3. 作戦決行

「はぁ…」

いつもなら待ち合わせ時間ピッタリくらいに来るけど、今回に関してはやっぱり興味がわいてしまって、20分も前に来てしまった。

待ち合わせ場所は、近くの公園だった。夜だから誰もいない。

荷物はボストンバッグ1個とリュック1個とバック2個分。みんながどれくらい持ってくるのか分かんないけど、とりあえず必要そうなもの全部入れたらこうなった。

「あっ、お兄ちゃん!」

「萌奈」

僕の次に来たのは萌奈だった。

「早いねっ」

「やっぱり並行世界パラレルワールド行くとか楽しみだから」

「私もっ!ワクワクして、昨日眠れなかったよ」

「なっ」

珍しく自分でも興奮気味になっていると、翔琉と鈴羽が来た。

「おう、蓮、萌奈」

「蓮お兄ちゃん、萌奈お姉ちゃん、こんばんは」

「おっ、鈴羽!こんっ!」

萌奈が鈴羽に飛びついて行って、僕と翔琉が自然と話す形になる。

「楽しみだな」

僕がそう言うと、翔琉は表情を曇らせた。

「……………そう、だな」

あまりにも答えが遅すぎて、「翔琉大丈夫か?」と声をかけてしまう。

「あぁ、大丈夫だよ。ちょっと緊張してただけだ」

翔琉はそう言うけど、空の方を向いて上の空だ。

翔琉はこういうガードが堅いから、これ以上聞いても意味がないし、迷惑がられるだけだと思うから、やめておいた。

「ごめん、遅れた!」

翼兄ちゃんと伊織が、走ってきた。

確かに時間はそろそろ22時だ。

「はぁっ、ひよりは?」

息切れした声で問いかけてきて、

「まだだよ」

と答える。

その時、僕の携帯電話スマホがブッブーと震えた。

「ひよりからのバイブ音だ」

それは分かったけど、どのバックにいれたのか忘れてしまった。

「え、っと…」

バックやリュックをゴソゴソしていると、翼兄ちゃんが苦笑いしながら、僕に電話をかけてくれた。

プルルルルルルル―

黒電話の音があたりに鳴り響いて、それが出てるとこから携帯電話スマホを取り出し、「ありがと」って翼兄ちゃんに伝える。

ひよりからメッセージが来ていた。


ひより:ごめん、他のチームに呼ばれて10分くらい遅れる。

    並行世界パラレルワールド、6人で行って


「だってさ、鈴羽、少し待てるか?」

「もちろん、ひよりお姉ちゃんも一緒に、全員で行きたいよ」


                 時間は大丈夫だから待ってるよ。:蓮

              既読 全員で行こう


ひより:ありがと!(人''▽`)

    10分だけ待ってて


「ひより、あと10分で来れるって」

「よかった、待とう」

「これで並行世界パラレルワールドに移動できなかったらことだなw」

「行けるって信じよっ!」

ひよりが来るまで、魔法で遊んでいた。

世界魔術師ワールドマジシャンではない魔法使いってのも一応いて、そういう人は自分の魔力だけで魔法を使う。魔法は自分の生きたいって欲望の生命力エネルギーを使うから、遊びで魔法を使うってのは絶対にしないけど、僕ら世界魔術師ワールドマジシャンは、世界の機密機関から生命力エネルギーが送られてくるから、いくらでも魔法が使えるんだ。

「お待たせっ!」

自分で呼び寄せたのか、小さな猫の神様がいる雲に乗って、上から来た。一体ひよりはどこで活動していたんだ?

「大丈夫大丈夫、移動するときにお願いするのはこの神様でいいの?」

「うん。もともとアメリカの神様だから、モールス信号っての正解だったよ、蓮」

「おう、ありがと」

「じゃあ、早速やろうか!」

今回僕が作る飲み物は、味もおいしくするために、和の植物を多く使う。だから、正座をして、「これから調理させて頂きます」って言ってからやらないと、そこにいる猫の神様から仕打ちが来る(と思う)。

色々な植物を持ってきたコンロとフライパンで炒めて、混ぜる。鍋で煮て、ちゃんとした味付けをする。

「できたっ」

その頃には全員が準備できていた。

飲み物を7つのコップに注いで、夕立と太陽とダブルレインボーのミニチュア版の下で全員に渡す。

「じゃあ…並行世界パラレルワールドへ7人で出発だ!」

「「「「「「「世界魔術師World magician、You can do it!!!」」」」」」」

翔琉が少し元気がなかったけど、今は移動に集中だ。

いつもの合言葉を唱えて、一斉に飲み物を飲むっ!

・-・・ ・・-・- -・-・- -・・- …

酸っぱい味が体に染み渡るとともに、微笑んだ猫の神様から発せられた光と二本虹ダブルレインボーと萌奈の魔法で、あたりが光で覆いつくされて、

僕たち7人は、並行世界パラレルワールドに移されていく――――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る