しい顔立ちをした、女性がすぅすぅと大自然の中で横になり寝ていた。それを見た彼は一瞬頭を横にぶんぶん降って再び、顔をよく見たがやはりこの女性は、彼の推しであり『アイドルスター!ワンコストレート!』に出てくるサバイバル系アイドル事、坂春 島香であった。


「.....え?」


彼は混乱したが、頭を落ち着かせ少し前の事を思い出し始める。


彼が車に轢かれ死んだ後すぐ


「推し!推し!推し!坂春ちゃんは世界一ぃぃ!」


彼はそんな事を口走り、手を上にあげそのまま振り下げるという行動をしていた。

そして彼の後ろには、お城にありそうな巨大な扉が空いており、そこから入ってきたであろう、背後に神々しい光を放ち、シスターの様な服を着ている綺麗な女性が困惑しつつその光景を見ていた。


「あの、この世界を救っ....」


「推し!推し!推しパワーは無限!坂春 島香は世界一!!」


彼女は率直に何度も呼びかけるが、彼は錯乱しているのか声が届いてなく、同じ行動と言葉をいっている為、女性は困惑していながらも、聞こえるよう頑張ろうと大きな声を出そうとするが。


「あの...」


「推し!推し!」


「もういいや...」


結局届くことはなく、女性が諦めてそうつぶやくと、空中に浮いているなにかの文字烈からひとつ選び、彼の中にそれを入り込ませると、聞こえてないだろうが一応。そのスキル名前をつぶやき、錯乱している彼の前に既に開いている扉を召喚すると、神様パワーで動かしてその扉に突っ込ませた。

そして、疲れた声で。


「勇者よ、魔王を倒してください」


と、つぶやくのだった。


その光景を今思い出して彼は、


「やっちまったな....」


「というか!異世界じゃねえか!!何?俺異世界転生系主人公なの?」


としばらく言いづつけ、少しするとしばらく考え込んでると、とあることに気づき彼は急いで適当な方向に走り出した。


(推し起きる→俺、なんやかんやあって嫌われるor異世界召喚者特有のハーレム能力で推しが自分の事を好きになる→つまりどっちとも嫌だ。というかそもそも推しと一緒とかくっそ恥ずかしくて、怖くてあばばばばばばば)


「うん。うぉぉぉ!推しと一緒の空間にいられるかぁ!!」


なるべく一直線に草原を走っていると、いつもより、というかめっちゃ足が速いことに気がついたため、とりあえずしばらく走った後、立ち止まってステータス画面を出して一心同体のスキル内容を確認する。


スキル名 一心同体は早輝がやっていたアイドル育成ゲーム『アイドルスター!ワンコストレート!』で早輝が育成を完了した、坂春 島香のステータスと早輝のステータスを合わせてリアルタイム共有するため、HPも共有されてるため片方のHPがゼロになると両方ジ・エンドになるという物であった。簡単に言うと、2人のステータスやスキルが合わさるけど、片方が死ぬともう片方死ぬという感じである。

もちろん、アイドルスターの中では攻撃力という物はないため、そこは神様パワーで、輝きというステータスは魔力に、ダンスは素早さのステータスに...てな感じで色々変わっている。


「なるほど、こうなるんだなぁ...」


と感心して下を見るとどうやら彼の持ってるスマホで今まで育てた、坂春のステータスに変更出来るらしく、一応変えられるのなら、彼女1人で生きられるように、魔力特化や防御特化...どのステータスにしようかなと考えながら、今のステータスを見て少し考え込む。


(あーこれからどうしょ...一応、一心同体で最初のボスぐらいには勝てるのか?)


と思いつつ平均ステータスが15000で最低ステータスの魔力でも10000あるステータス画面を見ていて、どうしようかなと、スキル画面を再びなにか追加されてないか見てみると。一心同体のスキル情報に彼にとって一番嫌なとある事が書いてあった。


『このスキルで繋がってる対象が遠く離れると、スキルを持ってる人の近くにテレポートします』


「え?」


彼は嫌な予感をしつつ後ろを見ると、坂春 島香がまだすぅすぅと寝息を立てながらねていたのであった。


「くっそたれがぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


(い、いや落ち着け、俺...)


