第8話説明配信②と乱入者!?

ブックマーク5000&☆1500&150000PV達成しました! 多くの方に読んでいただいて本当に感謝です。まだブクマや評価をしていない方はこの機会にしていただけると嬉しいです。



それでは本編どうぞ



――――――――――――――――――――――――――――――



「脱線しちゃったね。アオイ次の質問お願い」


「はい、では次の質問です。ネクサスは取材を受けないことで有名ですがマスコミが嫌いなんですか?」


【ストレートだな】

【答えづらいだろw】

【好きな人の方が少ないんだよなあ】


「どう答えても角が立ちそうな質問だね。うーん、好きか嫌いかで聞かれたらまあ嫌いなんだけど取材を受けない理由はめんどくさいっていうのが一番かなあ」


【嫌いって言っちゃうんだw】

【やっぱり】

【めんどいw】


「ネクサスに取材依頼来るときやっぱりSランク3人に話を聞きたいっていうのが多いんだけど、Sランクの時間をそう簡単にあげられるわけがないっていうのがこちら側の主張なんだよね。傲慢といわれるかもしれないがマスコミ如きに使う時間なんてない」


【マスコミ如きw】

【よく言った!】

【過激だな】

【マスコミ関係者今顔真っ赤だろw】


「さっきも言ったけどSランクというのは単騎で国家と戦える異次元の存在。このおかげで他国も日本に気安く干渉できないし存在するだけで国を防衛しているといっても過言ではない。マスコミ各社は相手がそういう存在ということを認識したうえで取材依頼を行っていただきたい。まあ受けるとは限らないが」


【いるだけで防衛は過言だろ...いやそうでもないのか?】

【そんなわけないって自信もって言えない時点で半端ない】

【こういってもマスコミのしつこい取材はなくならんのやろなあ】


「次の質問に移ります。彼女はいますか?」


「誰が興味あるんだよ! いないです。はい次!」


【いないんだ】

【私にもワンチャン?】

【ねえよ】

【モテそうなのに意外】


「なんで下層攻略の配信をしたんですか? あとどうしてレイさんは登場していないんですか?」


【お、これは気になる】

【質問の落差よw】

【一言もしゃべってないしその後一回も配信なかったから結構謎だよな】

【伝説になってるあの配信か】


「あー、あれは国からの依頼だね」


【国から?】

【なんで国が?】


「下層の情報が不足していることが原因で亡くなる探索者の数が無視できないぐらいいて下層でモンスターと戦っている映像が欲しいって言われたからやったやつだね。俺が出てないのはシンプルにその時忙しかったからです」


【忙しかったんや】

【まあクランマスターもしてるからな】

【この時忙しくなかったらネクサスが5人チームと勘違いされることもなかったろうに】


「本当はあの5人の戦闘シーンはあんまり参考にならないことが多いから、もっと普通のそれこそ俺みたいなやつがやった方がいいんだけど。俺は忙しかったし、他のクランはそういうの嫌がるところが多いんだよね」


【確かに参考にはならなかった】

【ま、まあどんなモンスターがいるか分かるだけで意味はあるから(震え声)】

【いや、あなたも普通ではないと思うんですが...】

【それでも他のネクサスよりはマシでしょ】

【なんで嫌がるクランが多いんですか?】


「お、なんで嫌がるクランが多いんですか、か。それは下層の情報を独占することによる利益が大きいからだね。どの業界でもそうだと思うけど情報というのは金になる。下層の情報を広めることで下層を攻略することができる探索者が増えると利益が減るから渋るところが多いんだよね」


【ええ、人の命がかかっているのに......】

【どこにでも利権ってあるんだなあ】


「まあ、でも情報公開したくないという気持ちも全くわかんないわけではないんだよね。他の業界と違って探索者が持っている情報っていうのは比喩でもなんでもなく文字通り命をかけて手に入れたものだからそれを後から来た奴に明け渡せと言われて、はい分かりましたと簡単には言えないというのは納得できる話ではある。まあでも最近は利益を独占するために他のクランやパーティーに圧力をかけているクランもあるから結局は利権なんだろうね」


【なるほどなあ】

【圧力をかけるクランは最低だけど情報を公開したくない気持ちは理解できてしまう】

【なかなか難しい問題やな】


「そ、難しいところだよね。ま、俺から言えることがあるとすればもし国がまたそういう依頼をするならそこら辺の心理をもっと理解して情報公開してくれたクランにもう少しメリットをあげるとかした方がいいと思うってことだけですね」


