第4話 『火星の教室』その4


 その時でした。


 ダークグレーの制服に、長靴みたいなブーツをはき、巨大な火星カマキリの頭みたいなヘルメットを被った、10人ばかりの人が教室にどかどかと、踏み込んできたのです。


 そうして、指揮官らしき人が言いました。


 『ペーテル・シューベルトだな。』


 シューベルト先生は、いつものように微笑みを浮かべながら言いました。


 『はい。そうです。』


 『火星反逆罪で逮捕する。』


 『なぜですか?』


 『子供たちに、よからぬ思想を教えている、現行犯だ。』


 彼らの背後からは、教頭先生が、ちょっとだけ、覗き込んでいました。


 しかし、優しい校長先生の姿はありません。


 『よからぬ、とは?』


 『詳しくは本署で聞くから、こい。』


 子供たちは、おくちをあんぐりさせて見ています。


 『きみたち、なにも、心配はいりません。勉強を続けてください。』


 シューベルト先生は、それだけ言って、連れて行かれました。


       🚶‍♂️

 

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