第4話 宿屋にて

 初依頼を無事に終え、地上に帰還したぼくたちは、スライム核五個に赤色キノコ10本を納品するため、一路ギルドに向かって歩いた。


 背中のバックパックには換金できる素材がぎっしり詰まっている。買い取りが楽しみだった。

 その短い道中、パーシはかんかんに怒っていた。


「リトル・スノウ。これじゃあ割に合わない。私の取り分は増やしてもらうよ!」


「それは当然だね」


「……え? あ、ああ、そう、分かってるならいいんだ……」


 採取の依頼達成だけでこっちは充分黒字だ。最悪、バックパックの中身は全部パーシにあげたって問題ない。一日でレベル12になれたことを思えば安いくらいだった。


◇◇


 ギルドでは、強面のおじさんがぼくを待っていてくれた。


「……もう終わったのか。早くても二、三日掛かるだろうと思ってたんだが……」


 ぼくは背後に立つ、すっかり煤けた騎士をおじさんに紹介した。


「こちらパーシ。普段、騎士団に詰めているんだけど、今日は彼女が手伝ってくれたんだ」


「ほう……」


 おじさんはチラリとパーシを一瞥し、それからぼくに向き直った。

 まず依頼の納品を済ませ、続いてバックパックの中身の目録を取り出してそれを読み上げる。日本語で記入してあるから、ぼく以外に読めないのが難点だ。


「お、おいおい、ちょっと待て。なんだその量は。ルーキーの納品量じゃない」


「そうだろうさ!」


 怒ったように、パーシが強く鼻を鳴らした。


「スノウとは、もう二度とダンジョンに入らないよ!」


 結局、ぼくは私物を取り出したバックパックを丸ごとおじさんに手渡すことにした。


「ちょっと待ってろ」


 そう言っておじさんはバックヤードに姿を消し、ぼくは待っている時間、ジュリエを労っていた。


「ジュリエ、今日はよかったよ。この調子でよろしく」


「いいもんか。コボルトは手を抜いていたよ。こいつが本気なら、私はこんな有り様にならなくて済んだんだ」


 所々破れ、最早ぼろ切れ同然になったマントの裾を掴んでパーシは半泣きだった。


 おじさんがギルドで作成した引き取りの目録を持って帰って来た。


「……ふむ、すごい成果だな。バックパックの中は殆ど素材だけだったぞ。どうやった」


「モンパレをやったんだ」


 モンスターパレード。ダンジョン内では魔の行進と呼ばれる最悪のハードラックだ。

 ぼくの言葉に、おじさんはギョッとして目を剥いた。


「モンパレだと!?」


「そうさ! リトル・スノウは初のダンジョンでモンパレをやったんだ!!」


 パーシは喚き散らし、ギルドのおじさんに如何にぼくが悪辣で節操なく漁夫の利を得たかの説明を始めた。


「一層とはいえ、死ぬかと思ったよ! 見ろ、親父。エッジ等級の長剣が一日でこの有り様だ!!」


 モンスターを散々叩き付け、ぶった切ったパーシの剣は、すっかり刃が潰れ、ただの金属の棒になっていた。


「……」


 おじさんは固まり、茫然としてぼくを見つめていた。


「ぼうず……いや、リトルスノウ。モンパレをやったのは、生きて帰る算段あっての事だよな?」


「勿論。彼女は守護騎士なんだ。一層のモンスター程度がパレードをやったって彼女は死なない。ジュリエも居るし、もしもの時はぼくもフォローするつもりだったよ」


「何を、いけしゃあしゃあと! スノウはショボい回復魔法を使っただけで、コボルトは火事場泥棒に精を出していただけだろう!」


「…………」


 おじさんは思慮深そうに黙り込み、膝に座らせたジュリエを撫でるぼくを見つめている。


「……お前さんは稀人だな。不思議な力を持ってるのか?」


「うん」


「回復魔法を使えるようだな。他の能力は?」


「言わない」


「「……」」


 言えないのではなく、『言わない』。ぼくの言葉に、おじさんとパーシは揃って黙り込んだ。

 どのようなものであれ、稀人の能力には秘匿義務がある。ぼくを保護対象にしている騎士団に所属するパーシには鬼門の話題。故意にばらせば法によって罰される。彼女は言いたくても言えない。さっき口を滑らせたのも、実は結構な問題だ。


「パーシ、一つ貨しとく」


「むぐ……」


 そして、ぼくは、パーシと違ってペテンのネタを明かすような間抜けじゃない。


「…………」


 沈黙。この場の誰もがぼくの能力に言及する資格がない。


「それで、おじさん。幾らになった?」


 ぼくは、にやりと笑った。


◇◇


 結局、バックパックの中身を殆ど精算して金貨で12枚になった。

 笑いの止まらないぼくは、金貨の入った小袋を両手で弄びながらギルドを後にした。


「金貨五枚! いや、六枚は貰おう!」


 その後はしつこく喚くパーシを引き連れ、近くの宿の食堂に入った。


「ジュリエ、パーシも好きなだけ頼みな。ぼくが奢る」


「当然だ!」


「金貨六枚欲しいの? じゃあ八枚出そう」


「え、本当? あ、うん……」


 分け前の交渉は実にスムーズに終わり、その後のパーシはご満悦だった。


「……装備を買い換えても、半分は残るな……」


 どうやら騎士団は薄給のようだ。パーシは言い分以上の分け前に喜んでいる。

 一方、ぼくの方は金貨四枚に依頼の報酬の銀貨二枚が手元に残った。予定より二十倍以上も儲かったんだから、これ以上を期待すればバチが当たる。


「リトル・スノウは太っ腹だ」


「とんでもない」


 ぼくがパーシなら、全部寄越せとゴネ倒す場面だ。


「もう、モンパレをやらないと約束できるなら、また手伝ってあげてもいいよ」


 なんて言うパーシは、ぼくから見れば、うんと間抜けだった。この分なら、あと二、三回騙しても許してもらえそうだ。


「うん、モンパレは二度とやらない」


「分かればいいんだ。リトル・スノウはいい子だね」


 ここの食事代だって知れたものだ。

 やって来た料理を口一杯に頬張っているジュリエの姿に、頬杖を付いた姿勢で薄い笑みを向けるぼくに、パーシが笑いながら言った。


「スノウは食べないの?」


「……いや、ダンジョンで食べたからね。お腹いっぱいさ」


 こんな不味いものが食えるか。ぼくは席を立ち、顔に出しては笑って見せた。


◇◇


 パーシとジュリエを食堂に残し、先に取ってあった部屋に入った。


 昨日と同じ宿だけど、今日は二人部屋を取ったので間取りは広めだ。狭い部屋は圧迫感があっていけない。一泊が銅貨で八枚。


 備え付けのクローゼットにバックパックを投げ込んだ後は浴室に水石と赤石を放り込んでおく。


 窓を開くと、茜色の太陽が姿を消すところだった。肌寒くなる前に部屋の換気を済ませ、万屋で買った寝巻き用のローブを来て人心地。


 ベッドに腰掛け、ゆっくりと今日一日のことを考え始めた所で、パーシを連れたジュリエが帰って来た。


「やあ、スノウ。このまま帰ってしまうのも味気ない。少し寄って行っていいかい?」


 ゆったりとした笑みを浮かべるパーシは料理を盛り付けた小皿を持っていて、ぼくらの部屋に寄り道する気満々だった。


「いいよ。あまり構えないけど、それで良ければ好きにするといい」


 窓を閉め、備え付けのランプに光石(小)を二つ入れて壁に掛ける。


「……二人部屋なんだ」


「狭い場所は嫌いでね」


 キョロキョロと辺りを見回すパーシに椅子を勧め、ジュリエの外套を脱がせて装備を解き、寝巻き用のローブは机の上に置いておく。


「ちゃんと食べた?」


「……」


 ジュリエは浮かない表情で頷き、テーブルの上にある料理を指差した。


「どうかした?」