【これは有意義なアドバイス】

【やっぱ現役の探索者、それもクランマスターもやってる人はそこらへんの心理に詳しいな】

【こんだけ注目されてる配信なら国の関係者も見てるだろうしそこらへん頼んだぜ】


「じゃあこの話はここら辺にしてアオイ次の質問お願い」


「はい、レイさんが今後ダンジョン攻略等の配信を行う予定はありますか?との質問です」


【お、これは大事な質問】

【正直一番興味ある】

【やってほしいなあ】


「うーん、正直予定はないね。そもそも前の下層攻略配信も国からの依頼だし、この配信も世間が騒ぐから説明のためにやってるってところが大きいから」


【えー】

【これは残念】

【今日でレイさんのファンになったワイ悲しくてむせび泣く】


「俺ってこれでもネクサスのリーダーだしクランマスターでもあるから忙しいんだよね。だからなかなか時間取れないし多分次の配信の予定はないです」


【やっぱ忙しいかあ】

【時間空いた時にゲリラでもいいからやってほしいなあ】

【それな】


「それじゃあ、次の質問に――」

「ちょっと待ったーー!!」


次の質問にいこうとしたレイの言葉を遮って大きな声が響き同時に配信をしている執務室の扉が大きな音を立てながら開けられる。コメント欄が突然の乱入騒ぎににわかに湧く。


【なんだなんだ!?】

【乱入者!?】


レイは入ってきた二人の顔をみてため息をつく。


「入ってこないでって言ったじゃんヒカリ。それに何の用トウヤ?」


【おい、トウヤってもしかしてSランク探索者の剣鬼か?】

【ネクサスのクランで配信しててトウヤっていう名前はもうそれしかないだろ!】

【ヒカリちゃんもいる!】

【てことは今あの部屋に国家転覆レベルが二人もいるってこと?】

【ひえっ】


乱入者の名前が明かされSランク探索者剣鬼の存在にさらにコメント欄が盛り上がる。


「ア、アタシは止めたんだよ? でもトウヤが無理やり入っていって」


ヒカリが気まずそうに眼をそらして言い訳をする。その様子を見て止めようとしたことは本当であると判断したレイは元凶のトウヤに向き直り話しかける。


「で、何の用?」


若干怒りをのぞかせるレイに一切臆せずトウヤは話始める。


「話は聞かせてもらったぜ! レイ配信する予定はないといったな?」


ここに向かう途中も配信を見ていたのか先ほどのレイの発言を蒸し返す。


「そうだね、これでも俺は忙しいからね」


淡々と返すレイ。


「それだよ、それ! レイ、クラン作ってから忙しすぎ! そのせいで最近全然みんなでダンジョン潜れてねえじゃん!」


どうやらレイと一緒にダンジョンに潜る機会が減ったのが気に食わないようだ。


「それは申し訳ないとは思うんだけど仕方ないじゃん? 俺クランマスターなんだし」


クランマスターを理由に逃れようとするがトウヤの追及は止まらない。


「レイ、お前はクランマスターである前に一人の探索者であり俺たちネクサスのリーダーだろ? それがクランマスターの仕事でダンジョンに潜れなくなったら本末転倒だ」


それに仕事ならもう少し人を雇って分散させたらいいじゃんと主張するトウヤ。

痛いところを突かれたレイはそれでも反論をあきらめない。


「でもほら! クランマスターの仕事は探索者じゃないとわからないことって多いし元探索者の人材とかそんな簡単に手に入らないだろ?」


だから仕方ないんだと逃げるレイをさらにトウヤが追い詰める。


「お前がそういう風に理由をつけて一緒にダンジョンに潜ることはおろか一緒にいることをあまりしなくなったのは俺ら3人がSランクになってからだよな? どうしてだ」


核心に迫る問いをレイにぶつける。レイはうぐっと小さく声を上げた後にどうにかはぐらかそうと返答する。


「それは、あれだよほら! お前らみんな強くなっちゃって俺ついていくのがきついんだよ。ほらお前らとダンジョンに行ったら最低でも深層まで行くことになるじゃん? 俺深層とかその先とか行ってたら簡単に死んじゃうよ」


情けないが説得力のある返しにコメント欄では納得の声が上がっているが幼馴染という関係で長い付き合いがあるトウヤは騙されない。


「嘘だな。そもそも俺らのパーティーにはリキヤがいるからそう簡単にダメージを負うような事はないしその上ユウカがいるから仮にダメージを受けても即座に回復できる。お前が今更ダメージを受けるのが怖いというわけでもあるまいし。そろそろ本音を言え」


