第5話 厨二系魔力下手過去闇深め魔法使いは属性多い By銃器人格
「へぇ、元々は怪しんでいたんだ」
ミリャンに依頼を出した街に移動をし終えると、ミリャンが教えてくれた。____私があそこに調査をした目的として、もう一つある。人為的に生み出されたどうかだ____と。
流石と言うべきか、勘が鋭いと言うべきか。薄々と感じていたけど、ミリャンって魔法使いとしての腕はクソな割に場数踏んでるんだよな。それも結構に。だから調査の件を頼まれたんだろうけど。
「あのさ、
「えー、なんか怖いんだけど。まあ、良いよ」
「ありがと。それじゃ、聞くよ。どうしてミリャンって魔法使いになろうと思ったの。ミリャンって魔法使い向いてないよね。繊細な魔法を扱うなんて特に。できるのなんて、荒い操作でもできる身体強化でしょ」
その答えから出てくるのは沈黙。暗い顔して、唇から血が出るほど噛んでいることからある程度は想像できる。これ、地雷だよな。正確には触れてほしくないところだとは思うけど。
深いところまで関わってほしくなくて、でもちょっとの間だけど仲良くなった相手。あんだけ嬉しそうにしてて、話すのが上手じゃないところを見るに、多分初めてだ。
友人とは言えないけど、親しい相手。そんな相手に、触れられたくないところを見つけられただけで拒絶するかどうか。悩んでいる。触れ合った人の関係が少ないからこその悩み。
「そんなに話そうか悩むなんてこと、しなくて良いんだよ。話したくないのなら話したくないって言えば良い。トラウマがあるなら断れば良い」
「……もし、もしだけど、私が助けを求めた場合は?」
「助ける」
「バカだろ。こんな変にカッコ付けたがる変人を即答で助けるなんて。私を助けるくらいなら、他を助けろよ」
ツンとした突き放すような自虐。自分に助ける価値なんて無いと思っているからこその言葉。意味とか、価値を無数に繰り広げて、その結果に自分を卑下して。今まで歩んだ道。今まで受けた、いた環境がそうさせている。
そこに思わないところがないと言ったら嘘になる。けど、俺は過去に戻れるほどの大魔法が使えるわけでもないし、家庭に干渉をしてミリャンを救えるわけでもない。だから何も言わない。だから頼ることを強制しない。これは自分自身が乗り越えるべきものだと思うから。
しかし、それでも助けて欲しいと願うのなら。もう無理で、挫けそうで、誰かに支えられないと折れてしまうと言うのなら。先程言った言葉通り、俺は助ける。どんなに卑怯で、卑劣だったとしても。……血や罪を被ったとしても、俺は助ける。
「どうした?怖い顔をして」
「なんでもないよ。ただ、ミリャンとこれから友達になれるかなーって不安になってただけ」
「おー、可愛い不安だな。ふっふっふ、安心しなさってよろしくてよ。私はアヤトと友達になる気がマンマンだからね」
「友達少ない人がなんか言ってる」
「違うわい!」
……そうならないことが、一番良いよね。
頬を赤面させながら言葉にするミリャンに対して微笑みつつ、そう思うのだった。
ーーー
『なあ、今何してるんだ。リボルバー分解してるけど』
「見た通りだよ。分解してんの。もしやと思ったけど、魔力を通すような構造になってることであっちのリボルバーと比べると変わってるんだよね。少しだけど。ベースがあっちになっててさ、ちょいと面倒なことになってる」
『ちょいと面倒なことになってる?どういうことなんだ?イマイチよく分からないんだが』
「簡単に言うと噛み合ってないってことだよ。魔力を用いて発動するのに、ベースは魔力がないあっちの世界。線と線が上手く組み合わさってないんだよ。六発まではギリギリ大丈夫で、アウトになっちゃう。端的に言うと壊れるんだよ。だから解体して、改良してんの」
真剣に取り組んで、意識を集中させて。触覚、視覚、聴覚、嗅覚。味覚以外を利用した全ての感覚でリボルバーに意識を注ぐ。最初に作る時よりも改良が難しい【人智の叡智】。ミスれば一発で終わってしまう。魔力の
ミリ単位の糸に針を通すような感覚。それを何百も連続して。ここまで集中必須なのはしたことがない。というか、大概そうだと思う。こんな地獄みたいな高等技術の連続をしなければ失敗に終わる現実。
抑えられない舌打ちをしつつも、何十分も保つ。はっきり言って、苦痛だった。俺は軍人みたいに強い精神力があるわけでもない。ただ、目標のために。苦しくても、それを飲み込んで一生懸命に取り組んだ。
今回の勝負、俺の勝ちかな。
『…あの子が、ミリャンがいるから頑張れるのか。出会ったばっかりなのに、辛そうで、苦しそうなところを見たから』
安堵の息を吐いていた俺に対して、晴人は言葉を使う。心の底からの疑問を抱えて。
なんとも、迷う質問だ。苦しいところを見たからってのもあると思うよ。心が辛く叫んでいるように見えて、動きたくなった。
でも、多分一番は自分を重ねたから。思い出したくない過去で、同様に記憶にこびりついている過去。晴人の黒歴史みたいなものだよ。思い出したくない記憶ほど、よく思い出す。その記憶があったからこそ、同情をしちゃったんだと思う。
……苦い思い出ってさ、本当に苦いんだよ。全く同じじゃない境遇なはずなのに、自然と重ねてしまう。家族が与えてきた影響やそれ以外の人との環境が与えてきた影響。場所も違うから異なるはずなんだけどねー。
『は?どんな生活をしてたんだよ、綾人。あの過去重そうなミリャンと重なるって…相当だぞ』
まあ、天津家が重苦しい家系であることは事実だよ。だからって、関与はしないでちょうだいね?これは、
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