ララ

平民ララの展望

 異世界転生、それはある種の夢のようなものだと思う。もっと良い世界で楽して生きたい、誰もが持ってるささやかな願望。


 でも、実際はそんな甘くはない。昔読んでいたラノベでもアニメでもチートがないのは当たり前な世界はたくさんある。大抵そこから主人公は知識や技術や……まぁいろんなことを動員してスローライフなり成り上がりなどをするのだ。


 例えば魔術、想像力で補える世界だったり幼いときから意図的に使うことにより強化出来たり、ほそぼそレベルを上げたり。

 例えば剣術、こちらも魔術と同じように使うにしろスキルを得るにしろ人それぞれ。

 例えば知識チート、元の世界にあったものを開発したり、元の世界で培った技術や知識で活躍したりだ。


 私はいわゆるゲームの世界に転生したタイプだ、無理くり言うなら知識チート系だろうか?プレイ済みのゲームをなぞっているのだから。


 正直よりによってこのゲームだったかと思ったくらいだ。『ドキドキ♡恋する王国学院~私の愛が国を動かす~』まぁ面白いといえば面白いゲームなのだが……。

 NTR描写の規制が厳しくなってきた時期だったので、他人の婚約者と仲良くしてたらエンドになったくらいのノリで攻略対象とのイチャイチャ全振りのゲームである。


 でもちょっとね……どのルートも未来がね‥…まぁまぁ受けが良かったみたいで男性版で婚約者の令嬢を奪うゲームが出たりしてたみたいだけど……私はやる前に死んだけど……ファンディスクが出る予定で2も発表されていたから全体的に人気だったんでしょうね。


 よくあるゲームと言えばよくあるゲーム、王太子夫妻、当時は夫妻になる前だったかな?暴徒だか盗賊だかに襲われそうになるからララが注進しに行くの。

 そこでできる範囲で願いを叶えてあげるって2人から言われて学園に行きたいって言うララに王太子が自分の名前で願書を出す。そして入学、始まるストーリー。


 近衛騎士団長子息ダニエル・マルスン、正直鼻につくのよね、王の近くに控える近衛騎士のほうが偉いって発言癪に障るわね、大手会社で働いてるからおまえたちより偉いって同窓会で騒いでるやつみたい。ギャル系の婚約者からも距離を置かれてるわ、というか大抵の人物から距離を置かれてるわね、親しいのは第2王子くらい?騎士団の横領を告発して婚約破棄、その後近衛騎士に入団で終わり。でもこのタイプと付き合うと誰が稼いでると思ってるとか絶対言うわよ。


 軍務大臣子息アドマイン・ポート、軍系なのに剣はからきし、かといって戦術家になれるほどの知性もでもない。婚約者が訓練役を買って出るもボコボコにされ逃げ回ってる始末。これはないわー……。最終的には婚約破棄を急に言いだして婚約相手のアンを激怒させ決闘騒ぎ。皇太子妃と第2王子婚約者の公爵令嬢が仲裁に出るけど……次期王国軍総司令官代理と次期軍務大臣が戦うと遺恨も残るしどちらかが死ぬようなことがあったら困ると言ってるけど……これアドマインが死ぬだけね。一応軍務省に入省を目指すとか言ってるけど入れるのかしら……。


 財務大臣子息ジョン・グリンド、本オタ。図書館に通っていれば勝手に落ちる。通常ルートはバッドエンドがほぼないから回避用ね。そのせいかハーレムルートではちゃんと活躍をしているわね。まぁ父親の執務室から書類を盗んでくる程度だけど。本の趣味が合わないとかそんな理由で疎遠な相手正直ヤなんだけど……。婚約破棄も気がついたらされてるみたいな感じヤンデレみたいで何かいやね。グリンド侯爵領で文官として働くエンドね、経験を積んで財務省に入るみたいな感じ。逆にバッドエンドなんじゃない?


 司法大臣子息ノーマン・モンタギュー、コイツは最低ね、クズよクズ!婚約者が喋らないとかで文句を言ってるけど司法大臣と婚約者のジョージアナがお茶をしてるところに鉢合わせるシーンが何度もあるし、その時は2人の会話が成立してるわ。そこで主人公は聞こえないとはいえ小声で話してることに気がつくしそのこともノーマンに伝えるんだけど……今は君が~とかで有耶無耶にされるわ。ルート確定前に小声を聞き取れるコツを教えていたけど覚えようとしなかった話が司法大臣と王太子妃からでてくるわ。

 その2人から言われて何もしなかったのやばいわね……。どのルートも確定後は王太子妃に定期的に顔を出すように言われてるから何度も会うんだけど、このルートでは一切呼ばれないわ。それはそうよね……。

 最後は公爵令嬢から婚約に関して不履行があるので責任を取ることを通達して終わりよ。政治バランスよりも愛を取るとか言って終わり。多分追放くらいされてそう。

 他にいい女と会ったら普通に捨ててきそうねコイツ。


 最後は第2王子ヴィルヘルム・サミュエル、自分の婚姻は派閥の融和とみなしてる温和な王子。昔は荒れてたらしいけど王太子夫妻から愛情を注がれ今の性格になった。公爵令嬢エリーゼ・ライヒベルクは第1王子婚約者の座を狙っていたけどアーデルハイド・ブランケット侯爵令嬢にその座を取られ渋々第2王子との婚約を受け入れた経緯がある。公爵家の勢力を抑えるための婚約であるが自由もなく鬱屈としていた、そこで護衛を付けて市井で遊ぶようになりそこでララに出会う。これが本編の3ヶ月から半年前、そして入学後にララに気をかける。ルートに入れば側室か妾にしたいと訴えでて王太子妃が喜んで承諾、公爵令嬢があっさり了承して終わりね。ハーレムルートじゃないとばかにあっさりしてるのよね、まぁハーレムだと第2王子正妃になるからなんだけど。


 この中だと第2王子?でも側室だとなぁ……エリーゼに殺されないかな?

 実質第2王子の嫁やってるハーレムを目指すしかないか……他の男は実際に相手として考えると正直ないし、うまく第2王子がなんとかしてくれるでしょう。このまま田舎で編み物売って薬草拾って過ごすのはしんどいし……

 なんのための異世界転生よ!ゲーム世界の転生って異世界かしら?せっかく知識があるのよ!それくらいやってのけるわ!


 とりあえず将来のためお金を貯めるわ、好感度上げで高い糸で手袋編んで送る必要があるから

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