第5話 決選、決戦、血戦
私は、前の世界には嫌気が指していた。
果てのない争い。
汚染された大地。
枯れた海。
廃れた文明。
これらは全て、魔力が発見された所為だ。
魔力を利用しようと機械を作ったが、その中に入っていた魔力が暴走して、衝撃波と大量の魔力を生み出し、ありとあらゆる物を破壊した。その後、世界各地に魔力が充満し、モンスターが現れて、この様な退屈な世界になった。と、古代の文献には書いてあった。
しかし、そんなときに驚くべき情報を仕入れた。
「平行世界に行けるゲートが開通した。」
なんでも、その世界は私たちの世界の数千年前…自然も文明も最も栄えていた時代…にそっくりだったらしい。
興味が湧いた。美しい景色を見て見たかった。
そう思っていた矢先、戦闘能力の高い者たちに軍部から召集がかかった。
平行世界を征服するために。
その世界にも私たちと同じように知的生命体が暮らしている。貿易等をして支え合うことがあっても侵略することはあってはならない。
そう考えた私は抗議した。しかし、想いは届くことはなく、次々に軍備を拡張していった。
知能のない者たちは未完成のゲートから転移してしまい、軒並み転移後の落下の衝撃で死んだらしい。
私は翼を持っていたから大丈夫だろうと思い、一足先に転移して、
何とか撃退したが、飛ぶ体力も残っておらず、私は何とか滑空して地上に緩やかに落下した。その時、記憶が飛んでしまった。
記憶が戻った時には軍部の
記憶のない時に私を助けてくれた恩人だ。彼を庇いつつ、この元凶を倒す。
「この人は関係ない」
「貴様が大人しくこの世界の支配を手伝えば、そこの有象無象に手出しはしない。」元凶は答える。
ならば、彼を庇いつつ、この元凶を倒す。
「あんたを倒す。」
「最終通告だ。貴様の実力だけは評価している。待遇も良いものにしようと思っている。」
「それでも、あんたの傲慢で自己中心的な考え方は理解が出来ない。ここであんたを倒す。」きっぱりと断る。
「そうか、残念だ……………そこの人間、残念だか死んでもらう」
その言葉をきっかけに、戦いの火蓋が切られた。
悪魔が黒い拳を振りかざす。
光のバリアで恩人を庇う。さらに、バリアから無数の光の棘を生やす。
棘が刺さり、悪魔の右腕が吹き飛ぶ。
よし、行ける。
そう思ったとき、悪魔がニヤリ笑い、空中で左ストレートを繰り出し、バリアを破壊した。その勢いのままこちらに拳を降らせる。
しかしそんなことは想定内。
手の平から光線を放つ。
悪魔の首から下が消滅する。
呆気なく勝利した、と思えた。
「ふははは、Sランクもこの程度か」
頭部が粉々になり、また、新しく体になる。
瞬間、黒い刃が私目掛けて飛んでくる。
避けきれず、右脇腹が裂ける…だけど。
「わかった」
「…なんだ?ようやく協力する気になったか?」
「…あんたの弱点だよ」
悪魔の左目を光線で吹き飛ばす。
「なっ…」
とたんに悪魔の体が崩壊していく。核を破壊したからだ。これでもう再生はできない。
「何故だ?何故だ?何故だ?核が再生しない…そうか、この世界には魔力が少ない」
周囲の魔力が多いと核ごと回復できたのか、確かに強いな、前の世界だったら。
「私の勝ちだ」
「いや、すでに貴様は負けている。」
なに?まだ隠し球を持っているのか?すでに回復は出来ないはず。
「ゲートは開通し続…けるように…設定した、必ずや…部下たちが…あとを継ぎ、この…世界を支配す…るだ…………」
元凶は事切れた。
最悪な置土産を残して。
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