わかりやすい小者ですわー

 失職秒読みで自裁秒読みのカール・マルスン近衛騎士団長をいじりに行こうとしたら断られましたわー!翌日も言ってやろうと思ったら自裁してたそうですわー。驚きですわー!


 父が内務大臣のワタクシ、ライヒベルク公爵令嬢。

 父が宰相のキャスリーン・イデリー伯爵令嬢。

 母が王国総司令官代理のアン・アレクサンダー伯爵令嬢。

 父が文部大臣のエリザベス・アルベマー伯爵令嬢。

 父が農林大臣のジョージアナ・スペンサー男爵令嬢。

 父が騎士団長で婚約者のマーガレット・バルカレス男爵令嬢。

 王国で一番のマッセマー商会の娘で、自分でも支店を持ってるシャーリー・マッセマー。


 たかだか、この7人が同時に面会を申し込んだ翌日に死なれて迷惑ですわー。よくいるメンツですわー、大したメンツではありませんわー!マルスン家ともあろうものが7人の客も捌けないのでは先は長くありませんわー!もう没落確定でしたわー……


 シャーリーは棺桶を売りつけたそうですわー、見た目だけ派手にして値段を釣り上げたそうですわー、蓋が絶対あかない仕組みらしいですわー!闇が深いですわー!亡霊になるのを防ぐためですわー!開けたら困るからではありませんわー。


 ちなみに葬式は身内でやったらしいですわー。婚約者の家も呼ばなかったらしいですわー。そもそも参列者も殆どおらず最初っから棺桶が蓋されてたと噂ですわー!不思議ですわー!マーグは同じ日にゲドリドル近衛騎士団長就任の前祝をしましたわー!渋くていい人でしたわー!本来は葬式に出てそうなマルスン家親族の人間が出席してましたわー!頭の良い方は好きですわー!


 前近衛騎士団長は自裁の際に暴れたらしくて家具を買い直してるらしいですわー!マッセマー商会や表向きマッセマーと無関係の商会にカーテンや机、絵画などを買ってるらしいですわー!血のついたカーペットをいっぱい捨ててたらしいですわー!怖いですわー!


 その後で家人が殉死したらしいですわー!キャスとマーグが調べたところ全員自裁当時にマルスン邸にいたらしいですわー!責任感が強いですわー!アンが冷めた感じでどうせ葬式は挙げないだろうとか言ってましたわー!シャーリーが蓋が開かない棺桶を売ったそうですわー。今月のおすすめですわー!別の家でも売れてるらしいですわー!職務上の死亡と行方不明なのに売れてますわー。


 ゲドリドル新近衛騎士団就任と同時に第2王子が正式に継承権1位になりましたわー!

 でも第1王子とアーデルハイドの葬式はまだですわー……早く親友を見送りたいですわー……


 あ!あとはついでですが第2王子婚約者になりましたわ!これから会いに行きますわ!大臣・次官級の評判が最悪で……下っ端には優しいとわかりやすく評判な小物ですわー……あーだるいですわー……地位はあるけどそれ以外なにもない輩と話すのはしんどいですわー……。


「ライヒベルク公爵令嬢、エリーゼですわ」

「…………内務大臣の娘か」


 名前名乗ったのに聞こえなかったみたいですわー、耳に問題があることは仕方ないですわー。ライヒベルク公爵が誰かもわからない記憶力だったら問題でしたわー。


「はい、そうですわ(ー)」

「今回の婚約は、スペアの第2王子としての予定だった。公爵家の権勢が兄上だと問題でな。致したかがないが俺様が選ばれるところだった。」


 名前を名乗りませんわねー……知ってて当然みたいな感じですわねー……この辺が第1王子と比べて外れ感がありますわねー。

 しかも知ってるような話をダラダラと……聞かせるために大勢の前で話す事は必要ですが王宮侍女しかいませんし……ワタクシがその程度のことも理解してないと思われてるみたいですわねー。

 あと俺様はクソダサいですわー、第1王子が生きてるころからこの口調だったら察するほど放置されてますわー


「これ以上公爵家の権勢を増すことは避けたいが他に相手もいなくてな……お前で我慢してやるが……王家は公爵家に利するようなことは一切しない!婚約者に据えてはやるが……図に乗るなよ?側室の子供を国王にする、これは絶対だ。」


