結果、静観ですわー

「事例的には……そうだな……妄想というべきか」

「むしろ世界を自分が回してると思ってる(小声)」

「心の病というか……病のほうがマシと言うか……」

「あーしは嫌いじゃないよ」

「まぁそこも良いとこといえば……良いとこっすね」

「ウチは楽しく利益も得てるし好きやで」

「事例があるんですの……?妄想で生きてる……?そんな傲慢なタイプですの……?病のほうがマシ……?利益を得ましたの?意外とその平民や似たようなかたと交流してたんですのね」


なにいってんだこいつと淑女とは思えない目で見てきますわね。見たことありますわー、チベットスナギツネって感じですわー。もしかしてワタクシが無知なだけで意外といるのかしら?会う前に遠ざけられてるのかもしれませんわね。


「ちなみにエリーは……世界が自分を中心に回ってると思うタイプ……?」

「ワタクシが世界そのものですわ?それが?」

「ああ、そうか……まぁ……貴公ならそれでいいのではないか?」

「なんでそれで尻尾巻いて逃げてきたん?」

「鏡を見て驚いた犬みたいなもんでしょ(小声)」

「ウケる」


理解力がある友人がいて嬉しいですわー!それにしても恐ろしいですわ……平民ララ……ワタクシを手のひらで踊らせる気概をもってるとは……。


「まとめると……気が触れていて、妄想癖で心の病よりもひどい状況で世界が自分を中心に回っているどころか回しているほど傲慢で利益を与える程度の人物と」

「ようわかっとるやん」

「そのとおりだな」

「うん……」

「その通りっす!」

「わかってんじゃん」

「意外(小声)」

「恐ろしい人物ですわね、平民ララ」

「「「「「「………………」」」」」」


なんですのこの空気は……?ワタクシたちをここまで恐れさせるというのですの……?たしかに病人相手では強くでられませんわ……病人に優しくはワタクシ自身のモットーの一つですわー!妄想癖が危ないですわねぇ……。


「これはいけませんわね……静観一択ですわ」

「いいの……?キャスあたりがさわぎそうだけど……?」

「心の病ですわー!病人には優しくしなければいけませんの!上に立つものは人に優しくがモットーですの!手出し無用ですわ!夢の中で生きてるのなら優しい夢の中でそのまま生かしてあげるのも為政者の努めですわー!」

「流石っす!将来の女王っす!」

「女帝ですわー!できればもう数年ほしいですわね……やろうと思えば今からでも出来ますけども」


でもなるべく完勝したいですわねー……。ワタクシが建国できるかどうかは賭けもありましたけど……アーデルハイドが亡くなって以降は賭けどころかストレートに終わりつつありますわー……アーデルハイドが生きていたら事実上の王太子妃として色々楽しくやりあえたのに無念ですわー。


「第2王子があれだから王家派は事実上壊滅したからな、王国軍も不安を感じている、いや諦めている。閲兵式はひどいものだった……斬り殺してやろうかと思った」

「騎士団は完全にこっち側だよー、あーしらギャル系騎士団が近衛騎士派を掌握したからねー」

「騎士団派閥はどうなりましたの?ギャル地方出身派閥以外は?飛ばしましたの?」

「近衛騎士団の粛清の時にチャラオ地方派閥の騎士団に逃がしたよー。時期を見て摘発するつもりー、オタク地方派閥はギャル系に組み込んだよー。盤石盤石ー」

「クラウ?」

「問題ないっす、周辺国には働きかけてるっす。情報に関しても完璧っす」

「シャーリー」

「おう、まかしとき!仕入れは……」

「は、いいですわね。完璧でしょうし」

「おい!まぁ完璧やけどな」

「ベス?」

「噂は流し続けてる……本でも王族批判の本を裏から流してる……」

「ジーナ?」

「物流と物資は抑えた、法的に問題ない範囲で全て止めた。各派閥領内の秘匿物資は数年分まで増やした」


完璧ですわー!建国待ったなし!ルーデンドルフ侯爵が屈した今!警察も私の手の内ですわー!堂々と物資や武器を移動させて然るべき日のために整えますわー!ジャッジメントデイですわー!


「それはいいんだけど……キャスはどう説得するの?」

「先程言ったとおりですわー!病人には優しく!病人に優しくして自分を誇る第2王子も無視!所詮バカ王子は自分より立場の弱い人間に対して優しさという嘘で愉悦を誇ってるだけですわー」

「でも平民相手にそれは舐められると言われるぞ?手出し無用にしても」

「今日の会議内容をそのまま伝えればいいのですわー!流石に納得しますわー!誰か伝えてくださいましー!流石にワタクシが宰相邸にはいけませんわー」

「じゃあ後で行ってくるっす!」

「私も……行ってくる……」



「そういえばアン?あの時は聞きづらかったんですが王国のために働いていた忠誠心の塊のような兵達は大丈夫ですの?」

「あれが国王になるのなら破滅する、王国のためを思うなら滅ぼしてしまうのも王国への忠誠心だろう」

「……閲兵式どれだけひどかったんですの?」

「王族の身を守る近衛騎士団には皆劣るのは当たり前、その劣る騎士団より劣るのが王国軍なのだからせいぜい行進ぐらいは楽しめるようにせよ」

「本当にいいましたの?それとも盗聴したんですの?」

「到着してすぐに出迎えた兵と幹部陣の前で言ってた、母上がいたらその場で斬り殺してたんじゃないか?」

「教育係は何を……辞めたんでしたわね……1年以内で辞めてますし手に負えなかったんですわね…‥」

「どうも自分に劣る人間の話は聞きたくないらしいとのことだ」

「自分に劣る人間の話しか聞きたくないじゃなくって……?」

「宰相の話も聞かないらしい」

「終わりですわね……」


第1王子とアーデルハイドが第2王子は教育が必要といったのはそういう面もあったんですわね……。

たしかにこの感じで公爵家の婿になったらワタクシなら殺しますわね、利用もせずバカ王子の非道を訴え蜂起したでしょう。たしかにあの2人が生きていれば……もう少しまともな性格にできたかもしれませんわ……そうしたら……第2王子を利用した穏健的な建国プランを維持したでしょうね……ワタクシにとっていい方向にむかっていてもあなたがいて悪い方向に向かうほうが楽しかったと思うわ、アーデル

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る