あれ?

 王太子の儀が行われる、これは原作開始開始前の需要な準備段階だ。

 ここで襲撃する盗賊がいますと報告に行ってその褒美に王都学院に入学するのだ。一世一代の大勝負!ここで盗賊がいなかったりしたらおわりね……。


「王太子の儀で豪華な式を見てみたいなぁ……」

「今まで真面目に働いてたからね……いや本当に……こんなに稼ぐとは……馬車を用立ててあげるから行ってきたら?」

「母さん、我が家にそんな余裕あったの……?」

「あなたが家を建て直すほど稼ぐから……」


 なんか原作と違うわね……?ここでゲーリング?だかの領地に行って盗賊がいる話を聞くんだけど……。


「おお!これはララさん!ロンドニへ王太子の儀を見に行く?ゲーリング子爵領は通らないほうがいいですよ!野盗共がいるから迂回してきたんです!」

「え、そうんですか!ありがとうございます!」

「いえいえ、あなたほどの方に何かがあったら北方商人は全員首をくくりますよ、大きな商会が入らないよう牽制しあってるんですから」


 え、そこまで売れてたっけ?ゲーム攻略当時の金額ではゲーム作中1年分はなんとかなったと思うけど……。


「我々が護衛しますので迂回してマルバッハ領に向かいましょう!後は道なりです」


 こうして私と数人の商人はマルバッハ領へ移動し始めた。こんな展開なかったわね……案の定というか第1王子のいる村についてしまった。原作の村だったかな……ここ……。とりあえずは行くしかないわね。


「フリードリヒ第1王子殿下に伝えてください!ゲーリング子爵領に盗賊がいます!」


 あれよあれよと言う間に第1王子殿下の前に呼ばれてくわしく話を聞かれることとなった。


「ゲーリング子爵領に盗賊がいることは確かか?」

「はい、一緒に来た商人たちが証言しています」

「なぜ商人たちが証言しないのか?」

「私が代表してきただけなので必要なら商人たちをお呼びに……」

「わらわは真実だと思う、その方はララであろう?北方にセーターを売って財を成したという」

「たしかに私はララですが……財を成したかと聞かれると……」


 すると第1王子婚約者らしき人、アーデルハイド王太子妃?なんかこの時は素朴な服なのね。まだ王太子妃でもないか。


「直ちに近隣の王国兵を呼び寄せよ!」




 そこからマルバッハ領へ移動したが迎撃場所が悪く敗残した賊がマルバッハ領に逃げ込んでしまったらしい。そんな設定だったっけ?


「安全だと思うが一応移動した方が良いと近衛騎士が言うのでな……」

「わらわも自分の身くらいは守れるわ」

「先に褒美を与えておかねばならんからな、商人たちはアーデルハイドが褒美を与えた。あれば言ってみよ」

「わ、私は……王都の学院に行ってみたいです!」


 少しキョトンとした2人は顔を見合わせて笑いながら言った。


「いいだろう、その程度だとは流石に思わなかった!私の名前で推薦状を出しておこう!」

「じゃあ、わらわの名前はいりませんわね」


 よかったー!!最難関を突破できて本当によかったー!!これで後は学園に行くだけね!あと引っ越した後で商人のみなさんに連絡をしないといけないわね。


「到着が早くなると流石に迷惑だろうな、準備もしているだろうが1日早くなれば料理もあるまい」

「何処か適当な場所で一日潰せばいいではありませんか」


 そういえば……原作で名所があったはず……夫婦岩だったかな?ファンディスクでその話をするとかでてた気がするわ……。


「そう言えばマルバッハ領に夫婦岩という名所があるらしいです、場所はわかりませんけど」

「ほう、夫婦になる前に見ておくのもいいかもしれないな」

「実質は王太子妃になりますけど一応夫婦になるのは6年後くらいですよ……」

「そう言うな、正式にならなくても同じことではないか」

「まぁ、そうですけども……」


 2人でのろけてるのをじっと見ていると気がついたアーデルハイド……妃殿下?現状なんて呼ぶんでしょう。とにかく顔を赤くして。


「この事は他人に言わないでよね!」

「はいっ!」

「後入学したら……まぁいいわ、向こうが勝手に興味を持つでしょうし……」


 もういいわ、王都に話を通しておくから。また会いましょうねララ。


 それが私が聞いたアーデルハイド第1王子婚約者の最後の声となった

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