 暫くして話せるようになるジュリエだけど、彼女が一番嫌がるぼくの悪癖は『食事を摂らない』事だ。この時はそれを気にしていた。


「パーシ。寒くなる前にお風呂に入りたいから、その間は好きにしてて」


「……人間は不便だね」


 そう。人間のぼくにこの世界の夜はきつい。寒くなる前に入浴を済ませ、早めに就寝するのは、この世界の『人間』なら常識だった。


「まさかとは思うけど、コボルトと一緒に入るなんて言わないよね?」


「……入るよ? っていうか、もう二回入った」


「…………」


 そこでパーシは押し黙り、睨むような細い目付きでぼくとジュリエを見比べた。


「……不潔だ」


「ジュリエは、よく洗ってある。今の汗臭いパーシより、よっぽど清潔だよ」


「…………」


「どうせだし、パーシも入る?」


 からかうように言って、とびきり悪そうなウインクをして見せると、ぼんっと頬に朱色を散らしてパーシは目を逸らした。


「リトル・スノウは不潔だ!」


「そう言うパーシは潔癖症だ。行き遅れないか、今からでも考えた方がいいんじゃない?」


 肩を竦めてローブを脱ぎ、椅子の背凭れに掛けると、ぼくの傷だらけの身体を見たパーシが目を見開いて固まった。


「そ、その傷は……」


 ぼくは答えず衣服を脱ぎ、もう裸になっていたジュリエと一緒に浴室に向かった。


◇◇


 石鹸を泡立て、しっかりジュリエの身体を洗う。一緒に入浴するのも三回目。大分、獣臭さが抜け、石鹸の匂いがするようになった。


「リンスみたいのないかな……石鹸だけだと、ちょっと固い気がするよね……」


 お湯を大量に使い、何度も身体を洗い流す。しっかり濯いでおかないと体毛に石鹸が残ってしまう。身体を洗われている間、ジュリエは気持ち良さそうに目を閉じていた。


 ぼくの方は、この日はジュリエが身体を洗ってくれた。

 それから一緒に湯船に浸かっていると、浴室の扉が開き、姿を見せたのはパーシだった。


「わ、私も入る。いいだろうか……?」


「……」


 大きい胸、腹筋は少し割れている。筋肉質な身体は所々白い筋が走り、幾つもの傷痕を残している。女騎士。戦場を駆ける彼女の人生は、ぼくなんかには想像もつかない。


「……スノウ?」


 頭髪から続く背筋に、長い鬣のような体毛が生えていて尻尾まで続いている。すらりとした八頭身の健康美に加え、パーシの身体には現実世界の人間にない野生の美しさがある。


「ごめん、見惚れた」


 ぼくは首を振り、パーシの身体から視線を背けた。


「う、うん。いいんだ。気にするぐらいなら来ない。そもそも、騎士団じゃ男だの女だの言ってられない時だってあるし……さっきはごめん……」


「何が?」


「あ、いや、ごめん……」


 パーシは視線を泳がせ、その後は気まずそうに黙り込んでしまった。


 ゆったりと湯船に浸かり、大きく伸びをするぼくの胸に、ジュリエが頭を凭れ掛けている。


「……ダンジョンは、すごく危ない所だ……」


 ぼくの言葉にジュリエが深く頷き、掛け湯をしながらパーシも感心したように頷いた。


「そうだね。幾ら稼いでも、自分の命には代えられない。それに気付いたスノウは偉い」


 今日一日で12金貨。日本円で約120万円だけど、命の値段としては随分安い。『猿の手』を得ることが最終目的だけど、自分の手で達成しなければいけない訳じゃない。一千金貨あれば買い取る事もできる。


 パーシは小さい小瓶を持っていて、そこから出した粘性のある液体で髪の毛を洗っていた。


「それは……」


 浴槽の中から手を伸ばし、パーシの髪に触れて見ると、ばっちりキューティクルが効いている。シャンプー&コンディショナー。


「ねえ、パーシ。その小瓶の中身って何?」


 困ったように眉を下げ、髪を撫でながらパーシがジト目の視線を送ってくる。


「……スノウ、女の髪に気安く触れちゃ駄目だよ。それとも、あっちの世界じゃ違うのかい?」


「ごめん。気になったから」


 素直に謝ると、パーシは視線を下げ、ぼくの傷だらけの胸元を見て、慌てて目を逸らした。


「か、髪用の洗剤だね。ここでも売ってるし、街の雑貨屋にも置いてあるよ」


「そうなんだ。少し分けてくれる? 持ってないんだ」


「いいよ。でも、リトル・スノウは髪を気にするんだね。女みたいだ」


「男とか女とか、関係あるの?」


 その後のパーシの言い分では、この世界の男性が自分の髪質を気にする事は珍しいとのこと。毎日入浴するのも貴族ぐらいのものらしい。


「汚い男は嫌いだ。スノウが相変わらずの綺麗好きで、安心したよ」


 交代で今度はパーシが湯船に浸かり、ぼくとジュリエは髪用の洗剤で改めて髪を洗った。


「全部、使ってもいい?」


「いいよ」


 最初、遠慮がちに目を逸らしていたパーシだったけど、湯船で暖まって落ち着いたのか、いつの間にか自然な視線で洗いっこするぼくとジュリエを見つめるようになっていた。


◇◇


 二人部屋なので浴槽は大きい。結構な量のお湯を使ったけど、三人で湯船に入るとそれなりの嵩になった。


「今日は……大変だったけど、楽しかったよ」


 パーシは一日をそう振り返って、膝の上にぼくを座らせてくれた。


「スノウは色々と気を使ってくれたろ? ご飯もそうだけど、採取も進んでやってたし、あれでモンパレをやらなければ満点だったよ」


「ふふ、そう」


 ぼくはジュリエを膝の上に座らせ、柔らかくなった彼女の体毛を指で鋤いた。


「……本当に、おかしな気分だ。スノウが採取をやって、コボルトがそれを手伝って、私は戦う。それぞれの役目を精一杯やって……今はこうして皆でお風呂に入って……」


 パーシは古傷でいっぱいのぼくの身体を指でなぞり、静かに溜め息を吐き出した。


「……悪くない。今日は、悪くない一日だった……」


 呟くように言ったパーシが、背中越しに首筋に顔を埋めてきて、ぼくは黙ったままでいた。


「リトル・スノウは不思議でいっぱいだ」


「……」


「綺麗で可愛い顔をしている。でも素っ気なくて……。向こうの世界じゃ、たくさん女を泣かしただろう」


「さあ、どうだろうね」


 充分、身体が暖まった。ぼくが立ち上がり、湯船から出るとジュリエとパーシもその後に続く。身体を拭いている間、尻尾が気になって、ぼくはパーシのお尻を見つめていた。


「スノウ。言っておくけど、尻尾に触ったらタダじゃおかないよ」


 残念。代わりにジュリエの尻尾を触ることで我慢した。


 身体を拭いた後はローブを着込み、暖炉に薪を投げ込んで魔法で点火する。


「ジュリエ、バックパックのサンドイッチ貰ってもいい?」


 体毛の多いジュリエは暖炉の前で身体を拭いている。


「……」


 嫌がるかと思ったけど、ジュリエは深く強く頷いた。


「パーシ、みっともないから下着姿でウロウロしない」


「替えなんてないんだから、しょうがないじゃないか。スノウが私の服を用意しないのが悪いんだ」


 バックパックの中は冷熱保温完備だけど、時間が止まっている訳じゃない。朝買ったサンドイッチは少し固くなっていたので、暖炉の火で温めて、それから食べた。


