第1章 カウントダウンの始まり
1. 作戦会議
「デタラメ…には思えねぇな」
僕らは今、僕の家に集まって、昨日送られてきた留守番電話の内容について、友達を呼んで話している。
ここにいる6人全員、
この7人(今は6人)で、
「でも、配信日時は、2028年3月20日…ちょうど昨日の3年後だよね」
と萌奈が言う。
「偽造で日時を変えることはできないから、3年後の未来で何かができて、昔の
と鈴羽。
「とりあえず、留守番電話を文字に起こしてみよう」
と翼兄ちゃんが言って、留守番電話を時折止めながら、慣れた手つきでパソコンに文字を入れていく。
「太陽が軌道を外れるってのは想像つくけどさ、もう一つの世界ってなんなんだろ?」
伊織が問いかけ、みんなが黙り込む。
「それなら鈴羽、小説でそういう系、読んでなかったか?」
「え、私?」
翔琉は鈴羽の兄ちゃんだから、鈴羽の情報にはやっぱり詳しい。
鈴羽はバイオリンもうまいのに、小説もめっちゃ読んでるんだ。
「…あっ」
「思い出したか?」
「うん。図書館から借りてた本だよ。すぐそこにあるから、5分で借りてくるねっ」
そう言って、ビューンって音がしそうなほどすごい勢いで僕の部屋を出て行った鈴羽を見て、「一個下なのになんでもできるから、なんかちょっといいなぁ…」と少し日本語になっていないことを萌奈が呟く。
「まず、この三年後の蓮兄ちゃん、どんなところでこの留守番電話を残したんだろう?」
「すごい雑音だから、きっと溶かされてる最中で、多分ネットには繋がってるところだな…でもこの音は、近くで色々なものが溶けている感じだから、電線も切れて、Wi-Fiも繋がらないはずなんだけどな…」
と、伊織と翼兄ちゃんが思案する。
そもそもこれは本当なのか?こんなにも何も問題が起きていなくて、世界魔術師の出番がない数か月は久しぶりだ。その分の返しが、地球の滅亡としてくるのか…?
「お待たせっっ!!あったよ」
そう言って鈴羽が猛スピードでページをぺらぺらとめくっていく。
「あっ、あった。
「私、それなんか映画で聞いたことある!」
「えっと…『君が死ぬと僕も死ぬ。僕が死ぬと君が死ぬんだ。だから、それを止めるために助け合おう』これ、
「あっ、そういうことか」
翼兄ちゃんが納得するけど…。
「…」
「…」
「…」
「…」
「「「「どゆこと?」」」」
と僕、翔琉、伊織、萌奈の声が重なる。
「だから、
鈴羽の言葉を継いで、
「だから、
翼兄ちゃんが言う。
「あぁっ、だから
と僕が言う。
「「「あぁっ!」」」
とみんなも納得した。
留守番電話を受け取った張本人が納得するのが遅すぎる。
「でもそれが分かったとしてさ、
と翔琉が事実を言ってしまう。
そう、僕らは
「そうだな…とりあえず、明日の昼、屋上に集まろうか」
僕たちが通っている学校は中高一貫校だ。6人全員同じ学校だから、高校棟にも中学棟にもお互い行けてしまう。だから、6人で話す時は、誰も来ない高校棟の屋上が最適なんだ。
「そうだね、もう夜だし」
「色々考えて疲れたよ~っ」
「なんかすごいことになりそうだな!」
「じゃあ今日はお開きだ!」
3人が部屋を出て行こうとする中で、翔琉だけが残っている。
「おい、全員言うことがあるんじゃないのか」
「えっ?」
「留守番電話のこと、話してくれたから、俺らでこのことが考えられるんだろ」
「あ…」
いや、僕そんなことしてないって、翔琉。
「蓮、ありがとう!」
「俺らもその話に加われて嬉しいよ」
「久しぶりの任務だね!」
「さっすが私のお兄ちゃんっ!」
みんなに褒め称えられて、少し心が軽くなる。
小難しい事ばかり考えていた頭も、少しほぐれた気がする。
「こちらこそありがとな、協力してくれて」
「ぜーんぜん!」
みんなが僕の個人的なことについて考えてくれている。
その事実が嬉しかった。
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