第7話 上の次元の魔法使い見てると凹む By魔法人格
「なにこの洞窟」
アルティナが次に行くところに着いて来てみれば、人二人が通れるかどうかの小さい洞窟があった。魔物とかはいるかもしれないが、アルティナが来るべき価値のある洞窟とは思えない。俺の瞳には映っていないだけで価値はあるのかもしれない。そうして確かめるべく凝視をしていると、隣のアルティナから笑い声が聞こえる。
何故笑われたのか分からない。だけど、暖かい目で見られたのは気に食わない。不機嫌を表すかの如く、唇を
なにがあるってんだよ。ここ、ただの洞窟でしかないだろうが。目の前も暗く、岩の連続だろ……えぇ、嘘。思いっきし草原なんだが。
「ここはダンジョンと言われる類のものさ。僕はここに異常が無いか確認に来たんだ。丁度いい、ハルトの訓練として使用するかい?」
「は?訓練?」
「そう。ハヤトって才能や技術はあるけど、構えがなってないんだよ。まるで魔法学園の優等生みたいな戦い方だからね。格下の場合なら通じるけど、格上は無理かな。優等生とかの構えや構築って甘いから」
構えや構築が優等生っぽいから甘い。魔法陣を出してみてもよく分からない。俺は更なる効率と威力を求め、ある意味の完成系。そのなにが優等生なのか。分からない心のまま、俺は見つめる。自身が作り上げた魔法陣を。
構築が甘い。格上からの魔法使いが言ってるからそうなんだろうけど…全然見つけられない。速度は今できる範囲の最速にしてる。魔力を注いだら発動できる形式だ。なにが欠点だ。見極めろ、その瞳で。どうしたら同格や格上に届くようになる。
実力が同じや上でも届くようになる方法。なにがまずい。どうすれば良い。速度や威力は自分ができる最大をしている。魔力を放出し、魔法陣の核に入れ、発動をする。それが今の俺の限界。放出とかをもっと早くできたら良いんだろうけど。
…いや、放出で迷っているのなら、常時発動していれば良いのでは?言わずもがな、常時の魔力放出技術は高等技術だ。けど、俺の才能とセンスならできないことはない。集中が結構大変だけど。
多分だが、アルティナの言いたいことは「わざわざ放出して発動しては効率が悪い。格上や同格を相手するなら常時魔力技術を身につけた方がいい」、だ。魔力常時放出技術を身につければ、結構戦いやすくなる。
「おぉ!未熟だが、常時魔力放出を組み込んだ魔法陣は随分と効率や速度が上がるな」
「それだけじゃないよ?一瞬だけ放出をするより、常時放出の方がロスが少ない。だから同じ魔力を入れても威力が違う。見本を見せてあげる。分かりやすく炎の魔法と行こうかな」
楽しみにしててね、なんて言葉を口にした後、静かに呟く。即座に魔法陣を作り上げながら。__『グラニス』と。
そこら辺を歩いていた推定ゴブリンや推定コボルトに業火の魔法が直撃する。断末魔すら許さず、気づかぬ間に死んでいた。なんという綺麗なオーバーキルか。…うん、アルティナは俺に格好つけたいからってやり過ぎだな。少しは反省しろ、アホ。
もう少し控えめな威力でも良かったろうが。来る人あんま居ないだろうけど、その少ない人が来てみろ。魔物全滅しててクソ暑い(当社比)エリアなんて嫌だろ。少なくとも俺は嫌だぞ。こんな現世に地獄が降臨したみたいなとこ。
てことで、消化を始めるか。幸い、俺の得意な魔法の属性は水だ。上下関係にあるので、他の属性で消すよりかは楽だと思う。まあ、辛いのは変わらないんだが。どれだけ威力が上昇したのかは勘で分かる。だからこそ、ため息を吐きたくなってしまう。
目の前に広がっている炎の光景。それは並大抵な水の魔法では効果がなく、火力を上げるだけになる。だから、俺はこの炎の火力を超える水の魔法を放たなくてはならない。クソゲーにも程があるだろうがよ。
猪の時のような魔力量では消火をすることができない。だから、俺はもっとの魔力を使用する。常時放出魔力を強く引き出し、目の前に展開している魔法陣に注ぐ。魔法陣に含まれる魔力が多くなるほど、重くなり、管理が難しくなる。
これだけ苦労をしているのに、アルティナは即座に放てるのだから、本当に化け物だ。憧れを心の中に抱きつつ、魔法を完成させる。魔力の使い過ぎで息が荒くなっているけれど、結果オーライだ。終わりよければ全て良しとも言うし。
____ジェラス。
「これは成功した、で良いよな。はぁ〜、疲れたわ。アルティナ、お前どんだけの威力で放ってんだよ。俺も威力高め過ぎてダンジョンに雨降らせちゃったけど、お前のやり過ぎはそれ以上だ」
「ふふ、ごめんごめん。やり過ぎたことについては反省をしておくよ。でも、丁度良かっただろ?先の領域に進むのには」
「お前、反省してねぇだろ……!俺がどれだけ苦労したと思ってんだ」
やっぱり、色々な意味でコイツは目を離したらいけないな。
____
☆作者一言メモ
次は綾人くんの番かな
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