第51話 祭り
結局、スターリーアイズの行方を見つけることはできなかった。
私が手がかりを見つけたその夜、魔法省は廃墟で大規模な捜索を行ったが、結局何も見つからなかったという。あの青の魔法少女は、まるで幻のように、契約していた妖精と共に跡形もなく消え去ってしまったのだ。
不安を心の中に隠しながら、私は人の流れに従って前へと進む。
賑やかな夜、大通りは人であふれかえっている。
人々は魔女のような尖った帽子をかぶり、華やかに装飾されたおもちゃの杖を手にしている。中には魔法少女のような衣装を着て、コスプレの格好をしている人もいる。
街には至る所に飾りが施され、遠くの空には花火の光が次々と咲いている。笑い声が通り全体に満ちていた。
私は手を引かれて前へと進む。
左手から温かな体温を感じながら、視線を前へ向けると、そこには一人の少女の背中が見えた。長いポニーテールと細い体を持つその少女は、人混みをとかき分けながら進んでいる。彼女は振り返り、青い瞳で私に向かって微笑んだ。
「もうすぐ着く!」
周りの喧騒に負けないように、雪野は大声で私に呼びかけた。
「コンサートのステージはそこだよ!」
「うわあ、人が多いな。すごく混んでいて、慣れないなぁ。気持ち悪くなりそう。こんなに人が多い場所は苦手だ。」
Qが私の服を引っ張りながら、後ろについてきた。
「君がコンサートに行きたいって言ったんじゃないか?このくらいのことは我慢しようよ。」
「そうは言っても...」
「もう。とにかく私から離れないで、迷子にならないように。」
「はーい。」
雪野について屋外のコンサートステージ前に到着したとき、空にはいくつもの花火が打ち上げられた。カラフルな模様が夜空を飾り、美しいパターンを描いている。観客たちはそれに合わせて歓声を上げた。
「皆さん!」
ステージ上の司会者は興奮気味に叫んだ。
「コンサートはもうすぐ始まります!魔法少女2人組の歌手ユニット『RS』を迎えましょう!」
観客たちの歓声はさらに高まり、拍手や叫び声が続く。しかし、私は何か違和感を感じた。
「ステージに妙な魔力の反応が。この感じは…っ!」
雪野もQも異常に気づいたようで、2人とも眉をひそめた。
反応する間もなく、ステージに霧を帯びた扉が現れた。悪魔の装飾と黒い光沢。扉がゆっくりと開くと、群衆の歓声は徐々に静まり、不安げな声が代わりに聞こえてくる。
そして、奴らが現れた。
「やあやあ、美しい夜だね。そう思わないか。」
「ああ、騒ぎを起こすにはちょっどいい。」
ステージに現れたのは二人組だった。
男と女。
大柄な男はコートを着て帽子を被り、左手の袖は空っぽだ。片目の女性は灰色のスーツを着て、左手には昆虫を圧縮したような銀色の刀を持ち、右手には
その籠の中には、無力にもたれている青いヒトデのような生物が入っていた。
「正直なところ、私はステージパフォーマンスがあまり得意じゃないんだ。だからあなたに盛り上げてくれるよう頼むよ。」
「任せてくれ。」
大男は手を挙げ、指を鳴らした瞬間、コンサート会場の席の間に大量の黒い扉が現れた。
「亡くなった友人から、盛り上げるコツをいくつか学んだんだ。」
「っ!全員、退避!」
雪野が大声で警告を発したと同時に、大量の黒い扉が一斉に開いた。群衆の悲鳴が上がる中、扉の中から次々と下級の怪人が押し寄せてきた。
「くっ…!こちらはスノーランス、緊急事態発生!大量の怪人が出現中!場所は
雪野が手に持ったペンダント型の通信装置に向かって話している間、私は二人の怪人の上に浮かぶ何かに気づいた。
それは一人の少女だった。
ロリータスタイルの服を着て、長い巻き髪を夜空に揺らしている魔法少女
彼女は私の視線に気づいたようで、こちらを見た。無関心だった表情が瞬時に憎しみに変わる。
「見つけた!」
彼女の目が光った瞬間、私は異空間から盾を取り出した。
内臓を震わせるような一撃が、夜を裂く強烈な光とともに
スターリーアイズの行動により、現場は静寂に包まれた。暴れていたはずの下級怪人たちも、彼女の行動に圧倒され、民衆を追いかけるのをやめた。雪野は信じられないというようにスターリーアイズを見つめ、金魚のように口を開閉させている。
「星ちゃん…っ!」
「
観客の中で誰かが呟いた。その小さな囁きが瞬時に波のように広がり、やがて絶叫に変わった。
「まずい!みんな、落ち着いて!」
私の上方にいる雪野は焦った表情を浮かべていたが、恐怖はすでに広がっていた。
「スターリーアイズが群衆を攻撃した!」
「スターリーアイズが人々に砲撃をした!」
「うわああああああ!」
先ほど怪人が現れたとき以上の混乱が広がり、皆、スターリーアイズの視線から逃れようとした。混乱を引き起こした張本人のスターリーアイズは全く動じず、私を鋭く睨みつけていた。
「立ち上がれ、
スターリーアイズの目が不吉に十字の星のような光を放った。
「今夜、決着をつけよう。」
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