第4話『ヤバい女』
かっこよかったなぁ。
名前も知らない彼に助けられた。
ただ、呆然とするしか無かった。
今の私は高熱でもならないような赤い顔をしていると思う。
もう一度会いたい。
そう思い立った時にはもう周辺の高校について調べていた。
机に置いてある検索機器である魔力機器に魔力を流して電源をつける。
彼の制服を思い出し、周辺の高校の制服をピックアップする。
「…これだ。」
私の家からそう遠くない高校と彼の制服は一致した。
「ふふ。」
笑みがこぼれる。
明日にでも、逢いに行こう。
───────
「…悪寒が。」
家に帰り、圧樹と飯を食っていた頃、何故か嫌な予感がした。
まあ、気にしないでおこう。
「お兄ちゃん大丈夫?」
「…大丈夫だ。」
我が妹にも心配されていてはいけないな。
「ご馳走様。」
俺は自分の皿を洗い、部屋に戻る。
「さて、やるか。」
そうして俺はノートと参考書を取りだした。
調べたところ白魔学園には通常の問題と違い、学園特有の問題が出るらしい。
そこでだ、白魔を目指す身としては勉強をしなければ、ということで対策に取り掛かっているわけだ。
参考書を読み、その要点を俺しか読めないであろう字でまとめる。
その要点を理解したら過去問に取り組む。
時事問題だけでなく、魔法に関する知識、種族にも踏み込んだ問題などが出ていた。
特に魔法は専門的なことばかりで、少しやばそうだった。
「明日、量弥にでも聞くか…」
───────
〈翌日〉
今日は1時間目からテストだ。
最悪だ。ゴミだ。死んだ方がいい。
量弥に聞こうと思っていたことも聞けないし。
だが幸い今日は短縮授業で帰ったら直ぐに電話口で聞ける。
授業終了のチャイムがなり、帰りの会をする。
「さよーならー。」
量弥はさっさと帰ってしまったので、急いで追いかけようとしていた時だ。
校門に異様な人だかりができていたのだ。
「なんだなんだ」
ギャラリーの中心にいたのは見覚えのある女性だった。
その人は当たりを見回し、キョロキョロしている。
こちらを見るとギャラリーを押しのけ、向かってきた。
「張間さんですよね!先日はどうもありがとうございました。」
こちらに向かってきた女性は俺に頭を下げ、そういった。
「先日…?」
心当たりのない俺は首を傾げる。
「悪い人たちから助けてくれましたよね?」
あの時の人か!
やっと理解できた俺は
「それで、お礼を言うためにわざわざ来てくれたんですか?」
と尋ねる。
「はい!」
万遍の笑みでその女性はそういう。
お礼を言いに来てくれたのはありがたい。
いい人なんだな。
でも、俺は学校の名前なんて言ってないはずだし、それ以前に自己紹介すらしていない。
昨日は名札なんてつけてなかったし。
おかしいぞ?
その瞬間俺の張間センサーが反応した。
こいつと関わってはいけないと。
決めた。俺は断固としてこいつと関わらない。
「あのっ、私にお礼をさせてください!」
やつは俺の手を握ってくる。
あっ、柔らかい。なんかいい匂いする。
はっ!ダメだダメだ。危うく理性が破壊されるところだった。
ほんとに俺は関わらない。
「結構です」そう言おうとしたものの、手を引かれあれよあれよと連れていかれてしまった。
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