第25話 廃墟舞踏
降り注ぐ
私は足元の景色を見下ろした。
私はこの地域で最も高い傾いた建物の上に立っていた。目の前に広がるのは、灰色の瓦礫とセメントの破片、そしてねじれた鉄筋が突き出ている光景だった。
郊外の廃墟。
かつてこの地域は賑やかな歓楽街だった。しかし、怪人が大量に出現した災害で今の姿になった。今日に至るまで、当時出現した怪人はまだ完全に掃除されていないらしい。CからB級までの怪人が時々幽霊のように破壊された建物の間を出没している。
「サヨ。本当にこれでいいの?」
Qが通信で私に尋ねた。彼女の声には心配が含まれていた。
「ああ。主導権を得るにはこれしか方法がない。ずっと手掛かりがつかめなかったけど、まさかあいつが掲示板で活動してるとは思わなかった。だからこそ直接挑発して、あの怪人をおびき寄せて始末するのが一番だ。」
「でも…」
「サイコロはもう投げられたんだ。あとは出る目を見るだけ。これで三回目の戦闘だ。そろそろこの騒動に終止符を打つ頃合いだろう。」
「...うん。私は全力でサヨをサポートする。」
「ああ、そうしてくれると信じてるよ……来るぞ!」
雨の中、G.ラポスが視界に現れた。手のひらから汗が滲むのを感じながら、私は対物ライフルを構え、ゆっくりと息を吐き出した。
「ふぅ。」
G.ラポスに照準を合わせ、引き金を引こうとしたその時、相手は突然素早く頭を私の方向に向けた。
「...っ!」
「サヨ!」
「わかっている!」
私は力一杯引き金を引いた。G.ラポスが体をひねって頭をかわした。砲撃のような弾丸が彼女の頬をかすめ、風圧で鉄灰色の髪の毛が削られた。
「ちっ!」
私は素早くボルトを引いて薬莢を排出し、再びスコープをG.ラポスの体の正中線に合わせた。
相手は横に避けて、銃撃がG.ラポスの脇腹を削った。空中に墨色の線が描かれた。しかし彼女は傷に気にも留めなかった。笑みを保ったまま、両手を高く挙げた。
「開け!」
ガン!重苦しい金属同士の衝突音が響いた。私の三発目の銃撃が斧の側面に当たった。
「ウオオオオオオオオオオ!!!!」
ミノタウロスだ。斧を盾にして、彼がG.ラポスの前に立ちはだかった。二人の怪人が私の方向に突進してきた。
「バカめ。そこは地雷原だぞ。」
カチャ。
小さな機械の動作音と共に、G.ラポスの両目が驚きで見開いた。地面から回転する物体が飛び上がり、人の頭部の高さに達した。
バッン!爆発の煙が散る前に、私は再び銃を構えて狙った。
「Q!」
「斜め、右、方位角は20度!」
Qの指示に従って、私は引き金を引いた。
弾丸が煙を切り裂き、ミノタウロスの左腕を吹き飛ばした。
「ガアアアアアア!!!」
怒号か悲鳴か分からない声で、ミノタウロスが咆哮した。耳をつんざく吼声も無視して、私は再びボルトを引いた。薬莢が地面に落ちるチリンという音が細雨の中で特に鮮明だった。
地雷で足を止めたふたりの怪人は、再び突進してきた。次から次へと起こる爆発の中で、二人の怪人は狂気に満ちて前に進んだ。
「まだだ!五発目!」
ミノタウロスが再び身を挺してG.ラポスを守った。弾丸が彼の腹部に大きな穴を開けた。ひざまずいたミノタウロスの肩に足をかけて、G.ラポスは弓を引くように漆黒のパイルバンカーを振り上げた。
「アハハハハハ!」
G.ラポスは笑っている。
明らかに重傷で、死にかけていると言っても過言ではない。でも彼女は笑っている。
私は手に持った対物ライフルを放し、ナイフでG.ラポスの喉元を斬りつけたが、相手は後ろに反り返ってこれを避けた。
相手が不安定な姿勢になった瞬間、私は拳銃を怪人の腹部に押し付け、連続して引き金を引いた。
バッン、バッンバッンバッンバッン!
「グッ!アハ、アハハハハ!」
G.ラポスの口から黒い液体が吹き出した。顔に飛び散る墨汁も気にせず、私はさらにナイフを相手の左肋に突き刺した。
力を込めてナイフを捻ると、怪人は優しく、しかし逃れられないように私を抱きしめた。
「ああ。愛しい君よ。今日の
腹部に灼熱のような激痛が広がった。私は必死で相手の抱擁から逃れ、後ろに数歩跳び退いて距離を取った。下を見ると、漆黒のナイフが自分の体に突き刺さっているのが見えた。
「っ!サヨ!」
「あは、あはははははっ!クライマックスだ!今日こそ、君に食われるというわけか!さぁ、さぁさぁさぁさぁさぁ!焼き尽くせ!そして輝け、愛しい君よ、
「うるさいな。変態。」
顔に冷や汗が浮かび、痛みに耐えながら、私は歯を食いしばって体に刺さったナイフを抜き取った。体温が少しずつ失われていくのを感じつつ、乱れた呼吸を整えようと努めた。
「...ふっ。」
ゆっくりとパイルバンカーを構える相手を見ながら、私も構えた。足を少し開き、左手を拳にして脇に構え、右手は指を揃えて前に向けた。
「ストレージ。
全身の魔力を起動させて、私は意志を空間の一点に注ぎ込んだ。
「あっは!これは!」
「お見せしよう、今の私の切り札を!変身!」
指先に凝集した魔力が
「
異空間の切れ目から黒霧が噴出した。
最後の頭部装甲が私の頭に固定されたとき、一筋の電流が全身を走った。全身を覆う万能感を感じながら、私は右拳を握った。
「いくぞ!貴様が待ち望んでいたクライマックスだ!」
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