第9話







 私は日本に帰りたい


 魔王達は送還術を使いたくない



 ・・・・・・・・・・・・うん!


 魔王が住む城には一般人が目を通す事が出来ない本───送還術に関する本がある筈。



 ヴァナヘルム王国で生きて行くから、この世界の常識等を教えて欲しいとファルさんに言おうとしたら超美形のフェルゴヴェールさんが私を自分の領地に引き取りたいと言い出してきたの。


 フェルゴヴェールさん曰く


 自分を見てポ~ッと顔を赤く染めて見惚れなかった女なんて初めて見たから興味を持った、らしい。


 もしかして私・・・フェルゴヴェールさんから【面白ぇ女】って思われていたりする!?


「ま、魔王、様のお兄様のお手を煩わせるなど畏れ多い・・・」


 私の目的は日本に帰る為に送還術に関する手掛かりを探す事だ。


 召喚や送還はヴァナヘルム王国では禁忌。


 だけど、お偉いさん達は禁忌とされる術の類を何かしらの形で残しているのがお約束。


 例えば呪文とか魔法陣とか書物という形で。


 そういう類のものは城内でも王族しか入れない特別な場所にあるというのもお約束だから、きっとそのような場所に送還術の手掛かりがあると思う。


 もしかしたら抹消されているかも知れないけれど何かしらのヒントはあるのではないか?


 私がそれを見つける為には彼等の信用を得なければならない。


 今の私には魔王達の信頼を得る事が最優先。


 私の事を【面白ぇ女】と思っている(かも知れない)フェルゴヴェールさんの領地に行く訳にはいかないのよ。


 が!


 抵抗虚しく、私はフェルゴヴェールが治める領地へと拉致・・・というか無理やり連れて行かれたの。










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る