第4話
(まさか漫画やラノベの類でしか見られない聖女召喚が本当にあるとはね・・・)
『事実は小説より奇なり』と小声で呟いた私は、これからどうするべきかを考えたわ。
(魔王とやらだったら私を日本に戻す方法を知っているのかも知れない)
根拠はないが私を追い出した偉そうなおっさん達より、連中が世界の敵と見做している魔王の方がマシだろうと思った私は情報収集する為に町を目指そうとしたのだけど・・・。
「ステータスって唱えたらゲームのようにステータス画面が出たりして」
魔王が住んでいる魔界(?)は某世紀末救世主が主人公の漫画に出てきた【力こそ全て】な修羅の世界であるはずだ。
平和な日本で生きていた人間が、日本に帰るまでとはいえ異世界で生きて行けるはずがない。
巻き込まれたとはいえ、異世界召喚された人間は何かしらのスキルが付与されているというのがお約束。
ステータスって唱えてみたら・・・私の目の前にゲームに出てくるウインドウが出現したの。
「・・・・・相田 絵里衣というタレントのそっくりさんではなく私が聖女だったんだ」
何故、自分が聖女なのかが分かったのかというと、私のウインドウ画面に【追放された聖女】という称号が書いていたからなの。
しかも!
「何これ・・・。凄いチート・・・」
火・水・土・木・風・氷・光・闇・収納・生長・強化・治癒・防御・結界・浄化・再生魔法が使える事が分かったの。
「でも私としては魔法よりネットショップが良かったわね」
偉そうなおっさん達のコスプレを見る限り、どうやらこの世界の文明レベルは中世から近代辺りだと思う。
二十一世紀の日本で生活を送っていた私には前時代的な暮らしは耐えられないし、ネットショップで購入した商品を売れば手っ取り早く金銭が手に入るはずだもの。
私の財布にはお金とカードが入っているけど異世界では使えないからね。
(何か売れる物があったかしら?)
財布とスマホ以外にトートバッグに入っていたのは、頑張った自分に対するご褒美として買った真珠のペンダントとイヤリングだった。
(・・・・・・仕方ない。これ等を売って金を作るしかないわね。これ、カードの一括払いだけど結構
リボ払いにすれば月々の支払いが数千円だけど、利子が高いもの。
私はカードで払う時は一括払いにしているわ!
一度も身に着ける事なく真珠のペンダントとイヤリングを売らなければならなくなった事実に心の中で滂沱しながらも、私は人里を目指して歩いたわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます