第4話 我が名はポチ(笑)
我が名は棗(なつめ)…
古より続く由緒正しき里見家の守り人である。
「ポチ〜」
縁あって今はこの島で姫と二人生活を共にするが…
「ポチ〜」
変わらぬ忠義心の元、御身のお世話をさせて…
「ポチったらどこ〜」
頂かせてもらっているのだが…
「あ、こら!いるんだったら返事しなさいよ(怒)」
いるのだが……
「ダーーーー!ポチじゃねぇ〜って何時も言ってんだろうが姫!!」
もう我慢がならない!
しかし…だ…
「ウルサイ!呼ばれたら直ぐに返事しなさいよ(怒)」
抵抗虚しく…
ガン無視である…
それと…
全話と似たようなシチュエーションだが許して欲しい
「だからーポチじゃねぇ〜って言って…」
「何よポチ、文句あるの?(#^ω^)」
「だからポチ…」
「あるの…?(#^ω^)」
「いや…その〜」
「(#^ω^)」
「きゅ〜〜ん(泣)」
「…………」
「ハイありません…ハイ」
反論する気概も限界だ。
何時もの事なのだが、あの圧に勝てる気がしない…
「よろしい〜♪じゃ〜今から買い物行って来て」
「何をだよ?」
「コーラとポテチ」
「はぁ〜?もう食べちまったのかよ!だから最近太…」
ちなみに2リットルコーラを3本とポテチ5袋である。
確か昨日迄はあった筈だが…
「…何か言った?ポチコロ(#^ω^)✕5」
怖〜〜〜(汗)
「いえ何も…直ぐに行ってきます(怖)」
こんな理不尽な態度をとるのが里見牡丹…
不本意だが我が永遠の誓いをたてし主である(汗)
普段、外では鬼可愛いこぶりっ子(死語)している彼女だが…
こう見えても(どう見えても?)この島では黄泉姫に継ぐ結界師であり、優れた《霊弓》の使い手なのだ。
人の身でありながらこの島で暮らす彼女は、妖化したり精神が崩壊しない変わり、その代償として歳を重ねる事と島以外での生活ができなくなった。
そして吾輩は幼い頃彼女に命を救われた犬狼である。
彼女がまだ人の身であった頃、我は世間で言う《人面犬》と呼ばれ、人の住む土地に迷い込み弱りはて、後は醜女になるのを座して待つばかりの身だった。
あ!
言い忘れたが我はこう見えても両の性を持つ者である。
だからあのままだったら醜女になるのが理となっていたのだ。
…今でも記憶に残る…
雨上がりの橋の下、泥水を掛けられ汚らしくこの身を夕日に晒していたあの日…
同族である筈の人の者の暴力に傷だらけになりながら一人泣いていた主…
気まぐれに近づくと話してくれたその生い立ち…
幼い頃からその身に宿る結界師としてのその能力…
周囲からは異端として気味悪がられ、言われのない罵詈雑言や理不尽な暴力に晒され、それでも一族最後の一人としての賢明に耐えてきた。
何でも一族は総て変死してしまいいなくなったそうだ。
後に調べると皆、時の権力者にいいように利用され、最後は切り捨てられ死んだらしい。
「こんなとこ…居たくないない…」
それが彼女が人として発した最後の言葉だ。
程なくして我を探しにきた花子嬢によってこちらの島に戻る際、彼女は意を決してこちらの島に移り住み、総ての理を受け入れその身を黄泉姫様に任せた。
そんな彼女に我は約束した。
「お主が人ならざる者になっても側にいる」
と…
「お主の
と…
「お主に死の刻印が刻まれようと側にいる」
と…
…そして…
「お主が望むなら我がこの手で殺してやる」
と…
…その結果…
我は今人に化け、彼女が望むコーラとポテチを買いに街まで買い出しに出掛けている。
それと…
ついでに彼女にナイショで性のはけ口を求めて♡
ちょっとだけ、あの頃抑圧されていた反動で我が儘を言う様になった彼女との出会いと、今だにポチと呼ばれる事にしょうが無さを感じながら(笑)
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