「大丈夫だ、まだあわてるような時間じゃない....安心しろ、安心しろよ....ふぅ....」



動揺しながらも、無理やり思考を落ち着かせると、どうするか彼は考え込んだ。


(そもそも島香ちゃん...あーくっそ!ちゃん付けするだけで吐血する!まぁ落ち着け俺...そもそも、俺はこういう異世界転生物でありそうな、正体というか...プロデューサーとは思われないのか?それが問題だ)


彼が今考えてるのは、推しが目を覚まし自分を見たらどう思うか、という普通の人ならなんでそんなことで考え込むの?と思えるような事だった。しかし彼にとっては大切な事だのだろうか、それを考え込んで座いる時間は30分立っても変わることはなくまだまだ思考を巡らせていた。そしてだいたい1時間経過したぐらいにようやく結論が出された。


(そもそも、俺とプロデューサーの見た目違うかもだし大丈夫じゃね?)


馬鹿なのだろうか、この主人公は...まぁそうして彼は前向き...?に良かった良かったと思っていると。後ろから「おはよぅ...ございます〜」と言う声が聞こえる、早輝はビクッと体が跳ね、何と声をかければいいのか分からないのと、推しの名前声に脳が処理しきれず固まっている。


「あれ?どこでしょう...ここ」


そう言って坂春は周りをきょろきょろ見渡し、中学生ぐらいの男性つまりは早輝に見つけて、あれ?っと思い首を傾げて声をかける。


「プロデューサーさん...?ですか?」


「ぁぇ?!」


その一言で早輝の頭の中が完全ショートして変な声を上げると、彼は立ち上がって一言叫ぶ。


「推しと.....一緒の空間に入れるわけねぇだろ!!」


その言葉の意味が分からなかった島香は、詳しく話を聞こうとすると、早輝は凄まじいスピードで走り去って行き、困惑して立ち止まっていると自分の体が彼の向かった方向に引き寄せられる。島香はこれはさらに話を聞くチャンスだと思い追いつこうと頑張って走り出した。


「ふっざけんな女神のヤロー!!俺が推しと一緒の空間に入れるわけねえだろ!」


今回はなりふり構わず森の中を走っていた、早輝の耳に島香の声が聞こえる。


「待ってください!そこの人ー!少し状況説明をください!」


「なんでだよ!!」


早輝はツッコミをしながらも、島香と離れたい一心で走っているため時々転けそうになったり、木の枝が当たって(0ダメージだが)痛いと思いつつも走るのを辞めない。

一方島香は、何故かブーツを履いているにも関わらずスピードを落とさず、転ぶ気配もなく

、なんなら木の枝等も1つも当たらずに早輝を追いかける。


(さすが〜サバイバル系アイドルだなぁ〜)


その光景を見て、やはりと言うべきか島香がぐんぐんと近ずいて来てるのをみてそんな事を思ってしまう、現実逃避かもしれないが...

早輝は疲れとか傷を気にしてる場合じゃないと思い、さらにスピードを出して距離を少しづつ離した。

そんなこんなで森の中を爆走していると、前からイノシシを人型にしてお相撲さんのような図体をし、ボロいが騎士のような防具と大きな槍を持っているいるモンスター、つまりはオークナイトが目の前に現れた。


「獲物だぁぁぁ!」


「邪魔だァァァ!」


オークは獲物宣言をした早輝に向かって、槍を向け構えをとる一方。早輝はタックルを仕掛ける体制で槍の真正面に突撃する。オークは(馬鹿め!)と思ったが結果は槍は刺さることなく、槍全体がバラバラに壊れた後、早輝はタックルがオークのでかい腹に突っ込んで鎧ごと文字通りバラバラにさせた。


「うぉぉぉぉぉ!」


彼はその瞬間を見たが特に同様するとこなく、というか推しと同じ空間にいたくない一心で光景が目に入らなかったのか、そのまま突っ走る。しかし、彼のおっている坂春はその光景をみてしまったが、グロいとは思わなかった。理由はバラバラになった瞬間、血の様な物は一滴も撒き散らさず、なんならバラバラになった断面は骨や肉がなく、黒に近い紫の霧が見えただけだったからだ。まぁ、祖父の家は家畜を飼っていて、豚とかを解体を手伝っていたという点もあったのかもしれないが...

しかし、坂春は目の前で起こった光景を見て何を思ったのか少しスピードを落とし、少しすると再びスピードを元に戻し走り出すのだった。


「うぉぉぉ!」


あれから45分経過、早輝はそろそろ体力に限界を感じつつも走っていた。もちろん運命に抗うためと言ったら、少しはかっこよく聞こえるかもしれないが、本当の事を言うと恥ずかしいだけである。

まぁ、とりあえず走って走って走り回っていると。本日2回目のエンカウントこと、オークナイトが出てきた、しかし今回は数が数十体いるし、なんか奥にさらに巨大になった体に周りとナイト達とは違う金ピカの金の鎧で身を包み、大きな刀身が赤い肉切り包丁と紫に輝くハルバードをもついかにもボス!という感じのやつがいた。そいつは大声叫んだ