「スノウ、泊まって行ってもいい?」


「好きにしな」


 ベッドは二つある。湯たんぽ代わりのジュリエとぼくが一つ。もう一つをパーシ。狙った訳じゃないけど、二人部屋を取って正解だった。


 それからのぼくらは、それぞれの時間を自由に過ごした。


 ジュリエとパーシは机の引き出しにあったカードで遊んでいる。何か賭けているみたいで、お互い真剣な表情だった。


 その間、ぼくは机でジュリエの装備を確認していた。


 やはり、ブーツの損傷が激しい。外套(マント)も端の部分に解れが出来ている。この分だと、ブーツはダンジョンの鋭い岩肌では、あと一度の探索に耐え得るかどうかという所か。


 ぼくはスキルを使って修復するかどうか少し悩み……結局は止めておいた。生産スキルを使っている所をパーシに見られたくないし、もう一足購入して、それに術を行使する方が負担も少ない。


「よし、やった!」


 背後では、パーシとジュリエがカードゲームで盛り上がっている。


「ダメだダメだ! 勝負は一回限りだ!」


 ダンジョンでの探索と同時に、お金も稼いだ方がいい。新たな金策を模索するぼくは思考に耽る。


 バックパックの中にはある程度の素材を残してあるから、それを使って色々とやってみたい。アクセサリの作成や簡易防具の作成なんかがそうだ。ポーションや傷薬の作成には専用の道具がいる。靴や防具の修繕はスキルでも可能だけど負担が大きい。これも専用の道具を購入するべきだ。

 必要と思われる物をメモに書き留めて行く。

 ちなみに紙とペンは元いた世界からの持ち込みだ。これらの代替品(スペア)も用意しなければならない。探索だけでなく、ぼくがやらなければならない事は山積みだった。


 やがて肌寒くなり、ぼくは取り止めない思索を打ち切った。


◇◇


 パチパチと音を立て、暖炉で薪が燃えている。完全に消えてしまうまで、あと一時間という所だろうか。


「……ジュリエ、寝るよ」


 ぼくは小さく欠伸した。

 強引なレベルアップを繰り返したお陰だろうか、酷く疲れていた。


「スノウ。さっき、コボルトと相談して決めたんだ。今日は私が抱き枕をやるよ」


「……どっちでもいい」


 この世界の夜は氷点下まで冷え込む。エアコンがない室内は霜が降りる事も珍しくない。


 ぼくは尻尾をゆらゆらと振るパーシに肩を抱かれてベッドに入り、ジュリエもモソモソと隣のベッドに入った。


「そいっ♪」


 とパーシが指を鳴らすと壁に掛けてあったランプの灯りが消えた。入門魔術(コモンマジック)。途端に室内は闇に包まれる。


 ……今、魔力の流れを感じなかったような。魔術じゃない?


 微かな汗の匂いに混じり、パーシの甘い匂いがする。女の匂い。


「さあ、おいで、スノウ」


「……」


 本来、お人好しなんだろう。勘(スキル)で感じた通り、パーシはチョロい。


「リトル・スノウは不思議でいっぱいだ」


 亜人であり、ワードッグの血を引く彼女はぼくより頭二つ分は背が高い。大きな胸に押し付けるようにしてぼくを抱き締め、その耳元でパーシが囁く。


「……もう眠たい?」


 ワードッグと人間の相性は『抜群によい』。そう言ったのはパーシだ。でも、少し引っ掛かりがある。なんというか、彼女は……


「うん……レベルアップのせいかな……?」


「それはあるだろうね。今日は何処まで上がった?」


 甘い匂いに包まれ、気持ちよくなってぼくは目を閉じる。


「…………じゅう、に……」


「え?」


 眠りに落ちる瞬間、パーシの柔らかい身体が、少し強張ったような気がした。

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