第24話 小休止
「おお。こんなに隠れた場所にあるとは。この店を見つけられるなんてすごいね。」
「でしょう。もっと褒めて。」
Qに従って席に座ると、私はカフェの内装を観察し始めた。
メニューに目を通している最中、突然、耳に馴染みな声が私の行動を中断させた。
「あら。サヨさん。偶然ですね。」
「…雪野さん。」
「ちょうどいいタイミングで、私も今から会いに行こうと思っていたの。」
相変わらずの強靭な精神力だなと、私がそう漠然と考えている間に、雪野は私たちの向かいに座った。彼女はQに軽く頭を下げた。
「こんにちは、私は雪野アリスです。よろしくお願いします。」
「え、ええ。よろしくお願いします……って、どうしてそんなに自然に私たちの前に座っているんだ?」
「まあまあ、私がおごるから。」
「むっ…」
相手がおごると言っているのだから、さすがQにも断りづらい。私は雪野の距離感に戸惑いながらも、無意識のうちに彼女の名前を呼んでしまった。
「雪野さん。」
「ユキでいいよ。」
状況がよく分からないけれど、彼女の好感度がまた上がったようだ。不思議な
「ユ…雪野さん…なぜここにいるんですか?」
私は雪野に疑問を投げかけた。
「ふふ。この店の店主は信頼できるし、雰囲気もいい。学校からも近いです。女の子たちの間ではかなり有名だよ。」
「なんだ、私が最初に見つけたと思っていたのに。もし多くの人が来るなら、なんだか気が滅入るなあ。」
Qはやる気をなくした表情を浮かべた。
「そんなにがっかりすることはないでしょう。」
雪野は苦笑した。
「これからもここに来てくれるのなら、私はとても嬉しいです。私はもっとサヨさんと話をしてみたかったので、もっと会う機会があればいいなと思って。」
Qは目を細めて、まるで浮気を見つけたかのような疑いの眼差しを私に向けた。彼女の視線に耐えながら、私は表情を平静に保とうと努力した。
「空いている時があれば。」
「そうしてください。」
ここまで話して、雪野は突然姿勢を正して、厳しい表情を浮かべた。
「日常の会話はここでおしまい。私にはサヨさんに伝えたいことがあります。私の独り言だと思って聞き流してもらっても構いません。」
私はQを見つめ、Qは頷いた。私は我慢できずに長いため息をついた。
「さて、雪野さんは何か言いたいことはありますか?」
「まずお礼を言いたいと思います。後輩たちを助けてくれてありがとうございました。」
「…何を言っているのかよくわからない。」
「G.ラポスと対戦したとき、意識を失ったスターリーアイズを守り続けてくれて、本当にありがとうございました。普段の戦闘スタイルとは違う状況でしたが、あなたは一歩も退かなかった。」
「......。」
「かっこよかったよ。」
雪野は輝く笑顔を見せた。
私はQにテーブルの下で強く蹴られた気がした。
解せぬ。
「それではもう一つ。ウィンドブロッサムの状況について。」
雪野は咳払いをして、再び厳しい表情を浮かべた。
「私たちはウィンドブロッサムを見つけました。」
「良いニュースのように聞こえますが、君の表情からはそうではないようですね。」
「今あの子の状態が心配です。助けられたけど、彼女の状態はあまりよくないです。あんなことを経験した後だからね。」
「つまり?」
「ウィンドブロッサムは人質として、盾として扱われていた。」
雪野の表情は非常に悲痛でした。
「あの子を見つけた瞬間、目の前に現れたのはミノタウロス怪人、そして無数の黒い霧から形成される門と、そこから湧き出るC級怪人たちでした。私たちがC級怪人とミノタウロス怪人を討伐しようとしたその時、信じられないことに、ウィンドブロッサムは怪人たちに向かって回復魔法を施していたんです。」
「......」
怪人が言った「雑光を調整して使用可能にした」という言葉を思い出すと、私は思わず眉をひそめた。
「人質がいるため、私と紅先輩は広範囲攻撃を使用できなかった。怪人を一撃で倒せない場合、ウィンドブロッサムが怪人たちに回復魔法をかけるため、戦いは持久戦になってしまい、肉弾戦が続くことになった。」
「ひどいね。」
「ええ。どんな手段を使ったのかは分からないけれど、精神的な負担が大きかったでしょうね。魔法少女を機械のように変えてしまうなんて、誘拐された過程で何かされたのかもしれません。考えると恐ろしいです。」
「今のウィンドブロッサムの状態は?」
「空虚で、話しかけても反応がありません。」
そこで三人の間に、なんだか沈んだムードが流れてきたんだ。その時に、店員が飲み物と食事を運んできてくれたんだ。
「ねえ。」
突然、雪野が口を開きました。
「サヨさん、私たちと協力しょう。」
「っ。」
「あのG.ラポスの残忍さと危険性は知っていますよね。これ以上被害が広がる前に、魔法少女たちは団結しなければなりません。」
雪野が私に手を差し伸べた。
「魔法省の部分は私が頑張ります。評価が下がってはいるけれど、かつてこの街で第二に強かった魔法少女だった私には、まだ少し影響力が残っています。」
「......」
雪野はまだ何か言いたそうだったが、私の沈黙を見てため息をついた。
「だんまりですか。どうやらあなたはもう覚悟を決めましたね。でも、私は諦めない。」
雪野は決意に満ちた表情で、目を輝かせながら言った。
「サヨさんは私たちの仲間になるべきです。私たちの正義は交わる点があると信じています。」
雪野がそう言うと、Qは突然ぷっと口を尖らせて私を抱きしめた。
「そんな必要がない。サヨにはもう私がいるだから。」
私を抱きしめるQを見つめながら、雪野はわずかに目を細めた。
「失礼ですが、あなたたちはどのような関係?」
「私たちは共犯者だね!そうだろ、サヨ?」
「...そうだね。」
「ふーん。まあいい。今はこの件について深追いしないことにしよう。」
雪野は疑問の表情を浮かべたが、すぐに首を振り、再び微笑を見せた。
「暗い話題はここまでにしよう。今、少し静かな時間を楽しんでみませんか?」
「ああ。私たちもそうするつもりだよ。」
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