逃がすつもりはないと真っすぐに目を見てくるトウヤにごまかしはと諦めたレイは白旗を上げた。


「わかったわかった、俺の負けだ。本音を言うよ」


「やっとか。で、なんでダンジョンにあまり一緒に潜らなくなったんだ?」


「お前らSランクというのは異次元の存在だ。国も気安く干渉できないし扱いに困るが防衛のためには国内にいてほしいというのが国の本音だろう。そしてネクサス以外の他のSランクは全員ソロで活動している。そうだな?」


レイの問いにうなずくトウヤ。


「ああそうだな。それで?」


話の続きをうながす。


「つまりSランクがパーティーを組んでいる。しかもパーティーメンバーの半分がSランクで構成されている俺たちネクサスは世界的にみてもあり得ない相当のイレギュラーなわけだ。正直いうとそのパーティーのリーダーという重圧は俺には重過ぎる。その気になれば一国どころか大陸レベルを敵に回しても大丈夫かもしれない俺たちという存在は他国のトップからも警戒されている。そんな中以前のように気楽に一緒にダンジョンに潜るのは難しいんだよ。俺はSランク3人に指示を聞かせられる唯一の存在とみられることも少なくない。そんな奴が常に一緒にダンジョンに潜ってたらいらない警戒心も持たれるだろ?」


今まで隠していた本心を伝えるレイの話を静かに聞くトウヤ。


「要約するとネクサス全員が常に一緒にいると警戒されるからできるだけ避けているということでいいか?」


レイの長い話を簡潔にまとめるトウヤ。


「まあ、そういうことだね。分かってくれた?」


「理屈は分かった。でも納得は出来ねえな。いらない警戒をされることになる? 俺からしたら勝手に警戒しとけって話だ。俺らが一緒にいることを妨げる理由にはならんだろ。レイお前は最近いろんなことを気にしすぎだ。そもそもこの配信も別に絶対必要というわけではなかっただろう。世間なんて勝手に騒がせていればいい。俺たちは俺たちの好きなようにやる。なにものにも俺たちのつながりは邪魔させない。それがネクサスだろ?」


その言葉にレイはパーティーの名前をみんなで考えた日の夜を思い出す。ネクサス、日本語でつながり、関係といった意味を持つ英語。


(そうか、そうだったな。俺たちのつながり、関係は誰にも邪魔されない、絶対に途切れない、そういう思いを込めてこの名前にしたんだ。確かに最近の俺はいらないことに気を使いすぎていたかもしれない。どれだけ強かろうと世界に数えるぐらいしかいないSランクがパーティーに所属していようと、そんなことより前に俺たちは幼馴染だという簡単なことを俺は忘れていたのかもしれない。周りなんて気にせず好きに生きよう)


「ああ...そうだったな、俺たちはネクサスだ。もう周りは気にしない、好きにいきてやるぜ。おい、さっそく明日みんなで集まるぞ! 飲み会でもダンジョンに潜るでもなんでもいい。みんな予定空いてるか?」


「アタシは空いてるよ!」


今まで空気と化していたヒカリが空いている旨を伝える。


「レイからの誘いだったら全員仮に予定があろうが無理やりにでも空けるだろ。連絡は後でしとくわ。と、いうことでお前ら良かったな、レイはこれから仕事を減らして時間ができるだろうから配信もできるぞ」


急にカメラの前に顔を出してそう発言するトウヤ。


「おい、勝手に約束すんなよ!」


「お前が逃げらんねえようにするためだろ」


「もう吹っ切れたから逃げねえよ」


「くだらんことでうじうじ悩んでたお前が悪いんだよバーカ」


そうやって言い合いを始めるレイとトウヤ。


【トウヤ様ありがとうございます! これでまた配信してくれる】

【いい話だなあ】

【やばい年取ったからかな。ちょっと泣けてきた】

【この二人の関係尊すぎる】


言い合いを終えたレイはカメラに向かって話始める。


「まあ、そういうことで配信は気が向いたらやることにします。まだ質問残ってたかもしれないけど悪いが俺は明日の予定をみんなと組まないといけないからここで配信終わるね。もしかしたら明日の様子を早速配信するかもしれないから見たい人は見に来て。それじゃばいばーい」


そう言ってアオイに合図を出して配信を終えるのだった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――


こんなパーティーメンバーがまだ2人しか出ていない序盤に主人公の悩みを出してその上解決させても共感も感動も薄いというかできないだろうなあとかいろいろ考えたんですがまあ、書いてて楽しかったんで後悔はないです。

次回も読んでいただけると嬉しいです。


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