第8話 知ってたか?嘘って二種類あるらしいぞ By魔法人格

「はぁ……疲れた。めっちゃ疲れた。すごーく疲れた。どっかの誰かさんのせいでなぁ!」

「ごめんよ。いつもハルトはあれ以上の魔法を放ってたから感覚痺れちゃって。街のどこかの店を奢るから許して?」

「そっか。なら三宮屋で良いぞ!」

「図々しいなあ。結構高い団子屋さんじゃん。まあ、今回の非は僕にあるから良いけど」


よし、和菓子を買う権利を掴んだぞ。ははは!弱みには漬け込むに限るな。あそこの和菓子は美味しそうだから、気になってたんだよ。自分の金じゃないから、存分に食べれるぞ。ふんふんふーんふんふーん♪


あ、今更だけど今回の話はアヤトの出番はないです!今もぐっすり寝てるから俺のターン継続やで!


アヤトにもお土産用意しようかな。あーでも、和菓子好きから分からんからな。もし食べれん時のことを思えば、仕方ない。全部責任持って俺が食べるしか……わぁお。ビックリシタ。


驚いた対象は空から降ってきた黒ローブ二人。あのさ、空から降ってくるってマナーどうなってんだよ。お爺ちゃんはね、簡単な衝撃にもびっくりしちゃうんだよ。なら、空から急に降ってこられたら驚いてしまうだろう?そこはちゃんと気をつけてもらわないと困るんだよ。


『ハルトはジジイか。まだまだ若いでしょうが。いや、今はそれでも良いか。さっさと構えな。確実に敵対意識を持ち合わせている。それどころか、殺意もね。どう考えても、ハルトが狙いだよ?多分、アルティナが歪めようとしたハルトの因果を正そうとしている。死という絶対結末の』


はぁっ!?なんでコイツらが因果のことを知ってんだよ!アヤトもだ。寝てたんじゃないのか!?確実に意識は闇に落ちてたろ。なにをどうやったら寝ている最中の話を完璧に把握できんだよ。あれか?【人智の叡智】はそこまで強い能力なのか!


『今言えるのは天津家の因果、それだけ。多分後々になって話せるから、今はアイツらに集中してくれると助かる』


だー!お前らが言うのは因果、因果、因果……あれか、因果大好きなんか!そんだけ因果言われたら頭狂うわ!俺はねえ、お前らみたいに未来捉えたりして因果なんて言えないんだよ。なのに因果因果言われると話追いつけないの。


だから、因果の話はもう辞めてくれ。話が分からないって辛いでしょ?自分が原因なら治すけどね?因果観測できてないみたいな、どうしようもないのはキレるぞ?だって俺悪くないもん。


つまりだな。まともな話をするために因果の話はやめてくれ。


「ハルト・アワカミ。未来にて叡智王、記憶の管理ナル者と呼ばれている貴様は危険因子だ。我等は滅亡の因果の下、貴様をこの場で滅ぼす。安心でもしてれば良い。その隙にズタズタに切り裂いてから殺してやる」


全く安心できねー&分かってねーなんて案件これ以外にあんのかよ。それに加え、凄惨な死を味合わせようとしている。どっちが危険因子だ。基本的に無害な俺と、そんな俺を傷つけようとしているお前。分かりきってんだよなあ。


でも、そんな愚痴ぐち言ったって聞いてやくれない。和解ができたら良いけど、アイツできるほど頭柔らかくないっぽいし。しゃあなし、命賭けて戦うか。それ以外の選択がないしねー。どこの世界に行っても理不尽はあるもんだな。


「どうでも良いけどさ、来ないのか?空から降る時に奇襲をすれば俺を簡単に殺せたのに。態々したのは敵対、殺害宣告。はっきり言ってアホの所業かな?とは思っちゃうけど。結構な時間経っても何もやってこないから、仕掛けも用意してないだろ。ないわー、超ないわー。俺だったら仕掛けるわー」

「貴様ァァァ!言わせておけばっ!」


思った通りの精神耐久だな。煽ればすぐさま飛び込んでいく。これ、人間というよりも猛獣だな。目の前に狩れる餌があれば飛びつく哀れな。いやー、猛獣さんに失礼になるか?もうちょっと考えて動くもんな。


考えて動いたら、ナイフなんて掴まれることなんてなかったのに。っし、武器確保。武器持ちと武器非持ちの有利差はなくなった。これで少しは渡り合えるようになる。


その事実に笑みを浮かべつつ、飛んでくる複数のナイフを視界に収める。迫るスピードは結構速くてナイフの軍団を避けながら突き抜けるのはできそうにないな。ナイフの速度よりも速く動いたら良いんだろうが、多分頭が追いつかない。


だったら選択肢は一つか。目の前にあるナイフを叩き落として向かう…!


それじゃ、ナイフに大きめな魔力を通して、頭が追いつく範囲で走る!顔、首、胸部、腹部、腰、大腿部。容赦なく、速度と威力が通常よりも高まり、向かってくるナイフを冷静に叩き落とす。どれぐらい冷静かと言うと、余裕ができれば投げ返したり振るぐらいには冷静だ。


そろそろ、一気に攻めますか。飛んでくるナイフの隙に構えを取る。俺が想像し、実現するのは先程に扱った魔法。常に放出する魔力は周囲の物を全て利用する精神。そしてその常時放出魔力を注入する魔法陣はどんな技でも取り込んで模倣して進化する独特な剣術の証。


勝負ごとにおいて、一瞬は大切だ。一秒でもブレれば勝機が薄れるわ、先手を打たれやすくなるわで散々だ。だから、見極める必要がある。ナイフがいくら来ようとも、最低限の回避で重傷の可能性をなくして勝機の一瞬を探る。


ナイフが耳の近くを掠った。血がダラダラと垂れる。攻撃が通じるたびに量は多くなっていたが、今回のは桁違いに多くなった。ナイフを出せる魔法の生成限界量と言ったところか。はは、まさかこうも思い通りに行くなんてな。強くない敵で助かった。


今なら、全力って突っ切れる!


「まだまだ甘ちゃんだなぁ!」


体の各部位にナイフが突き刺さる。しかし、俺はそれに負けない。痛みなんか吐き捨て、ナイフを腹部に刺す。


刺されても尚、余裕そうな表情を浮かべるのがコイツだ。何のために魔力がまとわれているかなんて、想像もしないんだろう。だから、まだまだ甘さがある俺に甘ちゃんなんて称される。


「お前、俺の情報を知ってるだろ。それなのに、今の一手を想像もしなかった」

「何が言いたい……!」

「二重人格なのも知ってんだろってこと。初期の初期である俺たちの手札なんかも。だったらさっさと殺せばよかったのに」


____頭のどっかで舐め腐ってっからなるんだよ


魔力がまとっていたナイフは変形し、リボルバーのSAAが腹に突き立てられ、発砲をする。


「今度の勝負相手は晴人じゃない。俺だ。因果を知っているのなら、俺とも仲良くしようか」


____

☆作者一言メモ


次回こそ、次回こそは綾人でございます

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