第3話 登校、投降、投降

 2ヶ月後、空の亀裂は段々と小さくなっていることが、気象庁を通じて発表された。


 同時に、地面にも亀裂ワームホールが現れたことが確認されたと、気象庁を通じて発表された。


 とうとう飛べないモンスターたちと生きたまま会えてしまうのだろうか…そういえば天使あいつ羽あるのに怪我してたよな…しかも切り傷が多かった


 あの亀裂が自然現象気象庁担当な訳ないだろと思いつつ、もう2ヶ月も外出していない(食材はドローンで運ばれて来る)ので学校が恋しくなってきた。


 不意に、スマホが振動する


 クラスメイトからだ。 


 [明日から学校だけど、宿題終わったる]


 最後の『る』は『?』を打とうとしt…


「明日から学校ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 寝耳に水だよ。いや、嘘をついてるジョークかもしれない…と思ったらグ○グル社が提供してるクラ○ルームに掲載されていた。


 真面目にストリーム確認してるやつなんているのかよ?いや、絶対にこいつクラスメイトしか居ないよな。


 いくら思考反芻しても意味はないので早く明日に向けて準備をする。







 あれ?宿題…


 ──────────────────────


 今日はいよいよ2ヶ月ぶりの学校。懐かしの登校ルート。(中学生のため徒歩で登校)


 公立の学校が休校になったのは21世紀の初めにコロナとか言うウイルスが蔓延したとき以来らしい。


 ちなみに緊急事態宣言は第s…


「おい、劣等種」


 後ろから声をかけられた。いや、あんたも人間…じゃない。


「はい?」思わず間抜けな声が出てしまった。


 どう見てもモンスターじゃん。


 二足歩行だけどめっちゃ猫背で鼻でかくて耳尖ってて、一つ目で裸が紫色で…


「その亀裂から来たの?」


「ああそうだ劣等種!驚いたか劣等種!」


 こいつ語尾が劣等種なのか?てかその前に日本で2つ目の地面からの亀裂に遭遇するとかどんな確率だよ。


「んで、何の用ですか。」


「図々しいぞ劣等種!黙れ劣等種!」


 こいつ語尾が劣等種だな(確信)


「俺様は知ってるぞ劣等種!貴様がsランクの危険生物を匿っていることをな だから大人しく渡せ劣等種!」


 わざわざ『…ことをな』で文を無理やり終わらせてないとか、どこまでキャラ作り語尾が劣等種にこだわってるんだよ…って今しれっとこいつ重要なこと沢山言わなかったか?


「sランクの危険生物?なんだよそれ?」


 天使あいつが危険とは思えない。だとすると人違いだろう。


「天使族のことだよ劣等種!もういい劣等種!力ずくで奪ってやるぜ劣等種‼️」


 すると、後方から新しく亀裂ワームホールが発生して中から斧を咥えた大きな蜥蜴が飛び出し、その勢いのまま僕の喉に向けて斧の刃先を振るう。体の鈍った一般人が避けられるわけもなく。打ち首に…なることはなかった。


「っぶね、安全装置に助けられたな。」 


 モンスターによって危険になった登下校を、安全にするために、日本の天才たちが『全自動モンスター撃退装置』という、腰に巻くとモンスターが近づいたときに、自動で特殊な針がモンスター目掛けて飛ばされ、瞬く間に対象を無力化してしまうすごい装置を開発した。青色発光ダイオード並みにすごいと思うが、そこまでするならオンライン授業でいい気がする。


 閑話休題戦いに戻る


 蜥蜴は倒れてぐったりしている。


「い、いのぢだげわぁ~」と蜥蜴は投降してしまった。 


「おい、何をしてるんだ」


 キャラ語尾に劣等種も忘れて焦ってしまっているそいつ悪魔は視線を蜥蜴からこちらに戻すと、


「ええい劣等種!俺様が直々に殺してやる劣等種!」


 一気に距離を詰めて来る。しかし僕には『全自動モンスター撃退装置消耗品』が…あれ?消耗品⁉️


 針が出てこない。


 急いで後ろに飛び退こうとするが悪魔のパンチの方が遥かに速い。


 走馬灯が見えた。


 天使あいつ悪魔のパンチを受け止めてカウンターを食らわせていた…ってこれ現実!


 奴はよろよろと後退して、膝をつき、そのまま地面にうつ伏せになった。


「…参り…まし…た」先ほどの威勢は何処いずこやら


 こうして登校中に(本人は何もせず)二つの投降をされた。


 「…早く学校行こ」

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