第10話
フェルゴヴェールさんのお城は華やかでありながらもどこか落ち着きがあって・・・一言で言えば洗練されている白亜の宮殿だった。
「綺麗・・・」
美の極致ってこういう事を言うのかと思わず声を上げてしまったわよ。
ミドガルズ王国の王宮に関しては外観と偉そうなおっさんとおばさんが居た玉座の間しか知らないけど、例えるなら金にものを言わせて高級ブランドのインテリアで何の統一感もなく飾り立てている趣味の悪い部屋というやつだ。
フェルゴヴェールさんを出迎えた執事と侍女達は色っぽくて相手に不自由しないくらいの美男美女で・・・。
後にフェルゴヴェールさんの命令で私付きになった侍女の一人が『私を含む侍女は全員サキュバスで執事達はインキュバスです』って教えてくれたの。
だから美男美女なのねと納得したわ。
その日からフェルゴヴェールさんが私にアーズガルドという世界について色々教えてくれたわ。
・アーズガルドには人間だけではなく地球では神話や物語で語られる種族───サキュバスやインキュバス、マーメイドにマーマン、ドラゴンをはじめとする神獣や幻獣、小鬼やオーク、オーガやトロルなどといった魔物が存在している
・使える貨幣は白金貨、金貨、銀貨、銅貨、鉄貨である
・ミドガルズ王国は人間至上主義で人間以外の種族を見下している
・但し、ミドガルズ王国の戦力、兵力、武力、武器といった戦闘における方面だけではなく文明と文化、技術といった方面のレベルが地球では暗黒時代と言われているくらいのレベルでヴァナヘルム王国と比べたら劣っているのだが人間至上主義を掲げているので自分達こそが世界の支配者だという考えがある
・自分達が世界の支配者となる為に異世界から聖女と呼ばれる存在を召喚する
・異世界人を召喚、送還する術はアーズガルドという世界の膨大なエネルギーを消費するだけではなく空間の歪みを起こす
・空間の歪みが原因で人為的な瘴気が発生する
・自然に発生する瘴気の色は黒だが人為的な瘴気の色は赤い
・人為的によって発生した赤い瘴気は世界各地で天変地異や気候変動、自然発生する魔物よりも更に凶暴な魔物を生み出すという風にアーズガルドに災いと悪影響を齎す
・黒い瘴気は時間が経てば自然に消えるが、赤い瘴気は聖女しか浄化できない
・ミドガルズ王国は異世界人を召喚する術を発明したが、それは数多の人間を犠牲にしたものである
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