第12話 ずっとズッ友だよ……!!

──勇者へのインタビュー


俺に何か聞きたいことがあるんだってな? いいぜ、なんでも答えてやるよ。ん? 何かドラゴンの臭いがするな? もしかしてドラゴン隠してたりする? ああ、その鎧にドラゴンの素材使ってんのか。なんだ、残念だ。


──インタビュアーの身体をまさぐる勇者。


んで、好夫のことだっけ? 好夫はいいやつだよ。俺がドラゴン殴りに行く時はいつも後からついてきてくれてた。ドラゴンはいいぞぉ〜、殴り甲斐があって!


──好夫さんの話を聞かせていただけますか?


え、好夫の話? ああ、そうだったなドラゴンの話じゃなかった。えーと、最初は俺と好夫の二人だけだったんだよ。旅の仲間は。なんかクエストで一緒になってさ。そしたらあいつ俺に声かけてきて、なんかテンセイシャがどうのこうの言ってたけど、好夫が難しいこというのはいつものことだからな。


──お二人だけで旅をした期間もあったと聞きましたが?


そうそう、しばらくは二人だけで旅をしてたよ。あの時は面白かったなぁー! 毎日ドラゴン殴って暮らしてた。黄色いドラゴン、青いドラゴン、白いドラゴンは脆くて今いちだったな。あ、ところで知り合いにドラゴンとかいたりしない?


──いません。


ああ、ならいいんだよ。ドラゴンってのは探してる間も面白いからな。もちろん殴ってる間が一番だけど。そんで、しばらくしてラズのやつが合流してからも楽しかったなぁー! ラズはどんどんドラゴンの居場所を持ってきてくれてさ。でも好夫はラズが持ってきた食い物に喜んでたっけ。久しぶりにドラゴン以外のものが食べられるとかいって。変わったやつだよな、ドラゴンあんなに美味いのに。骨まで美味しく食えるのなんてドラゴンだけだぜ? 殴ってもよし、食ってもよし。あー、ドラゴンは最高だぜ! 思い出したらドラゴン食いたくなってきたなぁ! 昨日も食ったけど!


──ドラゴン好きなんですね?


勇者とか言われてるけど、俺はドラゴン殴ってただけだからなぁ。結局、魔王ってのもドラゴンっぽい見た目をしてるから殴りに行っただけだし。ん、好夫? 好夫はなんかちーとがどうのこうのいつもの難しい話してたよ。でも好夫の気持ちは俺にはわかってたぜ。


──気持ちというと?


好夫も実際のところはドラゴンを殴りたくてたまらなかったんだよ! 俺がドラゴン料理を作ったときはいつも涙を流して喜んでた。アクがどうたらこうたらってな! あいつは食事の時にも正義の気持ちをドラゴンにぶつけてたんだ。さすがの俺も感心しちまったね。それからはドラゴンを夕飯に出す時にはより素材の味を楽しめるように気を使ったよ。ドラゴンの丸焼きを出したら好夫のやつ女神様に祈りをささげるぐらいだった。


──魔王討伐の話をお聞かせいただけますか?


おっと、また話が逸れたな。すまねぇすまねぇ。ドラゴンの話になるとついな。それからまた旅をして、ついに俺たちは魔王を倒したってわけだ。端折りすぎか? でもなぁ……俺にはドラゴンの思い出しかないからなぁ。結局、魔王も変身したらドラゴンっぽくなくなって萎えちまったし。好夫は何かテンション上がってたな。「元ドラゴンでも良いのかよ!?」ってつい好夫に突っかかっちまったの良い思い出さ。結局、俺は好夫のドラゴンへの愛情を見くびってたんだな。反省したよ。


──魔王の最後の瞬間に立ち会ったのはお二人だけと聞きましたが?


ああ。魔王を倒れたときには好夫と俺以外は立ってるやつはいなかったな。みんな四天王との戦いでやられちまってたから。魔王の体が光の粒子に変わったとき、空からドラゴンっぽくない女神様が現れた。何でも魔王の魔力は命に関わるっていうんで好夫の身体から魔力を抜きにきたんだとよ。んで、そんときに女神様の加護を好夫が返したって話だよ。


──噂では女神様に取り上げられたと聞きました。


そうかもしれないけど、本当のところは俺もよく知らないんだ。女神様も好夫も聞いた事のない言葉で話してたからな。でもよ、女神様の加護がなくっても俺と好夫はズッ友だから。


──ズッ友とは?


何でも好夫の故郷で家族を超えた仲間を表す言葉なんだとよ。ちょっと照れくせぇよな。でも俺とあいつはズッ友さ。それは間違いない。今は一緒に旅はしてねぇけど、俺たちは離れていたって前と同じ絆で繋がってるのさ。


──好夫さんはパーティーを追放されたと聞きましたが


え知らない。なにそれ。




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