「あのちっぽけな獲物に負けてしまったが、良き仲間だった我が同胞の仇をとるぞ!」


「「キング!キング!キング!」」


その言葉に続き周りのオークナイトはキング!と歓声を上げ早輝に攻撃を仕掛ける。

さぁ!バトルの始まりだ!なんてことは起きず、最初にエンカウントとしたオークナイトと同じく普通に体当たりで、早輝の前に出た物はバラバラになって行く。オークキングはその光景をみて面白い!と思ったのか、もしくは馬鹿なのか彼の前に武器を周りに放り投げると彼と同じタックルの構えで彼に突撃した。


「面白いぞ!獲物...」


残念!オークキングその言葉を言い放つ前に早輝の体当たりで自慢の鎧バラバラにされてしまった!


ナイト達はその光景を見て、恐怖したのか蜘蛛の子を散らすように逃げだし、運がいいのか悪いのか彼の来た方向には誰も逃げず、去っていった。そして早輝はさすがにボス相手はキツかったのか、ぶつかった反動で少し飛ばされ、その場で尻もちをついて倒れてしまった。


「はぁ...はぁ...つっかれ...た....」


「やっと追いついた...」


倒れた彼の顔をのぞき込むように坂春の顔が現れて少しびっくりしたが、もう疲れたのか立ち上がる気もしなかった。


「それじゃあ、教えて貰っていいかな?」


そして、笑顔を向けながらも彼女は槍先の欠片を手に持ち彼を脅すのだった。

...これアイドルなのか?

アイドルかも....

とりあえず早輝は推しが目の前にいた為、時々途中で声が小さくなったりしながらも、自分の身に起こった...というかここは異世界な事と自分のスキルの事を坂春に話した。


「ご、ごめんなさい!勘違いしちゃって....てっきり、こう無理やり誘拐?見たいなことされたのかと....」


「い、いや、に、にっげた俺も悪いで、ですしだ、大丈夫ですよ?」


「ありがとうございます、後、気になってたんですけど...」


「ひゃい!?」


「プロデューサーさんですよね?」


その再びのその一言に早輝は一瞬。(あれ?あのスマホの中の2次元って実際あんの?)

と思いながらもとりあえず、自分がプロデューサーなのは否定する。


「ち、ちがいますよ、と、というか俺の格好見たらわかるでしょうけど。俺、中学生ですよ?」


「そうだよね....なんか気配?がおんなじだったからついね、ごめんね?変なこと言っちゃって」


早輝はその言葉に(気配でわかるの?)と思ったが、とあるイベントのシーンを思い出す。


(そういえば、サポートカードの特殊イベントで他アイドルと共に目隠してスイカ割りするシーン時、1発で場所が分かったようにスイカを割ったよな...あの時気配で分かりました!とか言ってたけど...その設定も反映してるとは...いや、もしかしてあの女神俺と同じ坂春ちゃん押しだったのか!?)


それを光景を見ていた女神は違うよ!と叫んだがもちろん早輝には聞こえることなく、彼の勘違いは続くのだった。

2人の間に少し気まずい雰囲気が流れて、休憩していると、坂春が早輝に話しかける。


「そういえば、自己紹介してなかったよね?私は坂春 島香。ソロだけどシャルントスターって名前のアイドル事務所に入ってて、アイドルしてるんだ!夢はトップアイドルの称号、ワンコストレートって聞いた事あるかな?それをめざしてるんだ!よろしくね!」


それを聞いて、そういえばしてなかったと思い、早輝もその後に自己紹介をする。


「や、山陰中学校、2年1組の晴賢 早輝って言います、よろしくお願いします....」


「よろしくね!早輝くん!」


自己紹介をした早輝に坂春は握手しようと手を伸ばそうとしたが...


「や、」


「や?」


「やっぱり推しと同じ空間に入れるかァァァァァ!!」


その手は握られること無く早輝は走り出した。坂春は何が起こったのか分からず立ち止まっていたが体が、彼の走って行った方向に引っ張られて行って、「待ってくださいよ〜!早輝さん!」坂春は一言叫ぶと彼を追いかける。やはりというべきか2度目の追いかけっこが始まり、その光景を見ていた女神は「最初の強敵倒してるので、大丈夫だと思うんですけど....勇者さま...魔王を倒せますよね...?別方向言ってますけど...」と彼を心配しつつも、世界の命運を握る早輝を応援するのだった。

ついでに本当に主人公これで大丈夫なのかと、作者も思うのだった....大丈夫だよな?

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