第12話
考えてみればフェルゴヴェールさんは魔王のお兄さん。
つまり王族。
という事は送還術に関する手掛かりになるものを持っているか知っているはず。
フェルゴヴェールさんや侍女達に本当の目的を悟られないように私は行動したわ。
最初から図書館を利用したいなんて言ってないわよ?
送還術に関する事を知りたいと思われるかも知れないもの!
まずは!
働き口を探す!
異世界人というだけで世話になるのは何だか心苦しい。
日本では百貨店の化粧品売り場で働いていたから、それに近い仕事をしたいとフェルゴヴェールさんに訴えたら何て言うか・・・間の抜けた顔をして驚いていたわ。
超美形は間の抜けた顔をしていてもイケメンだと感心している私にフェルゴヴェールさんは教えてくれたの。
過去に何度か異世界から召喚された聖女を保護してきたが、彼女達は女子中学生か女子高生だからなのか、働こうとなど言わなかった。
但し、十八歳を超えていたら問答無用で働かせていたみたいだけどね。
異世界から召喚された聖女=ニートという考えがフェルゴヴェールさんにあったみたい。
働いてもいいけど働き口までの送迎はフェルゴヴェールさんがするという条件付きだったけどね。
フェルゴヴェールさんの紹介で私はブティックショップで働く事になったの。
ブティックショップの店長ことアマンダさんは傍から見れば尖った耳を持っているがその正体は蜘蛛女ことアラクネという妖魔だった。
何でアマンダさんがアラクネであるのかが分かったのかというと、フェルゴヴェールさんが教えてくれたからなの。
ちなみに専属デザイナーはニックさんと言って小人タイプで可愛らしい妖精のゴブリンね。
でも仕種と言葉遣いが何かオネエっぽい。
ゴブリンと言えばファンタジーものでは人間を襲う醜悪な魔物として描かれているけど、本来は可愛らしい外見をした善良な妖精で人気があった。
民間で人気があった故にゴブリンは宣教師達が邪悪な存在として広めてそれが根付いてしまったと聞いた事があるわ。
昔、小人の靴屋という童話を読んだ事があるけど、専属デザイナーというかアーズガルドのゴブリンはそんな感じだと思えばいいみたい。
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