第4話 もはや覚悟はできていたんですが
こんにちは。私は佐伯詩織と申します。
16歳の高校一年生です。
学校の人達は『才色兼備』とか『完璧美人』だとか
実際は全くもって完璧なんかじゃありません。
それに……好きな人だっていますから。
もう何年も想い続けてる大切な人が……
そんな私ですがなんと数年ぶりにその人の家にお邪魔しています。
さらには渋々ながらですがお部屋まで入れてもらってベッドに座らせてもらいました。
はぁ……徹くんの匂いがします……
「なぁ、そろそろ帰らなくて大丈夫か?」
匂いを堪能していると徹くんに話しかけられました。
私が邪魔とかじゃなくて心から心配している様子です。
ふふ、本当に徹くんは優しいんですから。
「家も隣ですし大丈夫ですよ。おばさまからは泊まってくれと言われましたが流石にそれはお断りさせていただきましたけど」
「全く母さんは……ていうか詩織……俺は男だぞ?」
「はい。知ってますよ?」
急にどうしたんでしょう……
「男ってのは欲に忠実な生き物なんだ。あまり無防備な姿を見せないほうがいい」
そういうことでしたか。
私は絶対に徹くんの前でしかこういうことはしませんから。
……鈍感なので全然気づいてくれませんが。
「ふふ、大丈夫ですよ。私は徹くんのことを信頼していますから」
「はぁ……詩織、ちょっとだけ我慢してくれ」
「へ?ひゃあ……」
私は徹くんに軽く押されてベッドに寝転がる。
そして徹くんは私の上になりこちらを見下ろしていました。
へ……?これ私押し倒されてますか!?
ていうか顔が近い……!
そんなに近づかれるとドキドキしすぎて目が合わせられません……!
「こうやっていつ襲われるかわからないんだぞ?体格差だってあるから簡単に逃げられない」
「ひゃ、ひゃい…………」
ドキドキしすぎてつい噛んでしまいます。
すると焦ったように徹くんは私から離れました。
「す、すまん……」
「い、いえ……大丈夫です」
心のドキドキはまだ収まりません。
ですが……
私は徹くんにだったら襲われても別にいいのに……なんて。
そもそも徹くんは私を女の子として見てくれてるんですかね?
どちらかというと家族意識のほうが強い気もします。
「本当にごめん」
「そ、そのことはもう気にしてませんから。それよりも一つお尋ねしてもよろしいですか?」
「いくらでも聞いてくれ。俺に答えられることだったらなんでも答えるよ」
「ありがとうございます。それでは……徹くんにとって私は異性ですか?家族ですか?」
「え……?」
徹くんは私の質問に驚いていました。
ですがこれは私にとってとても重要で大切な質問なんです!
なんとしてでも聞き出さなければ……!
「徹くんは私に手を出したいと思わないんですか?」
「ストップ!どうしてそんな話になったんだ!?」
「だって……私が無防備でいても徹くんは押し倒しただけでそのあとは何もしなかったじゃないですか……」
私は容姿はいいほうだと思っています。
よく男の人からそういう視線を向けられることもありますから。
それでも徹くんは手を出してくれない。
何が……何がいけないんでしょうか……
「俺は詩織のことを家族のような存在だと思ってる。だけど詩織は間違いなく魅力的な女の子だと思っているよ」
「……本当ですか?」
「もちろん。美人だし、笑顔が可愛いし、努力家だし、優しい。他にもたくさん詩織のいいところを俺は知ってるよ。だから自信を持っ───」
…………顔が熱いです。
徹くんがそんなふうに思ってくれていたなんて……
恥ずかしいですけど嬉しくて顔がニヤけちゃいそうです。
そんな顔を見られたくなくて枕に顔を押し当てます。
「徹くんはずるいです……」
「え、えーっと……ごめん?」
徹くんは困ったような顔をします。
いつものかっこいい顔と違って少し可愛いです。
「許してあげます。徹くんにとって私は女の子であることが分かりましたから」
「あー……まぁそれはそうだな。魅力的であることは保証しよう」
〜〜っ!
私を口説こうとしてこの発言だったらよかったのに……
今のは絶対下心も何もない本心でした。
だからなおさら私へのダメージも大きいんですけどね。
と、徹くんは本当に天然で私キラーなんですから!
「そ、そんなふうに余裕でいられるのも今のうちです。望みがあると分かったので私は今までよりも頑張るって決めましたから」
「お、おう……何を頑張るのかわからんが頑張れよ。応援してる」
「はい。覚悟しておいてくださいね?」
絶対に……オトしてやるんですから。
高校では徹くんと恋人として色んな思い出を作りたいんです。
部活でも、プライベートでもずっと一緒に……
「まぁ覚悟?しとくよ」
「ふふ、そうしてください」
は、恥ずかしいですけど……徹くんにアピールしなくちゃです。
徹くんは隠れイケメンなので遅くなると他の女の子に取られちゃいます。
自分から積極的にいかないと……待ちの姿勢じゃだめなんです!
頬が熱くなるのが分かりながらも口を開きます。
「それじゃあ早速……い、一緒にお風呂に入りませんか?」
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