4. 初めての並行世界

「わっ」

目を開けると…ここは?

周りではまだ6人が倒れている。

っていうことは…ここは、並行世界パラレルワールド

本当に…?

僕がすんなりと納得できない理由は、あまりにも殺風景だったからだ。

今さっきいたような、街灯がいっぱいあって、周りにコンビニがあって、人もいっぱいいるような場所ではない。

「え…?」

他の5人も目を覚まして、辺りを見回して、険しい表情になる。

翔琉は何故か、無表情だった。

辺りには何もない。遠くから軍用ヘリの音がかすかに聞こえている。空は厚く暗い雲に覆われていて、見るからに平和ではない世界。

「ここが、並行世界パラレルワールド…?」

僕たちは、目の前の景色に、呆然としていた。


とりあえず何かを探そう、ということで、7人で歩き始めた。一応南に進んでいるはずなんだけど、1時間近く歩いても何もない。

「ここ本当に並行世界パラレルワールド?だっれもいないよ?」

そんなことを喋っていると、

ジュ―…

遠くから何かを炒める音が聞こえる。

「あ、あそこ。あそこから、炒める音聞こえる」

鈴の音の魔法で、周りの音を探知サーチする魔法を使える鈴羽が言った。

「ありがと、鈴羽。蓮たち、行こう」

ひよりがいつになく真剣な顔になる。

翔琉もその家を見据えていた。


コンコン

反応なし。

コンコンコン

ガチャ…

何度か家のドアをノックすると、やっと人が出てきた。

出てきたけど。

なんか、顔が異様に小さいんですけど。

後ろから出てくる何人かの子供たちも、人間とそんなに変わんないんだけど、顔だけが異様に小さい。

「あのーっ…」

と僕が話しかけようとすると、声も出さずに全員が後ろに飛び退った。

---- ・・-- --・・- ・・-・・ ・-・ ・-・-・ ・-・ ・・-- ・-・-・- ・-・ ・-・-・ ・-・・ - ・-・・ --・-・ ・・-- ---- -・--- ・-・-- ・-- ・--・ -・ ・・ --・-・ ・-・-- -・--・ -・-- ・・-・・ ・・ 

え?モールス信号?

「『この人なんなの、なんか声ってやつだしてるけどっ⁉』って言ったよ、この人」

「ってことは…この並行世界パラレルワールドではモールス信号で交流することが主流、ってことか?」

「モールス信号…」

今みたいに僕が少し変換できたとしても、これからどんどんモールス信号で会話するには、僕の脳が何個あっても足りない。

「とりあえず、退避っ!--・-- --・ ・-・・ ・・ ・・-・・ ・・- ---- ・・ -・-・- ・・ ・- -・・- --・-・ -・!」

ありがとうございました、とだけ言って、ここをあとにしようとすると。

「-・・- ・-・--!」

「えっ?」

今、待ってって言われたよな?

ゆっくり振り向く。

「-・-・ --・-・ -・-・ -・-・・ ・-・- ・-・-・- -・-・ -・・ ・-・-・ ---- ・・ -・- ・-・・ -・--・ --・・- ・・-・・ ・- -・・- ---・-!」

「西に2km行くと、日本語の分かる人がいる?だって」

「えっ、マジ?良かった、生き延びれそうだ!」

「--・-- --・ ・-・・ ・・ ・・-・・ ・・- ---- ・・ -・-・- ・・ ・- -・・- --・-・ -・!」

もう一度感謝を伝えて、西へ向かって早歩きで歩き出した。


「-・-・ -・・ ・-・-・ ---- ・・ -・- ・-・・ -・--・ --・・- ・・-・・ ・-・-・- ・・-・・ ・・ ---- ・-・-- ・・ ---・- ・-・・?」

日本語分かる人どこですか、って周りに聞きまわりながら、やっとたどり着いたのは、現代にもあるような、ちゃんとした家。

他はなんか砂っぽいので造られてたから怖かったんだよな。

コンコン

少しノックすると、顔のサイズが正常の人間が出てきた。

「あっ、久しぶりの現代からの来客だ!どうぞどうぞ、入って!」

「なんか聞きに来たんだろ?」

気さくなお姉さんとお兄さんだった。

結婚指輪をつけているから、二人とも成人してるのか?その割には背も小さいし幼気だが。

「あそこのソファに座って待ってて!」

リビングのバカでかいソファをお姉さんが指さして、キッチンに入って行った。

並行世界パラレルワールドに来てから驚いたり怖くなったりばっかだったから、現代に普通にあることが目の前でなされるとすごい安心する。

2人がお茶を持ってきて、僕たちの話し合いが始まった。

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