 クッソバカなこと言ってますわねー……。宰相とお父様の対立の緩和のために王家から公爵家に婿を入れて、と言う話でしたのに……。権勢が増さないように第2王子との婚姻になったことがわからないのかしら?自己評価が高いですわねー……。増すどころか落ちることを見据えてですわー……。丁寧に接するのも無駄ですわー。


 それに、いきなり側室取る宣言にそれを継承者にするなんて王家も終わりですわね。はいサミュエル王国終了、ライヒベルク王国初代王女エリーゼにご期待くださいまし!謀反の時間ですわー!国王との謁見でぶちまけて貴族の不信感を煽りますわー!不和の種をバラバラ蒔きますわー!種を撒くのは農家と男だけの特権じゃありませんのよ!


「私も第2王子で我慢しますわー、公爵家も王家に利することは行いませんわー、私の子が国王になれないのなら、私が不要であれば婚約破棄しますわー」

「我慢!?………チッ!まぁ、わかればいい、だが公爵家は俺様を支援しろ、それが婚約時の契約だろう、王家でなく俺様だぞ」

「それは公爵家に婿に入る時の条件ですわー、国王になるのになんの援助が必要なんですの?」

「……チッ!まぁいい然るべき相手ができたらお前から婚約破棄しろ!その時にかかる金を出せ!」


 こちらから有責を突いて婚約破棄するという意味なのに勝手に身を引くと思ってますわー。

 教育完全に失敗してる気がしますわー。でも、第1王子は普通でしたわね?まぁ王太子が決まって公爵家弱体のためにちょっとアホな感じにしたんでしょうけど。

 第1王子も直接弟を指導するとか言ってた気がしますわー、じゃあもうダメそうですわー。ライヒベルク王国爆誕ですわー、この仕打ちなら蜂起理由もワンチャンありますわー!なぁなぁで独立すれば後はどうとでもなりますわー!お父様は新国家の礎になってくれますわー!さようならお父様……許しませんわサミュエル王国!独立しただけでお父様を殺すなんて!


「相手が決まったらお伝え下さいましー慰謝料は払ってもらいますわー今でもいいですわー、あとこちらがお金を出すことはありませんわー」

「は?なぜ俺様が払う必要がある?お前が俺様のために身を引くんだろう?払わせて欲しいではないのか?」

「なんであなたのためにそこまでしなければならないんですの?」

「王子の婚約者だぞ?なっただけで光栄だろう、王太子婚約者など箔が付いたのだ、金を払うくらいでせせこましいことを……!よほど公爵家は貧乏と見える」


 アホすぎて話になりませんわー。これはもう意図的に作り上げられたアホですわー。

 公爵家婿入りで王家から籍が抜けるから力を振るえないと後で気づかせる教育ですわー。鬱屈とさせて散財させたり変なやつとつるませて公爵家に責任を取らせて、元王子だけは助けるやつですわー。

 宰相が噛んでますわー、父上と仲が悪いから仕方ないですわー。キャスとは仲がいいから別にいいですわーキャスが宰相になれば問題解決ですわー!国王陛下との謁見が終わったらキャスを焚き付けにいますわ!


「こちらから破棄するのだから王家の有責に決まってるでしょう?」

「ならばこちらから婚約破棄をすればいいのだろう!」

「慰謝料さえ払っていただければ」

「この……!!然るべき時に払ってやるわ!」

「ではワタクシはこれで帰りますわー婚約者としての仕事は何もしなくて結構ですわー夜会の誘いも贈り物もいりませんわーワタクシも何もしませんわー」


 適当に妾を見繕って後宮に閉じ込めて置けばいいかと思ったけど思った以上にまずいやつですわー最後の一線でワタクシを封じていたのに思わずでてしまいましたわー国王陛下に謁見を願いますわー

 ほら、そこの侍女!早く報告しに行きなさい!そのための見張りでしょうに!そこの王子付、国王陛下との謁見を願い出ますわ!なぜ?会話聞いてましたの?それても脳みそがないんですの?第2王子でしたの?いいから早く行きなさい!おバカ!

 あーめんどくせぇですわー!!

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