わかりやすいほどのバカですわね
失職秒読みで自裁秒読みのカール・マルスン近衛騎士団長をいじりに行こうとしたら断られましたわ。
翌日も言ってやろうと思ったら自裁してたそうですわ、驚きですわね。
父が内務大臣のワタクシ、ライヒベルク公爵令嬢。
父が宰相のキャスリーン・イデリー伯爵令嬢。
母が王国総司令官代理のアン・アレクサンダー伯爵令嬢。
父が文部大臣のエリザベス・アルベマー伯爵令嬢。
父が農林大臣のジョージアナ・スペンサー男爵令嬢。
父が騎士団長で婚約者のマーガレット・バルカレス男爵令嬢。
王国で一番のマッセマー商会の娘で、自分でも支店を持ってるシャーリー・マッセマー。
たかだか、この7人が同時に面会を申し込んだ翌日に死なれてとっても迷惑ですわ。よくいるメンツですわ、お茶会をやっていればかならずいるような大したメンツではありませんわ。
マルスン家ともあろうものが7人の客も捌けないのでは先は長くありませんわね?
ああ、もう没落確定でしたわね……。
ワタクシ主演脚本の劇はこうして第一幕を終えたのでした。
あっさりしすぎてて一枚の紙で終わる話ですわね。駄作ですわこんなの。
そういえば、シャーリーは棺桶を売りつけたそうですわ。見た目だけ派手にして値段を釣り上げたそうで、なぜか知らないですけど蓋が絶対あかない仕組みらしいですわ。闇が深いですわね。
建前は亡霊になるのを防ぐためですわ、開けたら困るからではありませんわ。あー怖いですわね。
ちなみに葬式は身内だけでやったらしいですわ。婚約者の家も呼ばなかったらしいですわ。不思議ですわね。
そもそも参列者も殆どおらず最初っから棺桶が蓋されてたと噂、もとい話ですわ。何から何まで不思議ですわね。
呼ばれなかったマーグは同じ日にゲドリドル近衛騎士団長就任の前祝を決行しましたわ。とっても渋くていい人でしたわね!本来は葬式に出てそうなマルスン家親族の人間がいっぱい出席してましたわ。不思議ですわね、最近の王国ではきっと不思議がトレンドなのでしょう。
でも、その判断が出きる頭の良い方は好きですわ。
前近衛騎士団長は自裁の際にずいぶんと暴れたらしくて家具を買い直してるらしいですわ。マッセマー商会や表向きマッセマーと無関係の商会にカーテンや机、絵画などを買ってるらしい、ということです。血のついたカーペットをいっぱい捨ててたらしく自裁の恐ろしさを知れましたわね。何部屋で暴れたのか知りませんが1人2人では済まない量の血がいろんな部屋にあったと言ってましたわ。大人しく死ぬことも出来ないんですのねぇ……。
その後で家人が大量に殉死したらしいですわ。キャスとマーグが調べたところ全員自裁当時にマルスン邸にいたみたいですわね。
うーん、責任感が強いですわね!これだけの忠臣に囲まれて故マルスン騎士団長もあの世で安心できるでしょうね。
アンが冷めた感じでどうせ誰も葬式は挙げないだろうとか言ってましたわ。ずいぶんと薄情なこと。シャーリーが売り込む前に蓋が開かない棺桶を買ったとか。
今月のおすすめ商品として売り出せますわね。別の家でも売れてるらしいですから。職務上の死亡と行方不明なのによく売れているそうで……。。
まぁ、王家でしょうね……。
ゲドリドル新近衛騎士団就任と同時に第2王子が正式に継承権1位になりましたわ。
でも第1王子とアーデルハイドの葬式はまだですわー……早く親友を見送りたいですわー……。
あ!あとはついでですが第2王子婚約者になりましたわ!これから会いに行きますわ!
