ケジメですわー!わからせですわー!教育ですわー!
「キャス?どうしましたの?頭は大丈夫ですの!?」
「ひどい言い方(小声)」
「そういう意味ではないですわ!」
「とっさに手を引いたから頭は打ってないっす!」
「とりあえず……医務室ですわ!……どこですの!?」
「こっちっす!」
後のことはどうでもいいですわー!とりあえず運びますわー!体調不良なら休んだほうが良かったですわー!迎えを呼んだほうがいいですわー!出勤前の宰相を足止めですわー!
「急患ですわー!」
「どうかしましたか?」
「気絶ですわー頭は打ってませんわー」
「とりあえず寝かせてください、貧血かな?」
「よいしょ(小声)」
「キャスの邸宅に連絡を入れますわー!」
「いってくるっす!」
式をすっぽかしましたわー、どうせバカ王子が地位で得た新入生代表演説聞くだけだしいいですわー、みんながいないなら別にでなくてもいい気がしましたわー、キャスが起きたら帰りますわー
「……ここは?」
「医務室ですわー」
「…………ご迷惑をおかけしました」
「迷惑ではありませんわー調子が悪かったんですの?」
「いえ……違います」
おかしいですわねー……なにかショックなことでもあったんですのー?せいぜいバカ王子がバカな振る舞いをしていただけではありませんの。
「学院前であのような行動をしてそのうえ注意しないということは?」
「それくらいするバカですわー」
「違います。エリー、もし第2王子にまだ利用価値がある前提で考えてください」
「うーん……どうでもいいですわね、女の方を序列をわからせればいいだけですわー」
「違う、宰相の視点で(小声)」
あーそういうことですのね、完全に理解しましたわ。宰相がどうなろうとかまいませんけどキャスにとっては父親ですものねー。
クソみたいな教育をして教育係を外された、もとい辞任した宰相。後任は宰相と同じ反公爵派閥だけど宰相派閥でもないルーデンドルフ侯爵。
そしてルーデンドルフ侯爵も教育に失敗、警察長官の激務もたたって宰相と対立したうえでどちらの職も辞任ですわー。
警察長官の座をルーデンドルフ閥からぶんどって立て直そうという時にあのような振る舞い、そしてルーデンドルフ侯爵の辞意は内々に伝えてありますわー。
そのあげく、婚約者を無視してよくわからない女と抱き合って、王城に住ませたいとか言ってるのは絶望的ですわー。うるさいやつとまで言ってくれたおかげで聞いた人間はルーデンドルフ侯爵が諫言してたことも丸わかりですわー。
この分ではまだ不祥事がありますわー、後で調べますわー。
「キャス、イデリー伯爵家の馬車が迎えに来るっす」
「そうですか……」
「宰相が事情を聞きたいから待ってると伝えてくれと言われたっす!」
「私は早退します、エリー、クラウ、ジーナ……また明日」
「さようならですわー」
「またね(小声)」
「またっす」
さーて、どうするべきか困りましたわー。キャスの判断を聞いたうえで考えようと思ってたんですの……どっちでもいいですわー。
うーん……正直放って置いても婚約破棄でしょうし泳がせてもいいですわー
「エリー、あれここ半年くらい王子が懇意にしてる平民っす」
「えー……マジですの……?何処で会うんですの?」
「マジっす!王城から抜け出して市井であったらしいっす。近衛の報告を見たっす、ガス抜きであえて見逃してるらしいっす」
「一応もう少し調べておいてほしいですわーあれの情報を知る必要がるなんてちょっと嫌ですわー。婚約者に愛はないけど破綻もないジーナならどうしますの?」
「…………一言くらいはいいに行く、貴族的なことは知らないかもしれないし。でも記録はつけて送っておく。少しでも有利になるように、相手は司法大臣子息だし(小声)」
「ジーナでもそれならワタクシがやるしかないですわね……人目につかないとこで教えておけばいいでしょう、あーめんどくせーですわー……」
「学院校舎裏の小屋にいるみたいっす!」
「小屋?」
「花壇の世話を買って出たらしいっす、なんか人が来ないみたいっす、校舎裏には庭園も外で行うクラブ活動施設もあるのになぜか来ないらしいっす」
花壇の世話ー?なーんか胡散臭いですわねー……人が多いところで人が来ないのもおあつらえ向きというか……これ平民を撒き餌にワタクシに罠をかけようとしてそうですわねー……。
そうですわよね、ただの平民がここまでやるわけがないですわ、たとえ王子が認めたとしてももう少し宰相閥がなにかするはずですわー。
「よし、罠にかかりにいきますわよー」
「罠なの?(小声)」
「確かに胡散臭すぎるっす……」
「ちょっとわからせて戻ってきますわー!ケジメですわー!わからせですわー!教育ですわー!」
「待ってるっす!」
「ウン(小声)」
「そろそろ医務室から出てってもらえるかな?」
ちょっと怒られましたわー正論だから聞くしかありませんわー……他にいた医務室使用したかった人がワタクシたちを見て帰ってたら悪いですわー。
それにしても、クラウはもう地図をもらって……これ手書きですわね……。
切り替えていきますわー!校舎裏ですわー!えーと……どう見てもあれですわね……なんで人が来ませんの?
敵情視察ですわー、視察どころか教育しに来ましたわー、ちわーす公爵家から来ましたわー!
「…………で……早めて……」
なんか言ってますわね……耳を澄ませますわー、ジーナよりは聞けるはずですわー!
窓の近くによって……気配を消しますわー……私は空気ですわー……
「イベントを早めたかいがあったわ……もう公衆の面前で抱きついても咎められない……祝福の言葉はかからなかったわ……まぁ一般生徒と仲を深める前だし……」
陰謀の香りですわー!やはりただの平民ではありませんわね!いいですわー!あれを宣戦布告とみなしてぶん殴るかまだ攻撃に転じるのか、一発は殴らせて差し上げますわー!ワタクシを認識せずなら宣戦布告とは認めませんわー。
「あと4人、ここまで接点を持てなかった他の婚約者たちを攻略するわ……そして……ハーレムエンドを目指す!王子が落とせればあとは難易度も低くて簡単よ……」
簡単に落とされる王子の出来の悪さに涙が流れますわー、リップサービスですわー、本当に泣いているのは国王と王妃と宰相くらいですわー後は諦めてますわー。
ん?ハーレムエンド?ワタクシに対抗するために王子のハーレム形成でもするのかしら?でも他の婚約者?何を目指してるのかしら
「5人を攻略し取り巻きを引き込んで……そして……私が5人の婚約者になる……!」
怖っ……!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます