第13話 『モアベス』その5
シューベルト先生は、独房で夢を見ていました。
地球の美しい緑の野原を、子供たちと共に、ピクニックしながら歩いている夢です。
もちろん、シューベルト先生も、地球の海や野原を見たことはありませんでした。
みな、いろいろな資料から、想像したことです。
もっともっと古い地球には、恐竜と呼ばれるでかい生き物がいたとも言われます。
しかし、人類が地球を脱出したあとは、ほとんど忘れられてしまいました。
もちろん、まるで調べられないわけでもなかったのですが、そのためには、中央図書館の資料室にゆく必要があり、それには、その都度、各空中都市教育委員会からの正式な許可をとる必要がありました。
学校の先生であるシューベルト先生は、比較的許可を取りやすかったのですが、生徒たちに調べたことを教えるには、学校長さんに内容を申請して、認めてもらう必要がありました。
校長先生は、わりに、シューベルト先生には寛大でしたが、教頭先生は違ったのです。
引退が近い校長先生と違い、まだ若くて、火星教育界の中心に出たい教頭先生からみると、才能がある、自由主義のシューベルト先生は、異端児で、仇みたいだったのです。
だから、なにかと、シューベルト先生の邪魔をしました。
それでも、シューベルト先生が、夢の中で、輝くような美しい地球に遊ぶことを止めることはできなかったのです。
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