会議ですわー!
「と、いうことで戦略的に撤退してきましたの」
「逃げただけじゃないっすか?」
「臆病者(小声)」
「なら聞きますわ……小屋でジーナよりは大きな声でこれからの計画を話したり、いなくなったアーデルハイドや第1王子を計画に組み込んでたりして自ら王妃になるようなことを言う人間を見たらどうしますの?」
「それ、昔のエリーを見た時の感想を言えってことっすか?」
「違いますわよ!」
失礼ですわー!心外ですわー!あんなやべーのと一緒にしないでほしいですわー!
「とにかく、気になることが多いですわー、クラウ!もう少し調査してくださいまし!」
「わかったっす!気になるんで深堀りするっす!」
「俺もなんか聞いてくる(小声)」
「皆我が家に集合ですわー!」
「キャスはこれませんわー。クラウ、情報をお願いしますわー!」
「あの平民の背後には貴族の影が見えないっす、どころかないっす!」
「本当ですの?」
単独であんな計画を立てたんですの?なかなかやりますわね……妙にガバガバなのは平民としての知識の限界かしら?ということは学力で入ったわけですし……なるほど……これは……。
「第1王子の願書提出によって入学したっす!」
「マジですの?」
「マジっす!」
「経緯は私が話そう。ゲーリング子爵の盗賊問題のとき、その連中の場所を第1王子に注進したのがこの平民だ……ララという」
「当時の近衛騎士の残ってるのにも聞いたけどー確かだってさーこのララって娘だって」
「ワタクシの調べた限り……キャスもクラウも調べたはずですけど……事故でしたわよね?」
「俺が司法大臣に調査記録を見せてもらったけど不審なところはなかった(小声)」
「ウチもその手の噂は信じるような情報なかったで」
「私も……噂はいろいろ聞き取りしてますが……なにも……」
「共通認識でやはり事故である、と……そういうことですわね?」
つまり背後関係に何もなく、亡き第1王子の願書によってねじ込まれて、今絶好調の公爵閥、ワタクシ閥、考え方によっては宰相閥と全てに個人で喧嘩売ろうとしてるわけですわねー……。
「…………どういうことですの?」
「どれがっすか?なにか情報が足りなかったすか?」
「違いますわ……」
「つまり、エリーが実質もう一人いるかも……ってことやない?」
「えっ……この学院は終わり……ってことですか……?」
「そんなひどい状況で王国に殉じる気はないぞ!」
「ひどい扱いですわー!」
「王国から独立するような人間がまだいたんだね(小声)」
なんですのこの扱いはー!ひどすぎますわー!ワタクシが何をしたといいますのー!
「違いますわー!普通に考えて貴族が背後にいないんですのよー!願書は生前の第1王子の書いたもの、今は効力がないに等しい。そして小屋でそんな話をぶつぶつ言ってるんですのよー!?しかもワタクシたちの内情と行動の先読みが多少出来てますわー!これは明らかにおかしいですわー!」
「でも……現状とは違う……」
「ウチはその話の中にはおらんからノーコメントで」
「でも近衛騎士団子息って誰のことー?ゲドリドル近衛騎士団長は子供いないよ?」
「婚約者ロリギャルとか言ってたしマーグに決まってますわー!」
「えー?派閥、一族ごと失脚したじゃん?させたじゃん?そもそも学院にいないよ?」
「そうですの?」
「兵士として国境に投げたよ、アンに頼んどいたし間違いねーし」
「たしかそうしたと思う、処理はした。覚えてないが」
「あーしらの卒業までに功績上げねー限りは婚約破棄、これはあーしの家との契約。別にどこに配属されててもいーし……ま、いんじゃね」
「じゃあ捨て置きますわー、で近衛騎士周りの話って平民には伝わってないんですの?」
「可能性はあると思うよー?別に市井には公表しねーし」
じゃあ、まだララって平民はカール・マルスン近衛騎士団長がいると思ってるんですのねー?王太子と婚約者がいない事実は受け入れてる割になんか変ですわね?
「近衛騎士が騎士団の横領を告発するとか言ってましたけど?」
「逆ならともかくそれはねーし……そもそもその状況になるってことは騎士団は王国に見切りつけてるってことだと思うけど」
「それもそうですわね……冤罪をかけられたら流石に見放しますわね、ギャル騎士団は」
「んな、うちの地方で騎士団私物化してるみたいな……まぁ大半はそこ出身だけど」
うーん……?騎士団を離反させる予定だったんですの?今となっては不可能ですわね。
「アン?婚約者とは会ってましたっけ?」
「そんなに会ってないぞ!」
「じっくり会ったら?」
「手合わせだ」
「弱かったら?」
「軍務大臣子息がそれでは軟弱すぎる!鍛え直す」
「もういいですわーわかりましたわー」
これは完全に予言というより予測の範囲ですわね……。
「ベス?婚約者が好きな女ができて破棄すると言われたら?」
「別に……慰謝料さえ貰えればいいかな……趣味も合わないし」
「ジーナは?」
「司法大臣にチクっていっぱい慰謝料を貰う、大臣とは会話が弾むけどあっちとはなにもないし……(小声)」
「で、ワタクシが婚約してる第2王子全員と婚約したいと」
「それが一番頭おかしいっすね、エリー相手っすよ?」
「…………ですわよね?平民からは雑魚令嬢だと思われてたりしますの?」
「それはないっすね」
「ないわ……」
「ないぞ!」
「ないんじゃないかな(小声)」
「ないで」
アーデルハイドがいること前提みたいな計画だったしどういうことなのかしら?たしかにアーデルハイドが生きていたら上手くバランスを取って、宰相派と公爵派が拮抗してた可能性はありますわー。でも現状は違うし……そこまで違うのに何を目的として動いてるのかしら。
「この手の人間はどういうタイプですの?」
「…………気が触れてるって思ったっすね」
「対人担当としての活動が多いクラウですらそう思ったんですの?クッソやばいですわね……」
「えっ、それクラウが初めてあった時エリーに思ったことじゃ(小声)」
「しっ……」
「もしかしてララとか言う平民……心の病ですの?世界が自分を中心に回ると思い込んでるタイプですの?」
これはいけませんわー……優しく見守りますわー……病人には優しくですわー。
なんでワタクシを凝視してますの?
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