部活のマネージャーをしてくれてる幼馴染、サポートのレベルがもはや奥さんなんだが

第21話 もはや気づいてしまったんだが

「ここに来るのも久しぶりですね……」

「そうだな」

詩織が感慨深そうに辺りを見渡してそう言う。

詩織は俺がバッセンに来る時はいつも一緒に来て打ったりしていたのだ。

でも俺が中学のチームを引退して硬式ボールに慣れるためにバッセンに来なくなってからは一切来ていないらしい。

「じゃあどうやって遊ぶ？」

「まずは軽く打ちませんか？」

「まあ何事にもウォーミングアップは大事だしな」

「ふふ、徹くんらしいですね」

詩織はヘルメットを被りバッ手を着ける。

一言で表すならとても似合っている。

「なんかすごい似合ってるな。まるで何年も野球してきた選手みたいだ」

「ありがとうございます。憧れの選手を近くで見続けてきたからかもですね」

詩音さんのことかな？

昔からよく応援に来てくれてたもんな。

詩織が憧れてるとわかったら詩音さんは発狂するんじゃないだろうか。

重度のシスコンだしな。

「それじゃあ先に打たせていただきますね」

「おう。後ろで応援してるな」

そう言って詩織は100キロのゲージに入る。

野球未経験の女子にしてはかなり速いだろうけど昔もこのゲージで打ったことはあったし大丈夫だろう。

詩織がコインを入れ右バッターボックスに入って構える。

マシンがピッチャーの投球モーションを映しボールが発射される。

「んっ……！」

詩織のバットが空を切る。

しかしそのスイングは女子がよくやるような右足が前に出てきてしまうスイングではなくしっかりと足を踏み込んで体重移動を行う経験者のスイングだった。

過去何回かバッティングセンターに来ただけなのにこのスイングとか天才かよ。

「あれ？空振りしちゃいました」

「顔が少し動いてるぞ。もう少しボールを見たら打てると思う」

「わかりました。やってみます」

詩織は頷いて構え直す。

再びボールが発射され、詩織がスイングする。

快音が響きボールが飛んでいく。

「やった……！打てましたよ！」

「ナイスバッティング！」

詩織は満面の笑顔ではしゃぐ。

その姿はいつもの大人っぽさはなく年相応の可愛さがあった。

無邪気な一面も持ち合わせているのが詩織という俺の幼馴染だ。

「ほら、次の球が来るぞ」

「あっ！」

既に発射されてしまい見逃してしまう。

詩織は気を取り直し再び打ち始めた。

「すっごく楽しかったです！」

ゲージから出てきた詩織は満足そうに言う。

バッティングセンターってストレス発散になるよな。

打ち終わるとすごくすっきりするんだ。

「それじゃあ次は徹くんの番ですよ」

「わかった」

俺は130キロのゲージに入る。

コインを入れて構えた。

投球モーションをよく見て足を軽く引く。

そして強く足を踏み込み体の軸を動かさないように腰を回す！

「ふぅ……」

「流石です！」

ボールは上手いこと飛んでいってくれて奥のネットまで届いた。

軟式なんて久しぶりに打ったけど意外と打てるもんだな。

ボールの感触が硬式と比べてとても軽くて一瞬驚いてしまったけども。

その調子で俺はどんどん打っていった。

◇◆◇

「結構打ったな……」

「そうですね……」

俺達はひたすら打ち続けていた。

詩織も少し疲れてきているようだ。

「どうする？少し休憩するか？」

「うーんそうですね……では最後に一回徹くんに打って欲しいです」

「え？それは別にいいけど……」

俺は了承して再びゲージに入る。

コインを入れようとしたとき後ろから詩織に話しかけられる。

「ホームランを打ったらご褒美っていうのはどうですか？」

「ご褒美？何をくれるんだ？」

「それはまだ内緒です。チャンスは一打席ですよ」

ぶっちゃけて言ってしまうならこの挑戦は非常に難易度が高い。

野球のホームランと違って小さい的に当てないといけないためただ飛ばせばいいってものではない。

まあやるけども。

「わかった。挑戦するよ」

「はい。頑張ってください」

ここのバッセンは一回20球。

つまりチャンスは20回。

もう何回も打ってるわけだし調整はいらない。

最初からホームランを狙う。

どんどん狙って打っていくが近くには行っても当たる気配がない。

打球をコントロールするのはやはり至難の技だ。

しかし、その時はあっさりとやってきた。

15球目に打ったボールがライナー性の当たりで飛んでいき小さな的に突き刺さる。

ホームラン、という機械音が鳴り響く。

「ほ、本当に成功しちゃうんですね」

「い、いや。俺もこんなに上手くいくと思わなかった」

打った俺が一番驚いている。

まさか成功するなんて一ミリも思っていなかった。

もちろん成功させようとは思っていたけども。

残りの球は気楽に打ちゲージを出る。

「成功したよ」

「ふふ、流石です」

「それで？ご褒美はなんなんだ？」

「えーっと……その……少し目をつぶっていてもらえますか？」

「……？わかった」

なぜ目をつぶる必要があるんだろうと思いつつ言われた通り目をつぶる。

しばらくそのままでいると右頬に少し温かくて柔らかいものが触れた。

びっくりして目を開けると顔を真っ赤にした詩織が立っていた。

俺の頬に当たったものが詩織の唇だと気づくのにそう時間はかからなかった──

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昨日新作出しました！

タイトルは

初恋のギャルに無慈悲に捨てられた俺、傷心していると学年で一番の美少女に拾われてお持ち帰りされた

です！

https://kakuyomu.jp/works/16818093074567389589

砂乃の初めてのざまぁ系！

読んでくださると嬉しいです！

あとこの作品の更新ペースを変更します。

詳しくはこちらhttps://kakuyomu.jp/users/brioche/news/16818093075897236617