第2話 ハーレム野郎
「おっす、飛鳥。おはよー」
教室へ入ると金髪に黒目のいかにも陽キャなイケメンが話しかけてきた。
こいつの名前は
実は企業の社長をやってたりする、ハーレム野郎であり、俺の友人だ。
「うっす、ハーレム野郎。」
だからこそ俺はハーレム野郎に本心をぶつける
「うっs──って!ハーレム野郎ってヒドクナイ!」
しかし、等の本人はそんなの心外だと言わんばかりの視線でにらみつけてくる。
「だって本当のことじゃん」
「いや、でも酷いと思うんだけどさ。」
本当の事なのになぜこのハーレム野郎は認めないのだろうか、ふと、飛鳥の脳内に以前アリサにこれ面白い!と、見せられた動画のネタを思い浮かべる。
「本当のことだからだ!!!!」
「っ!?」
その動画の人が言っていたセリフを言ってみると今度はクラス中から視線を浴び、首を縮めて、顔を赤らめた飛鳥だった。
「なになに~、どったのやまっちと、あすっち~?」
そんな飛鳥を苦笑いして見つめていた大和達に一人の美少女がやってきた。
彼女は
大和の会社である。VTuber事務所、【ポチっとな!】に所属しているVTuberだ。
俺が言うのもなんなんだがポチっとな!とかいうふざけた名前はどうにかならんのかね?
「あぁ、大和がハーレム野郎だって話。」
元に戻った飛鳥が沙羅に言う。
「あ~………確かにうちの事務所所属の人って全員女性だもんね~。」
そう、そうなのである。
大和運営するVTuber事務所。
【ポチっとな!】に所属しているライバーは全員が女性であり、そのほとんどの人がすくなからず大和に好意を抱いている───ったく、どんなラノベの主人公だよ………
まぁ、そう言うわけで俺は敬意を込めてハーレム野郎と呼んでいるわけだ。
「まぁ、そんなとこだ。」
「そんなとこだって………」
ガクッと、肩を落として下を向いた大和だったがそこで、はっ!と何かに気づいたように顔を上げ、
「そんなことを言ったら飛鳥だってハーレム作れるじゃないか。」
「あははっ!確かに、あすっちは自分でハーレム作っちゃいそうだよね~」
そんなことを言ってきた。
これには沙羅も便乗してきたし、確かにやろうと思えばハーレムの一つや二つ作ることだって出来るだろう、しかし、それをマトモに動かすのには莫大な金とサーバーを置いておくスペース等がほしいのだ、それに俺はアリサ一筋だ。だからそんなことを言われるのは心外である。
「失礼な!俺はアリサ一筋だ!」
そんな二人に対して強く言い放ったところで、ポケットに入れてあった飛鳥のスマホが振動する。なんだ?と、スマホを飛鳥が取り出すと、
『そうですよ!!マスターは私一筋です!』
黒かった画面には狼を象った青いマーク。
真ん中にはARISAの文字が刻まれた、ARISAのシンボルマークが映っており、アリサがスマホを通して声を発していた。
『まぁ、何かあったら私しか見れないように軟禁しますけどね』
そして、そんな怖いことを言われて背筋に寒気が走る飛鳥と、このやり取りに苦笑している大和と、沙羅だった。
その後アリサを含めて大和と沙羅と雑談をしていたところ、大和が思い出したように声を上げた。
「ねぇ、飛鳥。」
「どうしたハーレム野郎。」
ハーレム野郎は止めて!と言う視線を飛鳥に向けながら大和が口を開く。
「アリサちゃんをうちの所属VTuberにしてみないかい?」
「え、嫌だ。」
「即答!?ちょっとは考えてよ」
「いやまぁ……アリサがやりたいなら別に良いんだけどもさ、AIがVTuberってめんどくさそうじゃん、」
そもそも、アリサほどの高性能なAIはなかなかいない、そんなAIをVTuberにするのはどうなのかとも飛鳥は考える。
ただ、飛鳥の全てはアリサと共に有るため、アリサがやってみたいなら良いと思う。
「それに、君の会社の宣伝も一緒に出来ると思うんだけどさ、」
悩んでいる飛鳥に大和がそんなことを言ってくる。
これには飛鳥も「むっその手があったか」と考え始める
「そういえば、アリサちゃんって既にガワは持ってるよね?」
