第4話 可哀想なクソ野郎


 草の都の防衛林を突っ切った白菊達はようやく草の都に到着したのだった。

「ここが草の都かぁ~10年ぶりだねぇ、鉋~」

「私は200年ぶりだな。」

「待って、、、なんで、、、あなた方は、、、あんな、、、地獄、、、突っ切ってきたのにそんな平然なんですか、、、?」

 鉋が横目に見ると炎龍獅子の隊員が全員戦争が終わったように崩れ落ちていたのだった。

「諦めたからな」

「地獄?楽しかったじゃん」

「、、、は?」


 異なる方向から声が聞こえた。

「いや、鉋、貴様はいい、供花、お前頭大丈夫か?」

「大丈夫だよー中二。」

「その呼び方は辞めろと言ったはずだぞ、10年前に。」

 炎龍獅子の隊員が怪訝そうにそのを見る。


「紹介が遅れたな。俺は風の都、塔長様近衛部隊。[手向けの風車]の部隊長をやっている、イタカだ。先程、草の都の警備軍隊になんか戦闘狂バーサーカーがいるという報告を受けたんだが、お前らだったか、、、」


 なんか微妙にヴァーユのとこのイントネーションがおかしかったが、それも仕方ない。ヴァーユはとてつもなく酒癖が悪いのだ。一応連合帝国の警備を担っている風の都のトップなのだが、いつも酒を飲みに居酒屋に行っているためほとんど行政はイタカが行っているのだ。


「イタカか、久しぶりだな、元気か?ヴァーユは相変わらずか?今日はどんな用件で草の都に来た?」

 鉋は久しぶりの再会に少しうれしそうだなと白菊は思った。


「ああもう!一気に質問をするな!鋩鉋、お前の悪い癖だぞ。ったく、、、元気だよ。ヴァーユは今草の都の宮長のところで酒を飲んでいる。草の都の宮長に社交会バカ騒ぎする会に来ないか?と言われたんだよ。そっちはどうだ?」


「こっちもそのバカ騒ぎする会に誘われたんだよね~。中二はヴァーユの後処理吐瀉物の処理しなくていいの?」


「、、、草の都の宮長が面倒見ているから大丈夫だ。、、、と思う。」

 イタカは何かを思い出したように苦虫を噛み潰したような顔をする。

 それで何かを白菊は察したらしい。

「あっ、、、もう吐いたんだ、、、」

 

 そして、鉋が諦めたように項垂れていた。

「さっさと宮長の加勢に行くか、、、」


「すまん、、、白菊。もしヴァーユが急性アルコール中毒で死んだらお前の冥導堂の火葬場の世話になるかもしれん。その時は頼むぞ。」


「、、、草の都の葉癒宮の医療施設じゃダメ?」


「、、、そういえば草の都は医療都市だったな、、、火葬場よりも先に草の都の病院の世話になるようだな。気が重いぜ、、、」


 鉋が横目で見る。

「二人ともまだヴァーユが死んだと決まったわけじゃないぞ。あとイタカお前はむしろ死んでほしくて言っているだろ。それ、逆フラグってやつだと思うぞ。」


「、、、それを言ったから逆フラグが立ったんじゃないか?」

 その視線の先には草の都の宮長に膝枕されているヴァーユグロッキーが映っていた。後ろで「あっぶねぇ~死んでなかった~」と白菊が小声で呟いた


「皆さん、遅かったですね。待ちくたびれてましたよ。鋩鉋さん久しぶりですわね。白菊ちゃんは10年ぶりでしょうか?大きくなりましたね。イタカ、貴様逃げただろぶっとばすぞ? 」


「ああ。」


「やっほー!!ガイアちゃん~ひっさしぶり~」


「なんか俺だけ当たり強くね⁈」


 という風に可愛らしい挨拶をしている人は、身長120cmという小柄の少女であった。名をガイアという。草の都の宮長を務めており、見た目の割には1000年ぐらい生きているらしい。草の都の学術会の副会長でもある。ちなみに7つ全ての都のトップから愛されているみんなのアイドルのような存在である。しかし、身長は120cm。あと連合帝国の漆黒の太刀の二つ名を持つ帝国軍将軍(女性)から溺愛されており、度々将軍が甘えに来るのが最近の悩みらしい。


「ガイア、ヴァーユの様子はどうだ?」


「本当に近衛部隊隊長なのか怪しいクソ野郎が逃げた以外は特に大丈夫でしたよ。」


「だから何でそんな当たり強いの?」


「あ~そいつはクソ野郎だねぇ~。一体どんなツラしてるんだろうねぇ~。」


「ちょっと。何でそんな当たり強いの?」


「そいつはクソ野郎だな。」


「ねぇ!!だから何で⁈」

「「「クソ野郎だからだね」」」

「くっそぉおお、、、鉋おま、貴様、普段ぜってぇそんな語尾じゃねぇだろ、、、」

「、、、そうだっけ?」

「おいゴルァとぼけんなよ。ああん!!」


「まぁまぁ。落ち着いて。とりあえずお茶にしましょう。」

「いいよ~」

「誰のせいだと思ってやがる!!」

「うるせぇクソ野郎。」

「ガイア、さすがに口が悪いぞ。」


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可哀想なイタカ、、、

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