第18話 幕間 ある日のフォールとクーガ団

 最初に彼らがカワズ村に来たのは僕が三歳の時だった。

 村の畑を荒らすイノシシモンスターを退治するためにやってきた三人の冒険者。

 冒険者に興味のあった僕はその三人にどうやって冒険者になったのか、強くなる方法は? など色々と聞いた。

 その冒険者こそクーガ団の人達だった。

 団長は犬獣人のクーガ、副団長は猫獣人のアキト、そしてドワーフで魔導士のファイズの義兄にいさん。

 もともと三人は獣人の国――ミナミノ連合国にある同じ村に住んでいて、飢饉で食糧難となり村を維持させるためには人を減らすしかなく、義兄さんに戦い方や魔法、狩りや野宿の方法などを教わっていた関係から三人で旅に出る事にしたそうだ。

 そしてこの国のヤヤトカイの街で腰を落ち着ける事にした。その決め手になったのがハンターギルドの受付嬢にあるとかないとか。

 そんなわけでイノシシの件以降も度々、近くで依頼を受けた特に村を訪れるようになり、その度にいろんな話をして、僕の修行の成果を見てもらっていた。

 訓練と言ってもやった事は簡単な体力づくりだけだったけど。

 義兄さんが最初に教えてくれたことは「魔力は尽きる。武器は壊れる。最後に頼れるのは筋肉だ!!」というもの。だからまずは体を鍛えなさいというものだった。

 そして五歳になった頃クーガから剣の扱い方を、アキトに素手での格闘を、義兄さんから魔法の扱い方を教えてもらった。

 さらに二年後、七歳になった事にはクーガ団は新たに竜人ドラゴニュートのリュウキを加え四人となり、依頼が無くても月に一回は顔を出してくれるようになった。

 その翌年にはさらに人族の双子、ブレイドとヒビキが加わりクーガ団は六人となった。

 村を去る前に次に会う時までの課題を与えられ、一か月間は一人で課題をこなしつつ復習を繰り返す。

 そうしてきた成果を認められ、僕は十三で無事にクーガ団の一員となれた。

 そしてあの日、ハイゴブリンの攻撃により地面が壊され、僕は――

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