やっぱり大臣・次官級の評判が最悪で……。下っ端には優しいとわかりやすく評判な小物ですわね。……あーだるいですわ。
……地位はあるけどそれ以外なにもない輩と話すのはしんどいですわー……。ここまで来ると噂だから……とはちょっと言いづらいですわね。
無事だったら王太子夫妻がこのねじ曲がった釘みたいな精神の男を教育するはずだったんですけど……2人の言う事だけはなんか聞いてたみたいですしね……。
「ライヒベルク公爵令嬢、エリーゼですわ」
「…………内務大臣の娘か」
名前を名乗ったのに聞こえなかったみたいですね、耳に問題があることは仕方ないですわ、人それぞれ体にしろ心にしろ色々な悩みはあるものです。ライヒベルク公爵が誰かもわからない記憶力だったら問題でしたけど。
「はい、そうですわ(ー)」
「今回の婚約は、スペアの第2王子としての予定だった。公爵家の権勢が兄上だと問題でな。致したかがないが俺様が選ばれるところだった。」
名前を名乗りませんわねー……。知ってて当然みたいな感じですわねー……。会うの初めてなんですけど。確か、記憶から消してなければ。
この辺が第1王子と比べてハズレ感がありますわね。まぁまごうことなきハズレなんですけど、ハズレだと確信しましたけど。
しかも知ってるような話をダラダラと……。
こんな話を聞かせるために大勢の前で話す事は必要ですが第2王子付きらしい侍女しかいませんし……。ワタクシがその程度のことも理解してないと思われてるみたいですわね。まぁ接点はないしそんなものかもしれませんけど。
アーデルハイドはワタクシ達の話をしなかったのかしら?
あと俺様はクソダサいですわ、第1王子が生きてるころからこの口調だったら察するほど放置されてますね。まぁ、あえて放置したんでしょうけど。
「これ以上公爵家の権勢を増すことは避けたいが他に相手もいなくてな……。お前で我慢してやるが……王家は公爵家に利するようなことは一切しない!婚約者に据えてはやるが……図に乗るなよ?側室の子供を国王にする、これは絶対だ。」
うわぁ……クッソバカなこと言ってますわねー……。元々は王家、宰相とお父様の対立の緩和のために王家が公爵家から嫁を迎えて……と言う話でしたのに。
まぁ第1王子の婚約はワタクシじゃないのでその辺解決されてないんですけどね。だから今となっては再度融和か対立緩和で権勢が増さないように第2王子との婚姻になったことがわからないのかしら?自己評価が高いですわね……。プライドの塊みたいですわ、まかプライドと書いて半ばゴミの塊って感じですけど。
ワタクシとの間の子供ができてもこんなのじゃ権勢が増すどころか底まで落ちますわね。じゃあ丁寧に接するのも無駄ですわね。ハイ終わり!
それに、いきなり側室取る宣言にそれを継承者にするなんて王家も終わりですわね。はいサミュエル王国終了、ライヒベルク帝国初代皇帝エリーゼにご期待くださいまし!
謀反の時間ですわ!国王との謁見でぶちまけて貴族の不信感を煽りますわー!不和の種をバラバラ蒔きますわー!種を撒くのは農家と男だけの特権じゃありませんのよ?
迂遠な宮中工作は捨てて全力で手回しをしたほうが良いですわね。
「私も第2王子で我慢しますわー、公爵家も王家に利することは行いませんので、私の子が国王になれないのなら意味もない話ですし、継承問題もありますけどそういうことは白い結婚を強要して飼い殺しにして利益だけ吸い取るだけでしょう?私が不要であれば婚約破棄しますわ」
「我慢!?………チッ!まぁ、わかればいい。だが公爵家は俺様を支援しろ!それが婚約時の契約だろう、王家でなく俺様だぞ!」
「それは公爵家に婿に入る時の条件ですわ、それに当時は交渉中の案件、決定稿は別ですわよ?そもそも国王になるのになんの援助が必要なんですの?」
「……チッ!まぁいい然るべき相手ができたらお前から婚約破棄しろ!その時にかかる金を出せ!」
こちらから有責を突いて婚約破棄するという意味なのに勝手に身を引くと思ってるんですの?まさか……でもこの感じありえますわね。
教育完全に失敗してる気がしますわー。第1王子の継承を妨げないようにするにしてももう少し限度が……うまく育ててほしかったですわね。
まぁ王太子が決まって公爵家弱体のためにちょっとアホな感じで送り込みたいから維持したんでしょうけど。これはちょっとではないですわね?
