第1話 問題、問題、問題

 あれから数日して、刃物を付けた傘をさすという対策がネットに一時期出たが、法律的にも性能的にも色々がばがば過ぎて却下され、結局、政府から緊急事態宣言が出されて、国民が家のなかで待機している中、自衛隊の方々がモンスターの処理に当たっていた。ほとんどは落下の衝撃で亡骸になっていたが、一部の滑空や飛行が出来るモンスターはひとを襲っていたらしく銃や戦車などで処理されていた。しかしまぁ、重傷者が全国で数十人出ただけで死者が一人も出なかったことは不幸中の幸いなのかもしれない。


 数日間、家のなかでゴロゴロと怠惰を貪っていたなかでこれと言って大きな出来事は一つしかなかった…しかしその一つが大きすぎた。


「…お…い…し…い」向かいの席に座り一緒に夕食を食べている"それ"がたどたどしい日本語で話している。


「あら?ありがとうね。」母が頬を緩める。


 韻を踏んだのは気にしないで欲しい。


 閑話休題話を戻す


 "それ"は少女のような見た目をしているが似て非なるものだ。一言で表すなら『天使』。亜人とでも言うべきだろうか?


 "それ"を僕は信用していない。モンスターだという事実は変わらないしいつ寝首を掻かれるかわからないからだ。空の裂け目の奥にいるであろう黒幕のために情報収集をしているとも考えられる。


 ではなぜ僕が"それ"と暮らしているのか。(一緒に暮らすことはいつの間にか合法化された)


 答えは実に単純明快。


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