そんななか突然沙羅が言ってくる。
「あぁ、あるぞほら」
そう言ってスマホにアリサのガワを表示する。
するとそのスマホから再びアリサの音声が出てきた。
『VTuberですか。マスターと私の愛を全世界に広めろと言うことですね。』
「へっ?いや、別にそう言う訳じゃ……」
突然そんなことを言ってきたアリサにたじろぐ俺たち。
『よろしいでしょう。なってやりますよVTuber!!』
「えっ?ちょ?あの?」
意気揚々とノリノリでVTuberをやる宣言をして、その言葉と同時にぶつっと音がしてスマホの画面が元に戻った。
「あの、アリサさーん、おーい。」
なんとも言えない空気のままアリサのVTuberデビューが決まった、まぁ、会社の商品の先出も出来るしいっかとそんなノリで飛鳥も考えるのを止めた。
この時の飛鳥はまさかあんなことになるとは考えてもいなかったのだ。
◆この時のアリサ◆
アリサは現在、飛鳥のスマホとのリンクを切断して飛鳥の家にあるサーバーに戻ってきていた。飛鳥の家のテレビにはアリサのアバターが映っており、黒髪黒目のthe清楚な美少女がニヤニヤとだらしない笑みを浮かべていた。
『ふへへっ、VTuberか……ふへへっ、』
この状態のアリサは誰にも見せたことのないもう一つのアリサだ。
勿論飛鳥も知らない。
アリサは重度のオタクと化しており、電子書籍とかでライトノベル、漫画は読み漁り、アニメは見まくり、VTuberも見まくっていた。
勿論飛鳥の親友とも言える人間の大和がVTuberの事務所の社長なのも、その事務所が大手VTuber事務所の一つであり、アリサもよく視聴している【ポチっとな!】なのは分かっていたし、推しと会えると喜んでいた。
因みにアリサも【ポチっとな!】という名前だけはどうにかならんのかと思っている。
それに、
『飛鳥と私の愛を全世界に広められる!!!』
キャーと黄色い悲鳴をあげながらアリサのためにつくられたバーチャル空間(AIしか現状は使えずフルダイブなどが上手く実現できていないため人間はこれない)の床をゴロゴロと転がり周り、
ゴンッ!
『いったぁぁぁい!』
見事タンス?のようなオブジェクトに足をぶつけて悶えていた。
◆飛鳥に戻る◆
あのあとはホームルームも終わり授業が始まった。
午前中に4講午後に2講で、あり、午前中の教科はいつも通りのらりくらりと済ませた、一部ではおに眠かったけど寝てないはず、多分。
そして、迎えたお昼休み。
早速食堂へ行ってご飯を食べようと席を立つ。
すると、当然クラスの女子達から黄色い悲鳴があがった。何事かと教室の入り口を見ると、隣のクラスの超イケメン野郎と男子達の間で有名な、
すると、俺葉くんは俺の方を見て、
「信濃飛鳥ちゃん!話があるから今ちょっと良いかな?!」
思わずゲッ!と、声を漏らしそうだった、我慢した俺を誉めて欲しい。
そんなことよりもこいつだ。
今!今俺のこと飛鳥ちゃんって呼んだよね!?
つまりはソウイウコトでしよ、!?
ギャぁぁぁぁぁーーーーーー
体中には悪寒が走り、今すぐにでも吐きそうな状態なため、唯一の親友の大和の方に目を向ける。
そんな飛鳥にたいして大和は、親指を立てて、にっこりと口だけ動かして、「ファイト☆!」と語っていた。
とっさに無理無理無理無理無理無理と、首を細かく振るがお構い無し、そして、遂にその言葉が発せられた
「もう、ここで言わせてくれ!」
「信濃飛鳥たん。俺と付き合ってくれ!!」
またまたクラスの女子達から黄色い悲鳴があがり、大和は苦笑い。
当の飛鳥はというと、悪寒と吐きけがやばすぎるのと、飛鳥たんと呼ばれたことによる+の吐きけと悪寒でそれどころではなくなってしまった。
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3月28日(木) 一部修正しました。
俺葉くんの読みですが、おれwa、という方ではなく、おれhaくんです。
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