なんでそうなるのよ!
今日も今日とて騎士科をウロウロ、あーあーダニエルいないわね、大した腕でもないのにイキりちらして、気を使われて勝ち越して強すぎるのは孤独、周りが弱くて王国の未来が不安とか文句言いながら歩いてるから目立つのに全く見ないわね。軍務科でアドマインのほう狙うべきかしら?
うーん……実は作中だと後見人が王太子だったみたいな隠し設定があったりしない?いない現状では煽りすぎてボコボコにされて出こないとか?でも王太子が後見人をしてたのは私だったし知らないってことはないはずだけど……でも騎士団長子息だし……第2王子と仲がいいんじゃなかったかしら?王子に呼ばれて校内茶会に顔を出しても大抵誰もいないけど。おかしいわね?原作だとイケメン勢揃いで目の保養なんだけど2人きりだわ。
「ララ、明日面白いものを見せてあげよう、俺様が手に入れた素敵な情報だ」
「本当!?でも明日はマッセマー商会との打ち合わせがあって……ごめんね♪」
「何!?いや、ララにはララの生活があるからな……マッセマーとの縁ができることは望ましいことだ。利を与えれば王家になびくであろう」
一応取り巻きだけど中立的だしね、エンディング後も御用商人みたいな枠にいそうだし、ファンディスクでもう少し深堀りしたのかしら?それとも男性版のギャルゲーで深堀りしたのかしら?まぁ気にしなくていいわね。私は命かかってるんだし。
「ほな、これで金貨150枚買い取らせてもらうで」
「どうぞ、売れてよかったです……」
「この品質ならこれくらいはお安い御用や、輸送費考えると買い取り下げないとあかんのは許してほしいけどな」
「いえ、前よりはそれでも上がったので嬉しいです!」
「まぁ前は完全な一本化ではないから手数料がやたらかかったんやろな」
うっすらと目を細めて言うシャーリー、微妙に胡散臭いわね。原作だとカラッとした感じだったんだけど。
「前のベルクさん残念やったな」
「えぇと……ベルクさん?商会の方でしたよね」
「せやで、ベルク商会や」
「どのベルクさんでしょうか?いつも対応していただいた商会長ですか?」
「……何や知らんかったんか?あのひとはベルク・ベルクっていうんや、貴族やで」
「えっ!貴族だったんですか!?名前もベルクなんですか?」
「せや、ホンマに知らんかったんか?」
「北の商会で働いていると、以降はベルク商会とだけ名乗っていたので。商会自体とは色々取引をして去年の終わりに一本化したらすぐにマッセマー商会に変わったので」
「去年の終わり?」
「ええ、12月くらいにベルク商会に一本化してほしいと取引のあった商会から」
「ほー……取引のあった他の商会の名前覚えとるか?」
あら?なにか地雷踏んだ……?
「ああ、タダとは言わんで。もちろん、商人やからな。タダで情報を強請るような真似はせんで?そもそも大半は前の北方組合に参加してたから潰れとるやろうしな。そこから漏れて逃げたやつがいるかもしれんから知りたいわけや。ウチの商会に色々されたんで逃さんだけや」
「あー……なるほど……」
今後の取引もあるし言っておいたほうがいいわね、手紙があったはずだわ。ちょっとだけ待って貰った後で持ってきた手紙を広げて見せていく。最後の最後に恩に着ていてくれればハーレムエンド失敗後助けてくれるかもしれないしね。
「ほー……これはこれは……感謝するでー。なにか欲しいもんある?」
「今は特にないですわね」
「欲がないな、じゃ貸しにしといてや」
この辺はゲームと変わらないわね、貸しにしておくとピンチに助けてくれる設定があるのよね。まぁ大体縁を作るバイトにありつけないほうが多いんだけど。あとは一定以上の買い物だったかしら?こっちはたいてい無理ね、図書館行くだけで落ちる男ことジョンルートにいったら後は稼いで買い物ばっかするみたいなことしないと起きないイベント。起こしておけばエンド後に助けてくれるんじゃない?ヤンデレ化したジョンから。
まぁ今の私なら金額的にはそれくらいいったかなと思ったけど最後の一押しはさっきの商会リストだったみたい。ま、これで気楽に行けるわね。明日は騎士科を見て図書室を追加よ。まぁ父親が失脚しそうだけど
数日経ったけどジョンもいないわね……思った以上にまずいのかしら?困ったわね……原作と違って友達がいなさすぎるわ……そこだけ原作以下ね。マルバッハ男爵令嬢とクラス違うから接点もないし……ゲームだと向こうから話しかけてきてくれたけどこっちだと……用がなければ私から話しかけてはいけないとか入学の時言われたわね……なんかこう身分の壁は学院ではないみたいなのないの?
いや王子との関係考えたらないと言われるわね。
仕方ないわね、アドマインに粉をかけに行くしかないかしら?にしてもここ数日空気が重いわね……私がいない日になにかあったのかしら?友達がいないから誰も何も教えてくれないのよね。平民差別?でも王子とよくいる平民って正直接しづらいわね……私でも興味本位以外では話しかけない気がする。
仕方無しに帰ろうと思って掲示板の騒ぎと人だかりを見て何があったのかと思った私はそっと近寄る。
「あの……何があったんでしょうか」
「え?知らないの……?財務大臣の保管する資料を持ち出して校内で見せびらかせていたのに?」
「すみません……その日は休んでて……」
「え、休んでててもあれだけの騒ぎ……いえ、興味なければ知らないわね」
なんかすごい気を使われたわね、まぁ友達いないって話だしね。
「財務大臣のバカ息子が財務大臣の資料を持ち出して校内で見せびらかせてエリーゼ・ライヒベルク公爵令嬢を批判していたのよ、第2王子と一緒に」
「え”っ”!」
「まぁそういう反応になるわよね……しかも別にそこまでするほどのものでもなかったし……他家の内情を第2王子と一緒に大勢の前で暴露した挙げ句そうでもない情報だったとかねぇ……しかもエリーゼ嬢の方を批判してるあたりよくわからないし……王太子になれないわけがわかったわね」
「そんなことになっていたなんて……それの処分ですか……?」
「ええ、退学、これは廃嫡もあるわね……婚約も破棄でしょうし婚約相手は公爵令嬢のご友人……本当に何を考えていたのかしら?」
「知らなかったです……」
「まぁこの話で盛り上がるような人は友人にしないほうがいいでしょうし……周りにこの話を嬉々として話していないのは良いことだと思います」
では失礼と去っていくご令嬢を見て、やはり貴族ともなると友人がいない相手にこんな気を使えるんだなと思いつつ攻略対象が消えた理由と現実を考えた。
もしかして攻略対象って思った以上にバカ?それともこれ乙女ゲーじゃなくて男性版ギャルゲーの世界の方だった?
ララの呆然とする姿を見た取り巻きたちは本当に知らなそうだなと思って撤収をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます