第10話 初日でアレは無茶が過ぎる?えぇ、えぇ、全くもってその通りでございます! By銃器人格

「やらかしたし、体痛い」


オルフェニクスと晴人から聞いた話なんだけど、俺は気絶をしたらしい。何とか撃退をしたアルティナちゃんに宿まで運ばれて、今寝かされてる。


マジかあ……恥ずかしい。ソレガサイゼンノセンタクダ、みたいなこと言っておいて結局が気絶って。それにあんだけ格好つけたのに。なーにが理不尽をぶっ壊すのが王だ、だよ。オルフェニクスが来なけりゃ、俺はもうここには居なかったでしょうに。


王たる者が情けない。どれだけ実力が落ちていようとも、あれは流石に無いわー。油断をしているところに勝機はある?全然無かった。むしろ油断してたの、俺だよ。あの時に勝てたのだって、運がこっちを味方してたから。冷静になった今だからこそ分かる。成功するかなんて、運ゲーそのものだった。


そんなの、俺らしくない。王の時の俺は運なんかに頼っていない。それで相棒が犠牲になったから慎重になってるはず。行動一つ一つに思考を張り巡らせていて、予想外の攻撃でも何十手先を読んで潰していた。


まるで、少しづつ運命が改変されていくように感じてしまう。正確には、因果が置き換わっている。アイツらが前の時と比べると早く動き出したのにも関係があるのかも。


それに、ウツシカガミが知っている因果。あれは多分、アルティナちゃんと俺が知っている因果じゃない。もしかして、俺たちが因果を改変できた世界線化から来てるのかな。……なにがどうであれ、対策をしなければならないな。


俺たちを狙いにくる連中がウツシカガミやアルティナちゃんを襲っただけ奴だけとは限らない。本気で殺しに来てるんんだから、もっと人員があると思っとかないと、足元掬われちゃう。切り札も考えなきゃなんだよな。SAAのオルフェニクスだけじゃ、不足にも程がある。


「よし!強化大作戦だ。今からでも取り掛かるとしよう」

「取り掛かるな!」

「べぶし!…うごごご…痛い。どんな位置からしてるんだよぉ。このバカ力!」

「自業自得だろ、文句言うなアホ。あと、それ最初にやられたの私だからな」


無茶した過去と、キレキレモードになった過去で相乗効果が生まれる。その追加点として、現段階で更に無茶をしようしていた事実が加わり、ダブル火の玉ストレートならぬトリプル火の玉ストレートになってしまった。


事実陳列罪って重罪だと思うんです。本当のこと、真実でも傷つくことだってあるんですよ。そこんとこ分かってます?自称魔法使いの武闘派厨二がよぉ!


「あ゛ぁ゛?」

「いや、あの、その…違くてですね。なんて事のないフレンドジョークなんですよ。てへっ!」

「はは、死刑」

「ごぶらぁ!?」


拳が、拳が硬いし痛い…!怒りの代償が重いなあ。失敗したかも、不用意な行動と言動をしていたの。


あーヒリヒリする。ウツシカガミよりも痛く感じる度合いが高い気がするんですけど。バカ力の持ち主だったか。魔法使いなのに…。


「てかさ、なんでミリャンがここいるの?ここの宿に泊まっているってわけじゃないでしょ」

「お見舞いだ。どっかの友人が無茶をしたんでな。必要な品も買ってきたんだが……アヤトを一人にするのは心配だな」

「どこがよ」

「さっきみたいに重傷な状態なのに勝手に動こうとするところ」

「すんません」


反論ができない。やらかしたと言うか、やらかそうとした事が事実だから何も言えない。不安そう、心配そうな瞳が余計に心に刺さってしまう。


なんか、うん、気まずい。長らく心配をされてこなかったせいかな、心配をしてくれるミリャンの感情にどう接すれば良いか分からない。友達らしい友達も、強さのせいで居なかったからな……。


考えろ、考えるんだ、俺。この状況を切り抜けるには、どんな選択をしたら良いのかを。下手になんか言ったら怒るのは目に見えてるし。やっぱり一番は土下座か?土下座なのか?王のプライド云々より友達悲しませた方が重要だよね。


活目せよ!我が秘技、ジェット土下座!


体が未だにボロボロであるのに、勢いよく体を動かそうとした反動か、体が大きく揺れる。土下座なんて叶うことはなく、ベットから床に向かって落ちそうになっていた。


やばっ、ちょっとミスったかも。多分また怒られるんだろうなー。うわっ、やるんじゃなかった。


「……っ!?ほんと……あぶないっ!」


体に痛みがやってくることはない。ミリャンにばふっとかかえられたから。お姫様抱っこみたいに抱かれてて、目の前には焦ったような顔のミリャンがある。


分かったけど、顔の造形整ってるな。幼い顔、つまり童顔ではあるんだけど、そこに美しさを共存させている。中々に見れる美貌じゃない。


……って、違う違う違う!今は見惚れている場合じゃない。早く感謝言って、帰ってもらわないと。


「助かったよ。ありがとう、ミリャン。もう大丈夫だから、帰っても良いよ。数日でもしたら動けるようになってるからさ」

「ダメだ!アヤトはさっき、変なことをしようとして失敗しただろう。一人で動いたら、大事になるのは目に見えている。私が看病するから、そこで大人しく待っていろ」


……やばい。心配してくるのを遠ざけようとしたら更に近くなってしまった。


____

☆作者一言メモ

次回、少しラブコメっぽいかも?

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