第1王子もアーデルハイドと一緒にいるときに直接弟を指導するとかワタクシに言ってましたし、まぁ流石にこれを公爵家に入れたらどうなるかわかってたんでしょうね。まぁ……それはそうですわね……。きっちり動きますわね、こんなバカが来たら。
じゃあもうダメそうですわね。ライヒベルク帝国爆誕ですわ!いやエリーゼ帝国のほうが良いかしら?
この仕打ちなら蜂起理由もワンチャンありますし、貴族連中も静観くらいは勝ち取れるでしょう。
なぁなぁで独立すれば後はどうとでもなりますわ。お父様は新国家の礎になってくれますわ。さようならお父様……許しませんわサミュエル王国!独立しただけでお父様を殺すなんて!
最悪蛮族を動かしましょう。
「相手が決まったらお伝え下さいましー。慰謝料は払ってもらいますわー。今でもいいですわー、あとこちらがお金を出すことはありませんわー」
「は?なぜ俺様が払う必要がある?お前が俺様のために身を引くんだろう?払わせて欲しいではないのか?」
「なんであなたのためにそこまでしなければならないんです?」
「王太子の婚約者だぞ?なっただけで光栄だろう、王太子婚約者など箔が付いたのだ、金を払うくらいでせせこましいことを……!よほど公爵家は貧乏と見える」
あー……これはアホすぎて話になりませんわ……。どうしましょう……?これはもう意図的に作り上げられたアホですわね。
教育が足りてないとかではなくて純粋に悪意を持って作り上げられた大馬鹿者ですわ……。公爵家にここまでするのは宰相かあの愚王か、どっちかしらね?どっちも?
公爵家婿入りで王家から籍が抜けるから力を振るえないと後で気づかせる教育かもしれませんけど。
鬱屈とさせて散財させたり変なやつとつるませて公爵家に責任を取らせて、元王子だけは助けるやつですね。よくある小癪な陰謀ですわね、でももう少し賢いほうがうまくいったと思いますけど……。
まぁキャスが宰相になれば問題解決ですわー!国王陛下との謁見が終わったらキャスを焚き付けにいますわ!お父様と不仲な宰相が失脚してキャスを宰相にしてしまえば良いんですの!
「そちらが理由で破棄するのだから王家の有責に決まってるでしょう?王家が慰謝料を払うのはは当たり前ですわ」
「この……!!然るべき時に払ってやるわ!がめつい金の亡者め!」
「ではワタクシはこれで帰りますわー、婚約者としての仕事は何もしなくて結構ですわー、夜会の誘いも贈り物もいりませんわー、ワタクシも何もしませんわー」
適当に妾を見繕って後宮に閉じ込めて置けばいいかと思ったけど思った以上にまずいやつですわね。
最後の一線でワタクシを封じていたのに思わず出てしまいましたわね……。国王陛下に謁見を願いますわ……。
ほら、そこの侍女!早く報告しに行きなさい!そのための見張りでしょうに!そこの王子付……?にしてはなんだか変ですわね?
まぁいいですわ!国王陛下との謁見を願い出ますわ!なぜ?会話聞いてましたの?それとも脳みそがないんですの?第2王子でしたの?いいから早く行きなさい!おバカ!
あーめんどくせぇですわー!!王宮は馬鹿ばっか!
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